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インフィニティ・プール(2023)


【原題】Infinity Pool

【監督】ブランドン・クローネンバーグ

【出演】アレクサンダー・スカルスガルド ミア・ゴス クレオパトラ・コールマンほか

【あらすじ】

スランプ中の作家ジェームズと資産家の娘である妻エムは、高級リゾート地として知られる孤島へバカンスにやって来る。ある日、ジェームズの小説のファンだという女性ガビに話しかけられた彼らは、ガビとその夫と一緒に食事をすることに。2組の夫婦は意気投合し、観光客は行かないよう警告されていた敷地外へとドライブに出かける。実はその国には、観光客は罪を犯しても自分のクローンを身代わりにすることで罪を逃れることができるという恐ろしいルールが存在しており……。(映画.COMより)


 
【感想(ネタバレなし)】

『自我に目覚めたこんにゃくゼリー』

 




どーもどーも伊豆のインフィニティ温泉に行ったものの眼鏡がないので景色はおろか温泉と海の境目すら見えませんでしたラーチャえだまめです。本日はそんな色々と「境目」が見えなくなり四苦八苦する男の話



【インフィニティ・プール】!!そうだよオレだよオレ、ブランドンだよ














クローネンバーーーーーーーーグ!!!!





ハエ……あいやカエルの子はカエル過ぎたデイヴィッド・クローネンバーグを父にもつ「二世監督」として着々と頭角を現しているブランドン・クローネンバーグ(本人はそう呼ばれたくないだろうが)その父は去年新作の「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」を引っ提げ未だ衰え知らずな完全変態っぷりを披露しキモオタ、あいやファンの期待に答えて下さいましたが??続く今年はブランドンの新作も見れてしまうんですか隊長ー!!?たった2年前に公開されたばかりだった「ポゼッサー」の衝撃の余韻が未だ残るうちにまたしても安定の「18禁」映画を爆誕さしてしまったらしい



スランプ状態の売れない作家“ジェームス”が、とあるリゾート地で出会った金持ちの“バウアー夫妻”と意気投合した暁に?危険がいっぱいで観光客は足を踏み入れられない「リゾートの外」にお忍びで出かける案を持ちかけるのですが……その帰り道、暗がりの中でジェームスが居眠り運転したのが仇となり人を轢き殺してしまう__。



そのリゾートのある島には、たとえ窃盗だろうが傷害だろうが何だろうが罪の大小を問わず「罪人は即死刑一択」の手厳しい法律が存在していた!?そんなことなど知らず翌日地元警察に捕まり弁護士を雇う間もなく突然の死刑宣告を受け何がなんだかわからず混乱で頭が真っ白になるジェームス。しかし警察官の口からは「意外な返答」が返ってきて……



まあそんな地元の法律なんて知りませんよね、という観光客超優遇処置発動!?多額の金と引き換えに「自分のクローンを身代わりに処刑する」という…???一体全体そんな技術がなんで小さな島に存在するんだ、という思考はこの際一切捨てて下さいね?本作は“サイエンスフィクションホラー”の部類に入るかもしれませんが、どちらかと言うと「世にも奇妙な〜」な世界線に近い。日常の“外”にある非日常___我々の知らないトワイライトゾーンの彼方にジェームス同様我々視聴者もダイブする、そんな摩訶不思議アドベンチャー体験が出来るかもしれません??



それを可能にする色彩やBGM、チームラボも絶句するフラッシュバックを多様した“トリップ”シーンにクローンとは言え「自分が処刑される場面に“自分が立ち会う”」という胸糞過ぎかつ己の道徳心や倫理観が揺らぎに揺らぎまくる!?コレなんですよねぇー。実生活でそんなこと絶対にありえないじゃないですか?だから我々は道徳心を保っていられるのかもしれない。ですがこの島ではそれが“可能”なのです。ジェームスの思考は追いつかないどころか“もうどうしていいかわからない”。しかし目の前で処刑され“罰”を全うした“自分”を見ることで?なんだか自分の中の罪の意識がスッキリ解消…??こうなりゃ「もうナニしたっていいじゃないか」人ってホントに愚かですよね〜。全く道化死てるぜ!?



ジェームスを演じるはアルカポネも嫉妬する今最も「イカれたファミリー」こと親父は銀河の雪見だいふくで弟はピエロの化け物ですよ…?華麗なる俳優一家のアレキサンダー・スカルスガルド。今回は歯医者で口の形取る時ヤラれる器具を加えさせたり変な幻覚剤吸ったらヴァイキングの血が騒ぐ?いやターザンか、長身ムキムキな肉体がまるで通用しないものの見事にどーしようもない位まで“堕ちていく”男を演じております。そして魅惑の女性ガビに「パール」で竹中直人式笑いながら泣く名演技が光りまくっていたミア・ゴス。今作もだいぶ「キメまくった」いや〜大声選手権とか出たら優勝するんじゃない?ジェームスを“母性”でもって狂わすヤバイ女さんを熱演しております。



R18の特権を遺憾なく発揮し誰かに媚びて映画作ってませんよ感が清々しい。グロありショッキングあり監督のセンスがビカビカに光った「異質さ」における演出は毎度の如く素晴らしい。が今回は若干“過激な演出でありきたりな脚本を煙に巻いてる”そんな感じにも見えてしまいました。特に「性器」の多様演出は正直必要性を感じないというか、ギャスパー・ノエに酷似して見えるというか過激=そっちに逃げるか〜、それだと安っぽい感じを受けてしまいました。前作「ポゼッサー」の方が不気味なマスクの演出とか、あえてCGを使わずに非常に手の込んだ作りが“物珍しさ”と相まってかなり“異質”なものになっていたけど、そういう意味では個人的には今作は前作以上な衝撃度はありませんでしたね。しかし今作ではブランドン監督の「父親コンプレックス」が?偉大なる父親の七光と言われ常に比べられてきた壮絶な苦悩を?まるで知ってくれと言わんばかりに今作ではかなりわかりやすく作中に匂わせている。そういう意味では今作は父親の18番「ボディ・ホラー」とは相反する「“肉体”だけが罰を受けても意味もなさない」というテーマもあるかもしれません??






 
【感想(ネタバレ)】






夢のリゾート=周りを有刺鉄線で囲まれた構成施設かな?「法律」という縄で縛られた世界でムシャクシャして爆発する前に?定期的にリゾートに行き「法律」の穴を掻い潜った「治療」によりまた元の世界へ戻っていく……ラストはクサナギーニョが昔やった「世にも奇妙〜」の話を彷彿とさせる。まあそれもちょっとありきたりっちゃありきたりなんだよね。



これ実は全てジェームスの「妄想」の話……と大胆解釈出来ないだろうか??そう思う理由は4つ。まず1つはなぜジェームスの職業が「作家」なのか。もちろんジェームス=ブランドン監督自身という見方も出来るし、ただ「創作ネタを求めてリゾートに来ている」とわざわざセリフでもって説明する点が気になって、つまりリゾートに入ってから起こった出来事は全て彼がリゾート内で妄想を膨らませた創造の産物という見方も出来ません??



2つ目はリゾートを離れるラストシーン。バウアー夫妻たちと同じバスに乗るも、1人だけ上の空のジェームスと引き換え、イカれたやつらはまるでそれまでの彼らとは別人のような振る舞いを見せる。夜中車のライトが消えたりついたりするシーンは、現実から妄想の世界に切り替わる合図なのでは?さらにそのシーンではバウアー夫妻はおろか、ほかのメンバーがジェームスと会話するシーンがない。もしかしたら会話しない=ホントは一度も会話すらした事のない他人同士だったとか?バウアー夫妻や他の連中はリゾートで見かけただけの人たち?ちなみに妻と別れた本当の理由は劇中セリフにもあった“単にヒモな夫に愛想をつかせただけ”という見方も出来る。そして3つ目はラストカット。ジェームスが空港からまたリゾートに戻ってきて一人荒れる海を前に椅子に座るシーン。誰もいなくなったリゾートに1人だけ座り込む姿は、物語が全て彼の頭の中の出来事であるかのように暗示しているようにも見える。



4つ目。これは「インフィニティ・プール」のタイトルそのもの。その名の通り海とプールの「境目」が見えないことを指すワードだが、それが現実と妄想を現しているのでは?最もこの「境界線の欠如」という意味は、「道徳心」「善悪」「自己制御」にも当てはまると思いますが。「自分が殺される姿」そして「自分自身で自分を殺す」……そりゃ頭イカレまくって最期はママ〜ってチュパチュパするのも納得ですね!?

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