ヘルボーイ ザ・クルキッドマン(2024)
- ラーチャえだまめ
- 3 日前
- 読了時間: 6分

【原題】Hellboy: The Crooked Man
【監督】ブライアン・テイラー
【出演】ジャック・ケシー ジェファーソン・ホワイト アデライン・ルドルフほか
【あらすじ】
1950年代のアメリカ。超常現象調査防衛局(B.P.R.D.)の捜査官ヘルボーイと新人エージェントのジョーは、アパラチアの山奥にひっそりとたたずむ寒村にやってくる。その閉ざされた土地で奇怪な事件が相次いでおり、村人たちは怯えて暮らしていた。事件のすべては「歪んだ男」と呼ばれる悪魔の仕業だという。そんな中、トム・フェレルという男が村に戻ってくる。20年前、悪魔と契約して魂を奪われたと語る彼の帰還が、呪われた因縁を呼び覚ます。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『「一緒に振り返ろっか。せーの……」』
どーもどーもラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの映画を拝見させていただきました
【ヘルボーイ ザ・クルキッドマン】!!!イマイチ上手くシリーズ化されずリヴートされまくりな「悪魔の赤ちゃん」3度目の正直!?ヘルボーイ!!!

「コレ知ってる?」でアメコミ映画ファンにマウント取れるヘルボーイ
アメコミ映画の中ではDCにもマーベルにも属さない故に日本では圧倒的知名度の無さ(?)が逆にオタク度を加速させる(でも日本ではこれまで全ての作品が劇場公開されているカルト的映画?)これまでシリーズ2作、リヴート1作、計3作作られ本作は再々リヴート作。中でも映画ファンの中では「パシフィック・リム」「パンズ・ラビリンス」で日本でも圧倒的信者を増やした初代ギレルモ・デル・トロ版が名実共に最も人気&興行面でも成功している事実ですが、個人的にはその「デルトロじゃねえよ!!」な2作目のレッドガーディアンより真っ赤に染まったデヴィッド・ハーバーが2代目ヘルボーイを演じたニール・マーシャル版が一番ツボ。特撮オタ度ではデル・トロ版にも劣らぬクリーチャー量産映画ですしそこにデル・トロ版にはなかった制限突破のR指定のおどろおどろしさもミックスさせて“大作映画でドB級”感がたまらない1品だと思うんだけどなー。

その2作目で既に原作者マイク・ミニョーラから“お墨付き”をもらっていたはずだが?「ダークフェイト」のジェームズ・キャメロンばりの手のひら返しかよぉぉー!?(ちなみにデル・トロ版は原作と乖離しすぎているとミニョーラ本人からは不評)今作は3度目の正直とばかりにミニョーラがついに自ら脚本に名乗りをあげこれまでの実写作品中もっとも原作に「忠実」な作品になっているらしい??監督は「アドレナリン」「ゲーマー」のブライアン・テイラー。1作目の夜のゴールデンタイムから2作目で深夜帯のノリにして個人的に大正解だと思うニコケイの「ゴーストライダー2」が好き過ぎてですねー、どっちかと言うとコッチに引き寄せられたえだです……。そんな日本海ではアングラなアメコミヒーロー×大好きな監督の組み合わせで観に行かない理由が見当たらず劇場に足を運んだわけでありますが……
まるで魔女と等価交換でもしたのか“前2作より格段に「ホラー」度は増した代わりに「予算」は格段に抑えられた”なんとも言えない味付けに……!?
いやー前2作と雰囲気をガラリと変えてきました。舞台は1950年のアメリカ。これまで現代ベースだったのが舞台の変更と共により強調されているのがアメリカの“悪魔的伝承”フォークホラー度。前2作でもクトゥルフ神話的なクリーチャーがわんさか登場しましたが前2作が“クリーチャー映画”だったのに対し本作はクリーチャーは控えめ(でっかいクモは出るけど)代わりに魔女や悪霊、悪魔と言ったスピリチュアル度が増し結果前2作よりゴシックホラー色が強い(まぁそれが単純に“怖いか”どうかは別の話だが…)アメリカ東北部に位置するアパラチア山脈にクモの護送中に迷い込んだ超常現象調査防衛局(B.P.R.D.)の捜査官ヘルボーイと新人エージェントのジョー。あ、ちなみに組織の説明とかは一切ありません。そこで偶然出会った“幸運のチキチキボーンの骨”を大切に持ち続ける青年と彼の恋人で魔女の謎の女、さらには山の中の村全体に潜む“怪異”にヘルボーイたちが挑む……。

やたら湿度が高そうな(実際どうか知らないけど)一面灰色の霧がかっていて一応住居もちょっとあるけど非常に閉鎖的で人なんていやしない、どこか寂しげな“なにもない森感”が、なんとも言えない本作の“華のなさ”を強調……いやこれはこれで雰囲気出てるじゃん!?スタジオじゃなく本編の半分以上を森の中で撮影しているのも決して悪くはないのだが、夜のシーンとかただただ“画面が暗い”のは逆にスクリーン向けかも??
3代目ヘルボーイのジャック・ケシー……「デッドプール2」の脇役ミュータントとか全然覚えてないんですけど(汗)ヘルボーイって正直ゴリゴリの特殊メイクとスペシャルスーツでツノでも生やせば誰でもなれるんじゃないかとばかり思っていたのですが、いやーコレはコレ。ロン・パールマン(あれメイクしてたん…?)やデヴィッド・ハーパーとはまた一癖も二癖も違う!?メイクのほかにも片腕アームズにドデカライフル、ジャケット姿までこれまでと同じフォルムだってのに、これまでの「子ども部屋おじさん」的なヘルボーイを「童貞卒業してちょっとだけ大人びた高校生」レベルに成長させている!?精神的にはこれまでで一番落ち着きのある、クール度の増したヘルボーイもイイ!!ただ予算の都合かミニョーラがアクションを全面に押し出したこれまでのようなタイプにNOと言ったかはさておき今回はアクション少なめなのが残念。今作の敵は「歪んだ男」とかいう首を寝違えた元商人でコイツも顔はマスクで覆われクリーチャー感があるがあくまで“ホラー映画のヴィラン”という戦い方でアメコミ映画にしては非常に地味。アメコミ映画=“アクション映画”という認知の方にはこれは肩抜かしを喰らうかもしれません。個人的にももう少しジャック・ケシーの演じたヘルボーイのアクションが見たかった。

それでも「アドレナリン」「ゴーストライダー2」でヒャッハーなアクションとスタイリッシュさを売りにしてきたブライアン・テイラー監督が地味な絵面で押し進めるわけでもなく??視聴者を退屈にさせないよう意外にもテンポ感がよかったりワイヤーアクションも要所要所で差し込んでいたり飽きさせない工夫は感じ取ることが出来ました。これがもし別の監督だったら開始数分で寝てしまっていたかもしれません。これまでヘルボーイ爆誕の歴史は描かれても“母親”についてはそれほど言及がなかったが今作ではそれがヘルボーイのトラウマのようにつきまとう要素として登場。アクションよりキャラクターの精神的描写をメインにしているのも特徴かもしれません。ニール・マーシャル版ポスターにあった“地獄エンタメ”とは真逆の、全然エンタメしてないけどキャラクターの掘り下げにはそれなりに成功しているかもしれません??もう一人のエージェントのジョー(結局ほとんど役には立たんのだが汗)も成長要素ありで2人のコンビももう少し見てみたい気もしますがまぁシリーズ化は絶望的(北米では劇場公開されず配信スルー)これまでとは繋がりがないとはいえ、個人的にいっそ前2作の“過去編”として無理やりシリーズの一つに入れたいと思います……。
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