top of page

バビロン(2022)


【原題】Babylon

【監督】デイミアン・チャゼル

【出演】 ブラッド・ピット マーゴット・ロビー ディエゴ・カルバほか

【あらすじ】

夢を抱いてハリウッドへやって来た青年マニーと、彼と意気投合した新進女優ネリー。サイレント映画で業界を牽引してきた大物ジャックとの出会いにより、彼らの運命は大きく動き出す。恐れ知らずで美しいネリーは多くの人々を魅了し、スターの階段を駆け上がっていく。やがて、トーキー映画の革命の波が業界に押し寄せ……。(映画.COMより)







 
【感想(ネタバレなし)】

『絶妙なタイミングでお出しするサンドウィッチマン』

 





どーもどーも品川駅でトイレに間に合わずその場で吐いたのは私ですラーチャえだまめです早速ですが本日はコチラの映画を拝見させて頂きました



【バビロン】!!!いやーなんだか騒がしそうな“お祭り映画”がやってるじゃあーりませんか??“キラキラしたハリウッド黄金期のドタバタ群青劇”を豪華絢爛な“現代のスター”を惜しげもなく使った「THEハリウッド」的映画……って実はなんまり乗れないというか(「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」がいい例)そんでもって“ミュージカル映画”ときた。いい意味でも悪い意味でも“大衆向け”みたいな?トゲがあるようでないそりゃあ、沢山お客さん来てくれなきゃ映画スタジオも大赤字ですから?ちゃんと“そこは考えて”作ってますよ感。ディズニー映画かな“アカデミー賞狙いにいきましたよ”感がどーも苦手でしてね……マーゴット・ロビー、ブラット・ピット嗚呼もうドル箱スター起用の時点で絶対失敗出来ないやつじゃん!いや失敗しないように作りますじゃん?そして監督はあのデイミアン・チャゼル。「ラ・ラ・ランド」「ファースト・マン」の監督じゃん?でもって今回も高速道路の上で踊っちゃうようなオーケストラの大演奏会も踏まえた“ノリの良いカップル向け映画”なのかなって思うじゃないですか?構想15年らしいですよコレ。え、
















15年かけてながーーーーーーい“野糞”したの?(壮大な褒め言葉)







 














安全装置の外れた「ラ・ラ・ランド」





もう誰が観てもク◯!!OPからク◯!!!いやエダジョーウソつかない!?だってホントにホントにホントにホントにク◯なんだもーん!?いやはや“R15”がはじめて「そんな低くねえだろ!」と思ってしまいました、どーしちゃったんですかねチャゼル監督……「わぁー「ラ・ラ・ランド」の監督の新作だよ!」って飛びついたカップル……ざまぁああああああああ!!!!!!そんなワケで開始早々ドラッグ放尿「ショートバス」並の乱交酒池肉林じゃぁ〜!!(デカモザあり)なんでもござれなパーリナイ!!!…でバックコーラスだけ「ラ・ラ・ランド」してるというあまりに「カオス」過ぎる映像にアタマの処理が追いつかなかった方も多いのではないでしょうか!?














“映画”ってハッキリ人を選ぶんだねって





レビューサイトを覗いてもキレイにキッパリと二分されているではありませんか。だからこそ気になって観に行ったのです!!そういう映画は“ハマれば便座の底まで落ちていく”可能性を秘めているといってもいい「ラ・ラ・ランド」がコインの“表”なら今作「バビロン」は完全に“裏”、“裏チャゼル”の覚醒&そしてこの2つは表裏一体の実は“共通点”が非常に多い両者だと思いましたね!



まず「OPでガッツリ心を奪われる」。人によっては「OPがこの映画のクライマックス」だと評する人もいるかもしれません。それくらい3時間強という本編の中で最も印象的かつ盛り上がるシーン。もう完璧なタイミングのBGMとカメラパンッ!!ハイテンポがずっと続いて窒息寸前。これは絶対に映画館でその“音”と共に感じて頂きたい。ただしそのOPの「好みが真っ二つに分かれる」というだけ。間違っても昼飯食いながら見ると最悪な目に遭うから持ち込みはやめようか



ほかにも「何がなんでもカメラを止めるなぁー!!」と製作スタッフの怒声が響き渡る中えげつねえ数のエキストラで殺◯合いさせる“戦場シーン”は“撮影”であることを完全に忘れてしまう(ホンマにキ◯してるやん)まさに圧巻の一言につき。まさに脂の乘っていたハリウッド黄金期の1920年代の波乱に満ち溢れた映画製作の裏側を垣間見る体験、本作は「映画を作る人の映画」であります。何度もNGテイクを重ねるシーンはもうドリフのコント過ぎて腹抱えて笑っちゃいました。チャデル監督コメディセンスもお有りなのですね?



そして2つ目は「男女2人の成功と転落」。今作の主人公メキシコ出身の超新星ディエゴ・カルバ演じる映画業界で働くアシスタントの卵マニー・トレスと女優の卵マーゴット演じるネリー・ラロイという2人が運命的な出会いを果たすところからはじまり、マニーはブラッド・ピット演じる映画界のスター、ジャック・コンラッドに気に入られ本格的に映画製作の道へ進み、ネリーもまた売れっ子スターとして華開いていく。数年後人生の変わった2人は再び出会って……の感じはまさに「ラ・ラ・ランド」を彷彿とさせる展開。ただしハーレイクインよりコカイン中毒のネリーのイカれっぷりが凄まじいのなんの。いやマーゴット・ロビーの白熱度が素晴らしすぎるんですよね。親知らずの数よりアタマのネジがぶっ飛んでても色気アリストテレスなキレッキレのダンスで腰振りまくりのオゲレツゲロ吐き女優(なんて言い方や)……でもやっぱり美しい。そんな激しすぎるキャラクターを見事に演じております。



てかこれが初共演か!?ちゃっかり脇役で我らがサマラ・ウィーヴィング出演という“そっくりさん共演”がついに実現??個人的はこれだけでももう“儲けもん”なのですが!?ほかにもジャック・コンラッドの元嫁で何の因果かオリヴィア・ワイルドが一瞬だけ登場したり??マックス・ミンゲラやキャサリン・ウォーターストンと言ったそこまで大きな役ではない役で起用、というなんと豪華な……



でもって忘れちゃいかんのが完全にシンビオートに飲まれちゃったトビー・マグワイア……メイクで殺虫剤でも目に当てたんかってくらい目の周り赤くして彼もまたいつ出てくるのだろうかと少々待っていた感はありますが、後半の最後のほうという決して多くはない出番ながら抜群の存在感を放っていましたねー。



今作は「激動の時代」という大波に飲まれ運命がどんどん変化していく“時代に翻弄される男女”も描いているんですよね。



翻弄されるのは2人だけではありません。今作は複数の登場人物たちの群像劇でもあります。プロデューサーとしての顔も持つジャック・コンラッド、字幕入れ(?)のレディ・フェイ・ジュー、ジャーナリストのエリノア・セント・ジョン、黒人ジャズトランペット奏者のシドニー・パーマー……皆ハリウッドで「のし上がっていく」様が観ていて気持ちがいい。しかしそれもサイレントからトーキー(音と映像を同時に流す)へと映画史の移り変わりと共に、ある者は「時代遅れ」「不必要」の烙印を押されまたある者は「変化」を求められていく……それもまた「時代」、移りゆく時代に、いかにして自身をアップグレードし続け生き残るが吉か、否そもそも新しいものだけが正しいのか?古き良き良いものだってあるはずだ!!……とチャゼル監督はブラピ=ジャック・コンラッドの口を使ってもう「吠える」吠える……ちょっと説教がましいくらいに。しかし個人的に主演のゴズリングでさえ黙らせて一体何を伝えたいのかわからなかった「ファースト・マン」とは真逆に、今回はチャゼル監督自身が「言いたいことをとことんぶち撒けてやろう」という勢いがヒシヒシと画面から伝わってきましてねー。主張が激しい映画は逆に嫌いじゃないというか=個性が強すぎて配慮のカケラもない「嫌なら見るな」スタンスこそ今後もどんどん突き抜けていってほしいんですけどねー。いやまじで興行収入とかガン無視でさ(それは無理か)じゃなきゃ“自由”がなくなって面白くない。




そんな莫大な予算の投資&スターの起用&「セッション」からチャゼル監督とタッグを組んできたジャスティン・ハーウィッツがまたしても“一度聴いたら耳から離れない”サイコーに盛り上がるスコアを使用して「吐瀉物映画」(さっきから言い方酷くなってね?)を作り出す……近年何かと規制規制の嵐で「配慮」することを宿命づけられし大作映画で?あえてやってやろうというハリウッドへの反骨精神?挑戦状?いかにも“アカデミー委員会好み”なフリした袋は実は使用済みエチケット袋でしたみたいな?まるでB級、いやしょーもないC級映画ばりのドイヒーな本作が?アカデミー賞にノミネートされるという、もうこれギャグでしょ!チャゼル監督そうなるとわかってたな?そしてアカデミーにウ◯コ投げつけたかったんでしょ?まるでアカデミーをあざ笑うかのような挑発的映画それが「バビロン」。ハリウッドでどこまでハメを外せるか実験したかったとか?







 
【感想(ネタバレ)】





マニーは実に純粋な青年そのもの。お人好し過ぎてよくネリーを好きになったなと(最後は別の人と再婚しますが)あそこまで純粋だと心の汚い私には彼だけ他のキャラと違って浮いているというか、リアリティがないとも思いました。一人だけマフィアに殺されずに済むのも謎の主人公補正がかかったと言わざるを得ない「THE映画の中の主人公」って感じだなーと。



でもね、だからこそ“ラストシーン”が生きてくるというか、マニーは数十年ぶりにふと入った映画館でたまたま見た映画が「まるで自分の半生を描いているかのような」内容で、そこで彼は「自分のこれまでの半生はなんて「映画的」だったのだろう」と、映画の世界のように劇的にそして何よりキラキラと輝いていた、あの世界を彼は思い出して涙する……あのシーンは実にエモかった。現実と映画が彼の中で一つになった瞬間であり、他のキャラは呆気なく殺されたり自殺したりでとてもリアルな最期なのに、彼だけが「映画の主人公」だからあのような感動的なラストを迎えることが出来た___とも考えられないだろうか?



そんな“映画”を生きたのか、それとも“映画みたいな人生”を生きたのか?彼らにとっても我々の見る3時間の如くあっという間の出来事すぎてビックリしているんじゃないかってくらい、人生とは素晴らしくそして短命で儚いもの……ハリウッド黄金期を壮大に駆け上がりそして転がり落ちた「クリエイター」達の生き様はやはり「勢い」が桁違いですね〜。


0件のコメント

関連記事

すべて表示
bottom of page