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ノスフェラトゥ(2024)

【原題】Nosferatu

【監督】ロバート・エガース

【出演】ビル・スカルスガルド ニコラス・ホルト リリー=ローズ・デップほか【あらすじ】

不動産業者のトーマス・ハッターは、仕事のため自身の城を売却しようとしているオルロック伯爵のもとへ出かける。トーマスの不在中、彼の新妻であるエレンは夫の友人宅で過ごすが、ある時から、夜になると夢の中に現れる得体の知れない男の幻覚と恐怖感に悩まされるようになる。そして時を同じくして、夫のトーマスやエレンが滞在する街にも、さまざまな災いが起こり始める。(映画.COMより)






【感想(ネタバレなし)】

『吸血鬼の「NTR」は辛いよ』





どーもどーもラーチャえだまめです。世の中には不条理なことが沢山あります。











一番やっちゃいけない売り方





本日はそんな悪意の塊でしかない不老不死のストーカー(原作者…だけにねッ!!)に何の因果か新妻を“NTR”の危機から救わんとする古典的不条理ホラー



【ノスフェラトゥ】ぅ〜……♫なかなか時間が合わず棺と一緒にお見送りしていたコチラ。“唯一無二の作風”を既に確立させた「次世代の明暗の魔術師」ロバート・エガース監督最新作にして?1922年のサイレント映画「ノスフェラトゥ」の2度目のリメイク。22年のオリジナル版はブラム・ストーカー著の「ドラキュラ」を無許可で登場人物の名前やタイトルを変更して世に出されたという(ストーカーの未亡人が訴訟を起こしフィルムはほぼ破棄され現存する映像はその中で一部残ったもの)言ってしまえば“ドラキュラの「パチ◯ン」”映画なのですが___それでも「吸血鬼映画の元祖」とも評され、後のゴシックホラー界に多大なる影響を与えたとんでもクライシスな名作、なんですよね〜。



で今回映画館に行く前にそのオリジン版を視聴しようと探したのですが、現状サブスクやネットレンタルはされておらず、唯一視聴可能なYouTubeも日本語字幕に対応しておらず原作未見で見る羽目になったわけですが……まぁストーリーはね、THE吸血鬼映画ですから!?そんな変化球アリストテレスな難しい話ではないだろうと、、、、うーんでも監督はあのエガースだしな〜、変にアーティスティックかまして話をややこしくしたりする可能性も……



おやおや??これまで“THE「A24」”系な「人を選ぶ」そんな画面だけではなく内容も暗ーい鬱映画ばかり撮ってきたエガース監督としては?「予想以上にエンタメしてて」今回は非常にわかりやすい!!しかも吸血鬼=ノスフェラトゥの不気味さ、「強大なダークマター」度もヒシヒシと伝わってきたばかりかずっと暗がりで殆どシルエットじゃんファーッ!!な失笑することもなく「結構ガッツリ特殊メイクを拝める」単純に「特撮映画」としても!?これは楽しめるのでないか、と思いましたッ!!







著作権逃れの代名「ノスフェラトゥ」……単語の語源は定かではなくルーマニア語から文字った造語?らしい。しかも実際はノスフェラトゥ=“オルロック卿”と本名すらある。ノスフェラトゥ=悪魔、みたいな意味なのか(悪魔の◯◯って言うし)ニンニクや鉄の杭……は弱点でない??日光に当たるのはNGみたいですね…(あと朝イチのニワトリのクックドゥードゥルドゥーを聴くのもNG?)有名な姿ゆえにどこかで見たことある…??かもしれない、22年版のノスフェラトゥはネズミ小僧すぎる白塗りに毛のないアタマでっかちな頭、細長い爪、そして異常なまでの超身長。これはこれでちょっと不気味ですが、リメイク版の本作はそのデザインにあまりこだわらずに作られております。



演じるは“こんなにイケメンなのに顔で売ってない”ブスメンもぐうの音も出ないビル・スカルスガルド。「イット」のペニーワイズから今度は古典的吸血鬼をこれまた誰が中身かわからんレベルの特殊メイクで熱演。しかも完全に“アフレコ”だと思っていた“図太いヴォイス”まで!?本人だったとは思いませんでしたねー。ペニーワイズの時はより目の反対(なんての?)独特な眼の動きをCGではなく既に会得していたという逆輸入に驚かされたが、今作ではオペラの練習で声質まで変えれるようになったとな…!?(いつか本当に怪物になれるんじゃ…)ちなみに兄アレキサンダー・スカルスガルドは「ノースマン」で主演をやったわけで兄弟揃ってエガース作品に出演したことに(だからなんだよって話だが)物語はビル演じる何百年生きたかもわからん不死身のオルロック卿が?そろそろ身体よりガタがき始めた古城からドイツに移住するためにドイツ圏内の不動産屋に……と普通に窓口で物件紹介するわけにもいかず!?物件は誰も寄せ付けない“廃墟”に限定&ひとまず不動産屋の社長を“買収”してその部下に「大金払うから在宅営業しろ」と半ば強制的に直接古城に誘い込むわけなんですねー。でトホホな営業する羽目になる青年“トーマス・ハッター”を「XMEN」シリーズ、もうすぐ公開の「スーパーマン」のニコラス・ホルト。「XMEN」シリーズで毛むくじゃらのビースト役を演じ長期にわたる特殊メイクの苦労を知っているホルトは撮影中にビルにアドバイスをしたというまさに“野獣センパイ”……



で彼には“エレン”という美しい新妻がいたわけなんですねー。でこれがどういうわけか「新居のついでに営業マンの妻ももらっちゃえ」という強欲っぷりを見せるオルロック卿!?(年長者は欲も増えるって…?)もうすこぶる前から闇夜の中からエレンを見つけちゃったんですね。そこから長い歳月にわたってオルロック卿から熱い求愛を浴びまくる被害者に父は偉大なジョニー・デップの娘リリー=ローズ・デップ。もう「顔芸がすぎる」繰り返します“舌が左にびよーん”……なんかもう演技が激しすぎてただただ唖然というか!?小刻みに激しく震えたりイナバウワァー!!宙に浮いたりとにかく忙しい。彼女の“取り憑かれ系”怪演はなかなか凄いんですけどね、今作イチの“被害者”でありながら、元々精神的な病気があってトーマスが出張でいなくなるからトーマスの友人宅に預けられるのだけど



出ましたここにもアーロン・テイラー=ジョンソン〜♪もう“大コケハンター”が屁でもねえくらい新作に続々と出まくり中。主人公もサイドキックも演じられる幅広さがウリなのか?彼が演じるトーマスの良き友人で船舶業者で富を得た富豪家の“フリードリヒ”が、ただの友人キャラとしての登場かと思いきや彼も見どころ多く、エレンの面倒を妻(演じるのは「デッドプール&ウルヴァリン」のエマ・コリン)の“アンナ”と見ることになって、トーマスの為とはいえ全て無償で世話してんのに急にヒステリックになったかと思えば口から泡まで吹くエレンに頭を抱えそれでも医者に診したり献身的に面倒みた結果、エレンから「アナタなんでわたしを避けるの酷いじゃない!!」と逆ギレされてしまうという!?アンタが一番の被害者なんじゃないか……



しかもトーマスは古城から戻ってこないし??オルロック卿の魔の手が着実にドイツの都市に広がっていく。このあまりに強大な「悪」に挑むに彼らだけではあまりに非力、、、そこへラルフ・アイネソンウィレム・デフォーの「エガース組」が仲間になる頼もしさよ。共にラルフ演じる科学を重んじる“ヴィルヘルム医師”とデフォー演じるその師匠でオカルト研究の第一人者“アルビン教授”。「エクソシスト」のカラス神父とメリン神父を彷彿とさせるこの2人が物語にさらなる深みを与えているんですね~。



本作を撮るにあたり徹底してこだわった「時代の再現」は今作も凄かった。キャストの衣装や細かな小物類に19世紀の街並みまで、街並みは丸々セットで再現。さらに19世紀は今より抜群に“暗かった”その暗さまで再現するに、キャンドルの灯りを最大限に生かす特殊なカメラレンズを使用して撮影されているこだわりよう。さらに劇中登場する約2000匹のネズミは全て「ホンモノ」でキャスト陣が足元の無数のネズミを掻き分けながら歩くシーンはかなり気色悪かった~。オリジンでも“ペストの運び屋”のような「厄災」として描かれ棺桶と共に大量のネズミを運ぶ描写があるが、今作でもオルロック卿のドイツ上陸シーンで大量のネズミが港に放たれるシーンがある。ただのオリジン要素の再現ではなく、そもそもこの古典的作品を?令和の時代にエガース監督は何故復活させたのかと考えれば、それは人間の“心の不安定”さが、いつの時代も変わらないということを示唆していると言いますか、我々は“コロナ”という厄災を経験し、“現代病”とも言われる「うつ病」にも苦しめられているから。



エレンがオルロック卿に愛された理由、それは決して特別な存在だったからではなく、彼女の心が“不安定”だったから。そこに反応して彼女の心を蝕んでいくオルロック卿はまさに心のガンそのものとして描かれている。だから“誰の心にも現れる”存在、それがオルロック卿なのです。生誕から103年経ってもその根底は変わらない。それは我々現代人が103年前と変わらない不安定さを持っている、ということにもなるわけなんですねー。まさに令和版にバージョンアップしても永遠に語り継がれるべきモンスターなのです!?



本作も全て問題解決ハッピーエンド……なわけがない「犠牲の上に登る太陽の光」がなんだかな〜。結局「そうするしかなかったんだ受け入れろよ」って言われてもねえ……それに選ばれてしまった悲劇。果たして本当にどうすることも出来なかったのか??そんなモヤモヤ感をあえて残す感じがエガース監督らしい。彼の作品だけでないが、こういう悲劇的な映画はなかなか「また見よう」とはいかないところもありますが、本作はそれまでの過程のファンタジー度、ゴシックホラー度の美術的な「美しさ」が素晴らしく(そして先述した物語もわかりやすくスッと入って行きやすい)悲劇的な物語だけどこれは「おかわり」したくなりましたねー。


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