死霊館 最後の儀式(2025)
- ラーチャえだまめ

- 10月27日
- 読了時間: 6分

【原題】The Conjuring: Last Rites
【監督】マイケル・チャベス
【出演】ヴェラ・ファーミガ パトリック・ウィルソン ミア・トムリンソンほか
【あらすじ】
1986年、ペンシルベニア。「呪いの鏡」にまつわる謎の超常現象が次々と発生し、邪悪な存在は、ウォーレン夫妻の最愛の娘であり結婚を控えたジュディに狙いを定め、家族を引き裂こうとする。これまで科学や宗教の枠を超えて数々の悪霊や悪魔と対峙してきたウォーレン夫妻は、かつてない脅威に立ち向かうことになるが、その先には想像を絶する「最後の儀式」が待ち受けていた。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『死霊だよ!全員集合〜!』
どーもどーもラーチャえだまめです。さっそくですが本日はこちらの映画を拝見させて頂きました
【死霊館 最後の儀式】!!!これまで数々の霊障から被害者達を救済してきた死霊のエキスパートでありながらキリスト協会からは賛否両論な実在した「悪霊退治のパイオニア」エド&ウォーレン夫妻が大活躍するキャッチコピーは日本の「おわかりいただけただろうか」に匹敵する「これは実話である__。」余談だがネトフリのドキュメンタリー映画では彼らを「史上最悪のペテン師」呼ばわりしている(どちらを信じるかはアナタ次第…)気づけばスピンオフ含めこれまで計8本も作られたとんでもクライシスな“ユニバース”もついに最終章。前作「悪魔のせいなら無罪」は結局「悪魔のせいでも有罪」……ダメじゃねーかー!!ツッコミ映画でしたが、さあさあ71年が舞台だった第1作目「死霊館」からついに時代は86年へ突入。すっかり“初老”となったウォーレン夫妻は今日も学校で霊障の講義なんていうクソ面白そうな授業に勤しむが今や参加者はまばらで生徒の一人が「ゴーストバスター!」なんてレイパーカーJrの歌を歌ってバカにする始末……てこれまんま「インディジョーンズ 運命のダイヤル」の老いぼれインディと同じじゃねーかー!?これまでの貢献っぷりなど今どき若者には通じぬ現状。しかし2人は仕方がないと諦めの様子。ウォーレン夫妻は薄々勘づいていたのです。「私たちもうすぐ引退ね」と……。

シリーズ生みの親で仲良しのジェームズ・ワンさんに感化され自身のもうひとつの出世作“現代版死霊館”こと「インシディアス」最新作で出演と監督も牽引した半魚人パトリック・ウィルソン×年の離れた妹タイッサの芸能界入を後押した結果スピンオフで「死霊館のシスター」とガチンコ2戦勝負させたヴェラ・ファーミガ。この2人が長年演じてきたエド&ロレイン・ウォーレンもすっかり“余生”を穏やかに過ごす熟年夫婦となり怪異とは無縁な日常をおくっている。そこへ成長した娘の“ジュディ”が連れてきたボーイフレンド紹介などを占める前半戦。新キャラ・ボーイフレンドの“トニー”を演じるは「XMEN」や「ボヘミアン」のベン・ハーディ。もういい歳なのに童顔だから若い青年役はまだまだ余裕。これまでスピリチュアル系はあまり縁がない青年らしいが元警官ということで婿にするにも作中でも頼りになるナイスガイであります。
一方そのころとある一家に“凶々しい怪異”が降りかかりますが「すまんもう引退したんで」と今回ばかしはなかなか事件にも首をツッコミたがらない夫妻。そんなわけで前半は進みが遅いんですよね。完全にドラマパートと言った具合で。とは言っても最終的にゴーストバスター!!することになるんすけどね……

今回はいつか出ると思ったぜ!不吉の象徴アイテム「呪われた鏡」がいよいよ登場(?)ゴミの日に捨てたって復活してやるぜ!つーかまずあんな見た目の鏡を質屋で買ってきたのが悪いよ父ちゃん!!そしてついに80年代後半に突入し「VHS」という最凶アイテムが登場。ジェームズ・ワンさん曰くこのシリーズはJホラーの影響を確実に受けていると公言しており、本作では「リング」や「呪怨」を豊富とさせる「ブラウン管で再生されたホームビデオに映る何か」という激アツな演出も登場!音でビビらずとかじゃなくてこーゆー「違和感覚えて何度も一時停止繰り返ししたら写っちゃった」系心霊ビデオが一番ゾクッとくる。相変わらず悪霊も生身の役者が演じるから実在感がリアルで不気味だし、VFXに頼らずできるだけアナログで見せる恐怖演出はシリーズ最終章でも他のアメリカンホラーと比べて頭ひとつ抜きんでている気がしましたねー。まあ恐怖演出はどうしてもワンさんがディレクションした「1」と「2」には及びませんが……
シリーズ最終章は全体的に「2作目」のような雰囲気。狙われた家族は8人家族の大家族、今回もエドがお手製の手料理をみんなに配り「孤独からの解放」「皆の結束力」を高めようとする頑張りから、“ヴァラク”ほどのインパクトはないけれど悪霊レベルはヴァラクと同等か今回「それ以上」なんじゃないかってくらい??ウォーレン夫妻やジュディたちもタジタジになるくらいに強い。ただウォーレン夫妻の過去と因縁させる必要性は薄かったりヴァラク並のカリスマ性はなくその正体の「考察」がなされないところは少し残念でした。つまり結局最後の最後まで「鏡の正体」が明かされないのです。本編内では。エンドロールに突入してエンドロール後の最後に鏡の「現物の写真」と共に出たテロップで鏡の招待が明かされる憎い演出に「ヒェッ」としたけどね!(特級呪物すぎんだろ!!)あと特に意味もなくやっぱり出るアナベル姉さん。ジュディとは「死霊館人形」で戯れた中ですし?シリーズの顔はなんとしても出させます!!(「アタシ、タカイヨ〜。」)

「死霊館」シリーズはこれまでホラー映画で定番とされてきた人間の集中力と恐怖でビビれる限界「1時間半」という定説を覆し「2時間越え」という規格外のボリューミーさでやってきたわけですが、そこまで長尺にしたのは単に観客を沢山ビビらせようとジャンプスケアを多様したかった欲張りさからではなく、シリーズの根底にある「家族」というテーマを描くにそれだけ尺を使う必要性があったから。家族の団結力、愛こそが悪霊を退散させる最大のチカラとなる。せれをシリーズ通して描いていますよね。今回もメインが被害者家族ではなくウォーレン「家族」にはなるものの、「家族」というテーマを最後までブレずにしっかり描き切ってくれたことに拍手ですね!邪悪なものを「直視しない」ことはただその場しのぎの回避策でしかないということ。恐れず「直視する」ことで邪悪=トラウマを押し除けることができるって?そして恐れず立ち向かうチカラこそが「家族」なんだという強いメッセージ性。OPの幼少期のジュディと戯れるウォーレン夫妻の映像で早くも泣かされたファンも多いのでは??そんなジュディがトニーと共に主戦場に参戦する胸熱展開。最後の儀式でありながら家族団らんの「はじめての儀式」にもなっているこんなファミリー劇場ほかにはないよぉー!?
故にこのシリーズは単なるホラー映画だけではなく温かいヒューマンドラマとしても成立させ、ホラーと感動をセットで楽しめるという(実際のウォーレン夫妻は知りませんが)長編だけど見終わったあとの、ぐったりするような疲労感というよりは満足感で満たされる、そんな数少ないホラー作品に今回も仕上がってますね〜。そして一番ビックリしたのが(恐怖演出よりも)ラストのソンゲバソナな“サプライズ”。いやーまさにシリーズを締めくくる素晴らしいラストというか(やってることはエヴァTVシリーズの最後なんだけど)「おめでとう」っていう……これ以上は言えません。




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