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ボディビルダー(2023)

【原題】Magazine Dreams

【監督】イライジャ・バイナム

【出演】ジョナサン・メジャース ヘイリー・ベネット マイク・オハーンほか

【あらすじ】

アメリカの田舎町で、病気の祖父を介護しながら暮らす青年キリアン・マドックス。低収入で友人も恋人もおらず孤独な毎日を過ごす彼には、一流ボディビルダーとなり雑誌の表紙を飾るという揺るぎない夢があった。過酷なトレーニングと食事制限に打ち込むキリアンだったが、身体は悲鳴をあげ、社会の不条理と孤立が彼の精神を蝕んでいく。そしてある事件をきっかけに、キリアンは狂気の世界へと突き進んでいく。(映画.COMより)





【感想(ネタバレなし)】

『“何者かでありたい”から生きづらい。』





どーもどーも仕事帰りに通う予定だったジムを3ヶ月で退会したラーチャえだまめです。だってぇ〜家から遠いんだも〜ん!仕事終わりはヘトヘトなんだも〜ん!…そんな甘っちょろい脳みそをスープにして喰ってやるとイワンコフばかりの?年末年始も独り身の全“おひとりさま”映画ファンよ、孤独を癒やすのは筋肉だ!筋トレをしろ!!とにかく筋トレだああああああー!!!!



【ボディビルダー】あああああー!!!!!そういえばちょっと前にやった「恋はステロイド」も観れてないんだよなー。今年最後の更新が筋肉て…(汗)しかも朝っぱらからだいぶヘビーで高カロリーな映画を見てしまった。こりゃ年末年始は家で筋トレしろって暗示か…!?



主演はご存知アメコミの大船に乗った直後に暴力沙汰でネズミーから解雇処分を受けたア“カーン”俳優ジョナサン・メジャース。今作はその騒動後のキャリア復帰も兼ねた“禊映画”……タイミング的に誰もが一度はそう思ったに違いない。しかし実際は騒動前に既に完成されており一般公開前に騒動により約2年間“御蔵入り”していた作品だったんですねー。しかしながらそれでも騒動とは全く無縁にも関わらずジョナサン演じる“沸点が極端に低く瞬間的に暴君になる”危険人物のボディビルダー、キリアン・マドックスという役がどうもジョナサン自身と被って見えてしまうという皮肉が効きまくった、騒動がなければ“演技”を評価されたであろう彼の“狂気の姿”が、果たして演技なのかそれとも演技を超えた本来の姿なのか……と非常にヒヤヒヤしながら観てしまいました(汗)



原題もそのままかと思いきや「Magazine Dreams」。日本で公開するなら確かに“ボディビルダー”のド直球タイトルの方がわかりやすい。映画冒頭から「もう精神ボロボロ」過ぎなキリアンに早くも“救い”を求めたくなる。この手の映画で一番内に抱える“悲痛”な叫び映画はデ・ニーロの「タクシードライバー」やショーン・ペンの「リチャード・ニクソン暗殺を企てた男」が頭に浮かぶのですが、本作もその例に習って真面目に“真人間”として生きようとするものの家族・恋人・友人もいない孤独すぎるゆえに無事“無敵の人”になってしまうという??やはり自然と共感して「他人事」には思えない、嫌いになれない部類の映画ではあるんだよな〜。キリアンもまたつまらない孤独な毎日を送る人間ですが、彼には一つ大きな“夢”があってその夢を叶える為に日々己のカラダにムチ打って“さらに追い込む”ドM野郎なんですよ。当然精神的にもウェイトをかけすぎて心の余裕もなくなっている状況下から?さらに彼のその唯一の希望である夢までも奪おうとする社会の理不尽さときたら。本当に残酷そのもので見ていて辛くなる。



「クリード3」でも見せた筋肉モリモリのマッチョ度が高いジョナサンですが、いやー今回も凄い肉体。劇中で現役のビルダーたちと“競争”してんすよ?マジで“ステロイド”は演技であってくれ…!!それくらい高市総理ばりの「追い込んで追い込んで追い込んで参ります!」な肉体改造。しかし強大な筋肉の鎧を被った中身は“めっちゃナイーブ”なキリアンの“憑依的”演技は圧巻でありました。



ただ“ボディビルダー”版「ジョーカー」って何やねん…!!と思いましたが、確かに色々似ているところはあるけどもホアキンのジョーカーの方が「まだ可哀想だった」と言いますか??このキリアンという男も共感性バツグンであるものの先述した非常に沸点が低くてすぐにカッとなって暴力を振るう「自制が効かない」キャラなんですよねぇ。もうあまり比べる必要もないことにお気づきかもしれませんが自業自得キャラっていう大変痛い野郎なのです(汗)いやそーであるからまるで自分を見ているかのような恥ずかしさや直視できない痛々しさがあると言えばあるのですが……。



しかしです、たとえば両親を早くに亡くし唯一の肉親の病弱な祖父の面倒をみなきゃいけないとか周りに信頼できる友人や恋人がいないとか彼の場合も外的要因による人格形成はあるものの、すぐカッとなる性格は、もうこれは「自分でなんとかするしかない」問題じゃないですか?確かに周りに助けを求めることも必要ですよ、でも周りに助けてくれる人間がいない、自分の味方が一人もいない、いやむしろ現実世界じゃあそれが当たり前ときている、そんな状況下で孤独に生きていても、いや生きているからこそ「自制が必要」。これは全国の孤独人間全てが抱えなければならない死ぬまで守らなければならない課題、じゃないでしょうか!?否、誰かと一緒に“共生”していても自制心が効かなければ結局うまくいきませんから!?んな怒り狂って周りが見えなくなって暴走する人間を私はどうしても「だから周りのせいなんだ」とは言いたくないんですよおおおお!!!



でもそれはたぶん本作の制作陣も同じ考えなんじゃなかろうか。彼を「悲劇のヒーロー」として正当化していないのは偉かった。ちゃんと愚かな言動も見せるしそれが回り回って全部自分に跳ね返ってくるのも正直で。アンガーマネジメントして出た言葉が「お前の脳みそをスープにして喰ってやる」はもうグールなんよ!?何度かキモッ!ってなるシーンもあります。あまり出番はありませんが朗らかなヘンリー・ベネットが拝められて個人的に幸せでしたハイ……(キモッ!)まあその彼女も過去何でも口に入れちゃう病み役やってましたし?キリアンの心の痛みに気づいてくれたんじゃなかろうか……とも思いましたが、まあベネットさんには本当に「失礼なことしかしない」キリアンお前が100%悪いぞアレはあああああ!!!!



ク◯野郎に限って子持ちでファミレスで楽しそうに飯喰ってんだよな…それが許せない気持ちもわからんでもないけども??もうそんなヤツ無視しろよ無視!と何度キリアンにテレパシーを送ったことか(結果届かず店内をめちゃくちゃにする)後半にかけて全て予測範囲「内」の暴走は意外性こそありませんが、ボディビル大会の「出場者と審査員」「山の頂上にいる者が下の者を見下ろす」主従関係と見なし人生を台無しにされたと逆恨みしたり、出場者は審査員に認められる存在じゃなければならない____がそのままキリアンの社会的“承認欲求”病を抱える原因にもなり(どちらが先かはわからんが)現代病の象徴にもなっていたりと。社会から“認められたい”“有名になりたい”というキリアンの感情も痛いほどよくわかるんだよねー。でも今こうしてブログを書いているわけですが、今より読者数が驚異的に上がったらそれはそれで書きたいこともかけない、遠慮しがちな当たり障りのない記事しか書けないと思うんですよね。(その辺有名ブロガーさんは尊敬しかない)それって個人の個性を殺すことにもなるし、だからこのまま細く長く続けるのが正解かなと、あくまで“趣味”としてね?話が脱線しましたがまぁキリアンにとってボディビルは趣味の範囲をとうに超えた“生きる理由”そのものですし?生きる理由に承認欲求を入れると本当にイバラの道になるよねーとインフルエンサーとか見てつくづく思いますわ。



“何者でもない”____で駄目なんですかね??何者でもないからこそ“テキトーに生きれる”っていうのもあるじゃないですか。そんなわけで「それでも嫌いになれない」筋肉バカだなぁ〜!!ラストで突然“急激な軌道修正”が入ったのは意外でしたが、もしあのまま“一線”を超えてしまえば本当に救いがないわけですし??個人的には良かったな〜と思いましたね!(まだ完全に罪を償ってはないんだけど汗)彼にもいい加減ではない“適当”に生きて欲しいですね!






【感想(ネタバレ)】




本当にレジェンドボディビルダー、マイク・オハーン演じるブラッド・ヴァンダーホーンを射殺しなくてよかったよかった……彼が“殺人者”としてあの会場の舞台に立ちスポットライトを浴びることこそが、もっともボディビルそのものを貶す行為になるわけで、それを最もボディビルを愛するキリアンがしたら、これ以上ない救いの無さになっていただろうし。あの“一線”を超えなかった所にキリアンの優しさというか“救い”がまだ残っているというか



終盤バーで出会いキリアンの「計画」の引き金となるクスリガンギマリ男。彼もまたキリアンと同じく世の中を妬み恨み嫌う社会不適合者であるが、一人でもああやって気晴らしにバーに行きクスリをキメながらも一線を越えないよう「テキトーに生きる」姿勢は賛成だなー。私には彼が惨めには見えなかった。少なくとも平然と「撃ち殺せ!」と口では言ってもキリアンのようにそれを真に受け本気で実行に移そうとはしない所に「マトモさ」が残っていると思うし。程よく“適切”に生きる道こそが社会で生き残る道なのかもしれないが、まぁそれがエンディングでキリアンにも少しその面影が見えた所に救いがあったかなー。



ただまた大会目指すんかい!?とは思ったよね。ステロイドとか捨ててくれたのはよかったけど色々事件起こして世間から“悪目立ち”してからの大会は絶望的だし、また同じことを繰り返しはしないかね?……という不安も実は匂わせるラストという!?

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