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新幹線大爆破(2025)


【原題】新幹線大爆破

【監督】樋口真嗣

【出演】草彅剛 細田佳央太 のんほか

【あらすじ】

新青森から東京へ向けて定刻どおり出発した新幹線「はやぶさ60号」。車掌の高市和也は、いつもと変わらぬ思いで乗客を迎える。そんな中、1本の緊迫した電話が入る。その内容は、はやぶさ60号に爆弾を仕掛けたというものだった。爆弾は、新幹線の時速が100キロを下回ると即座に爆発するという。高市は極限状況の中、乗客を守り、爆発を回避すべく奔走する。一方、犯人は爆弾解除のかわりに1000億円を要求してくる。はやぶさ60号の乗務員・乗客はさまざまな窮地と混乱に直面し、事態は鉄道会社や政府、警察、国民をも巻き込み、犯人とのギリギリの攻防戦へと展開していく。(映画.COMより)


【感想(ネタバレなし)】

『電気工事士最強説』





どーもどーも突然ですが新幹線のトイレを流した時に出る音のモノマネします!!シューッ……シュポッ!!ラーチャえだまめです。本日はそんな全席指定席になるGW真っ只中で沢山の方がご利用されるであろう新幹線……に爆弾が設置されたぁ!?と恐怖を植え付けGW中自宅でサブスク三昧にさせるネトフリの陰謀かもしれない??コチラを拝見させて頂きました



【新幹線大爆破】ああああああー!!!!大変物騒なタイトルでありますが75年に制作された邦画発の同名パニック映画をネットフリックスが令和的解釈を添えて“リブート”??主演は草彅剛。そして監督はこれまで数々の特撮映画を手掛けてきた樋口真嗣……と聞いて思い出されるのがすこぶる前にやったこちらも同名映画のリメイクにあたる「日本沈没」。当時小学生だった私的には、ちょうどドハマりしていた「ガメラ3」で樋口監督の凄さは身に染みていたし地震でギロッポンヒルズが倒壊するシーンとか「スッゲェー」と奥お口アングリラ状態のまま劇場をあとにした楽しい思い出として残っていたのですが、“セリフっぽいセリフ”に人物描写があまりに酷い……と当時から樋口監督の“ヒトの描き方”には賛否両論ありそれは私も成長していくにつれ「あれ、この監督特撮はすごいけど……」と疑念を持つように



まぁそれから「隠し砦」「のぼう」そして「進撃」……単独監督として「シン・ウルトラマン」で汚名返上したんじゃないかと勝手に思っていたのですが、アレはアレで“プロデューサー”の色があまりに濃くて、では本当に樋口監督は「特撮“だけ”の人なのか?」__いやいや今作でその迷いを完全に払拭したと言っても過言ではない!?








まず最初に驚かされたのがCGの粗を隠す為にやたら暗がりのシーンばっかり……皆さんそんな経験ありませんか?ところがどっこいむしろ太陽の下の真っ昼間から新幹線を爆速してやろうじゃねえか!!っていう、これは特撮に絶対的な自信がなければ出来ません!?「シン・ゴジラ」「シン・ウルトラマン」に次ぎまたしてもそれを実現してみせた日本特撮界を牽引する樋口真嗣監督だからこそ実現できた爆走東北新幹線のリアルな描写。しかも今回それを後押ししているのが「実写」との融合。75年版では「新幹線大爆破」なんて縁起でもないタイトルにイメージダウンを恐れた当時の国鉄により協力拒否されましたがそれから数十年ゴジラに在来線アタックして反感を買ったかに思われたJR東日本が今回特別に「全面協力」しているんですね〜!!撮影用に現東北新幹線を借用しちゃったらしい(しかも何往復もさせたとか…)駅構内シーンや新幹線が発車するシーンは「実際の映像」だし、車両内部も「作り物ではないホンモノ」だからここまでリアルに再現できたんだなーと。



そして樋口監督と言えば“特撮”。特撮と言えば“ミニチュア”であります!!令和の時代になろうと精巧に作られたミニチュアサイズの新幹線を駆使してのアクション撮影。なお新幹線のミニチュアを使った撮影は“75年版とやってることは同じ”という所に樋口監督の日本特撮を途絶えさせない情熱といいますか、何がなんでも特撮でやってやろうという“意地”のようなものを感じましたね!!他にもミニチュアサイズの家とか貨物列車とか火薬の量異常だろレベルにドッカンバッカン本当に爆破しちゃってます……(そしてダターン!な爆破音は「シン」シリーズでも恒例)



…とここまでは監督としてある意味“安心材料”。問題はそれ以外であります___。



2時間超えの長編ながらOPからして超特急!?開始早々にしてもう「ば、爆弾…!?」ワードが飛び出すおいおいそんなこと言ってるうちにもう青森発東京行き新幹線出発進行しちゃったよ!?犯人の見せしめでまず貨物列車一台爆発しちゃったけどぉ!?早くない??このままずっと爆走し続けて尺が持つのか!?…なんて思っていたのですが



「途切れることない緊迫感」“時速100kmを下回ると爆発する”いやこの設定の面白さ。100km以上出し続けるのは容易くてもですよ?それだけ早く動けば“早く終点までついてしまう”わけです。爆破させないためには“なるべく終点に着くまで時間を稼ぐ”必要がある。だから100kmスレスレを狙わないといけないわけで……運転手並に手に汗握る一定の緊迫感を保ち続けているのも良かったですね。草薙演じるベテラン車掌が細田佳央太演じる新米車掌が「しょわぁぁ〜!!!」とパニクるのもなだめつつ乗客たちのパニックも沈静化しようと奮闘。そして令和版では濃ゆい顔の千葉真一がのんに変身しちゃうんですね!?(役名も違う)JRサイドのキャラクターは草薙演じる車掌すら“背景”こそ(相変わらず)深堀りされませんが、今回はそこまで気になりませんでしたね。ほかにも乗客に尾野真千子演じるスキャンダルをすっぱ抜かれた議員にYouTuberの要潤などなど“たまたま”乗り合わせたにしては妙に濃ゆい個性的なキャラクターも勢揃いですし、キャラクターの背景より先述した一定の緊迫感を優先し、“目の前の瞬間のパニック”にどう対処していくか、ソッチにフォーカス度100%して今回は逆に英断だったのではないかと思いました。「お客様の中でお医者様はいらっしゃいますか〜」はよくあるシチュでも「電気工事士1級持ちの方〜」って呼ばれる日が来ようとは……(2級のワイ低めの見物)



「シン」シリーズから相変わらず「司令部のシーン」がまたカッコいい。そのジョブの人じゃないと理解出来ないワードがポンポン飛び出すけど“わからないからなんとなくプロフェッショナルっぽく見える”ってのもあるじゃない??「ATC開放!」……もうエヴァじゃん。司令部を統括する斎藤工がベーターカプセルならぬ懐中時計片手に時間を図りながら物凄い速さで他の社員に指示を出すスピード感、そこへモノモライ刑事やら“お役所”の人間がズカズカ入ってきて急に場を仕切ろうとして時に対立。でも斎藤工が良いこと言うんですよね





このセリフが一番グサっときたなぁ〜。露骨な政治批判とか差し込むことへの賛否はあるかもしれないが、私は今作のような万人向けの大衆映画だからこそ露骨すぎるくらい強烈なメッセージをぶち込んでくれと言いたい。「シンゴジ」と明らかに今回違うのがどちらも「もし現実に天災(ゴジラ)や人災が起きたら政府はどう動く?」というシュミレーション映画なんだけど「シンゴジ」でははじめは街にゴジラが上陸するか否かの瀬戸際で能天気にゴジラのネーミングで悩むような滑稽さはあれど最終的に役人の「意地と底力」を見せ、まさに日本の中枢を担う組織として捨てたもんじゃないよと「カッコよく」描いていた日本政府を、今作では「じゃあ実際に正しい選択できます?」なんていう、ちょっと意地悪な現政府への批判止まり、で終わらせているというか。そして政府なんてアテにならない、だから自分たちでなんとかしよう。そう言い出すYouTuberが個人的にクラウドファンディングを募り国民一人一人に犯人の身代金を集めようとする。今や政府よりSNSで活躍する個人の“声”のほうが世の中に響き多大なる影響力がある、そんなことも暗示している。これは令和版だからこその改変だし、でも実際にこのようなことが起きたら…?政府の“対応の遅さ”これをある意味悲劇的に描いた映画でもあるんですねー。



いやーこれはめちゃくちゃ映画館で観たかった!!クオリティ的に本来なら配信と劇場公開の同時出発進行〜と言いたいところだが、GW中に75年のオリジンの方を限定上映…しかも今作が配信されて少し経ってから上映されるんですよね。その意図が本作を見るとわかってしまうというか









まさかの「リヴート」じゃないってのが一番の衝撃




オリジナルを「超える」のではなく「見せよう」とする姿勢!?いやーオリジンの大ファンである樋口監督の「原作愛」が、結果的に「オリジンの番宣映画」としての側面も用意していて、普通はリブート作の前にまずオリジンを観て予習するとかしますやん?勿論その正規ルートでもOK。なんならオリジンは各サブスクで配信中です。が75年版は単純に映像が「古い」。それがネックで若い方にはウケが悪い。そこで今作には存分に楽しませた上で「絶対にオリジンを見たくなる仕掛け」が用意されている!今作がオリジンを見るきっかけ作りになっている。オリジンを超えようとか、なかったことにしようとはせずむしろストーリー上にも「オリジンの上に今作が成り立つ」ようにしているんですよ。だから今度オリジンを劇場公開するのか〜と納得してしまいました!!



新幹線ならびに司令部での鉄道員の活躍、線路って鉄道員の人力で動かしてんだよね。あれを見るとどんなに技術が発展しても「鉄を動かすは人」、鉄道は人で成り立ってるんだなと……否「仕事」ってみんなそうだよね??シャカリキ仕事民の日本特有の「仕事人」映画をまたしても堪能してしまったような、そんな気分になりました。

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