THE MONKEY ザ・モンキー(2025)
- ラーチャえだまめ

- 9月23日
- 読了時間: 6分

【原題】The Monkey
【監督】オズグッド・パーキンス
【出演】テオ・ジェームズ タチアナ・マスラニー クリスチャン・コンヴェリーほか
【あらすじ】
双子の少年ハルとビルは亡き父の持ち物から、ぜんまい式のドラムを叩く猿のおもちゃを見つける。その頃から双子の周囲では不慮の事故死が相次ぎ、最初はシッターのアニーが、次いで母が亡くなってしまう。いずれも死の直前に、猿のおもちゃがドラムを叩いていたことから、猿が2人の死に関係しているのではないかと考えたハルは、猿を切り刻んで捨てるが、いつの間にか元通りの姿で戻ってくる。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『結論:絶望したらとりあえず踊ったらなんとかなる(ならない)』
最近生まれた親戚の赤ちゃんと同じ目線でワチャワチャしていたら親戚から「精神年齢一緒か。」とツッコまれましたラーチャえだまめです。本日はコチラの映画を拝見させて頂きました

【THE MONKEY/ザ・モンキー】!!!オズグッド・パーキンス…!!!もう皆さん覚えましたね?今年2度目ですよ2度!!ニコケイのサイコホラー「ロングレッグス」でドカーンと売れたのがまだ記憶に新しい今ホラー界で大注目の俳優も牽引するクリエイターの一人。そんな彼が「ロングレッグス」からわずか1年足らずで早くも次回作を爆誕させたということで早速拝見させて頂きました。持ち手がシンバルだとロメロの「モンキー・シャイン」と一瞬見間違うポスターで訴訟回避……と思いきや「トイ・ストーリー3」でシンバルを叩くサルのおもちゃを登場させたディズニーが“シンバルを叩くサルの著作権”を保持していると思って?(著作権こわ…)シンバルから太鼓に変更したらしい。その原作「猿とシンバル」は(やっぱり)スティーヴン・キング×製作は「死霊館」のジェームズ・ワンさんという下地安定施工すぎね?“子どもウケする気ゼロでしょ”な毎度気色悪いおもちゃのホラー映画あるあるな不気味なサルのおもちゃからして普通に怖いホラー映画かと思っていたら、なんでギャグ漫画作家の漫☆画太郎とコラボしていたのか見てわかった

めっちゃブラック(ホラー)コメディじゃ〜ん☆
いやーこんなにもコメディ色強めとは思いませんでしたねー。「ロングレッグス」のど真ん中サイコホラーを期待するとまずズッコケます。不気味な顔のサルが触ってもいないのに夜な夜な太鼓を叩きまくるホラー映画……では実はないんですよね。どちらかと言うとコレ全く制御の効かない「デスノート」??ただの呪いのおもちゃにしていたらきっと似たような作品に埋もれていただろう。しかし本作はサルがいなくても、ある意味「呪われた家系」の話であり「家族」の物語、だったんですねー。
「サルのおもちゃが太鼓を叩くと必ず人が死ぬ」という怪異によって次々と人が死んでいく映画。いやー「命が軽い。」皆さん簡単にパパっと一瞬で命を奪われていく爽快感?しかもその場で「最も意味不明で残酷な死に方」で……PG15指定ですが内臓ぶち撒けたり一瞬でカラダや頭が木っ端微塵に吹き飛んだり「結構グロい」ので苦手な人は苦笑い、かもしれません!?(まあそれでも死に様は笑えます)巻き込まれたらたまったもんじゃありませんが、見てるこっちはあまりに「バカバカなピタゴラスイッチ」発動したありえねぇー“狂死”に思わず笑ってしまう!?配信スルーになった「ファイナルディステネーション」の穴埋めではありませんが、“不遇な死エンタメ”が今なら劇場で見られちゃいますよ〜!!

しかもコメディとホラーの塩梅が上手くて、数こそは少ないもののホラー要素もございます。命をないがしろにした「行き過ぎたコメディ」がふと「ホラー」になる瞬間とかあって、この辺は「ロングレッグス」で見せたカメラワークやら雰囲気作りに似ているなーと。コメディホラーってこういうことかと再認識させられましたねー。
主演はテオ・ジェームズ!!!最近見ないなーと勝手に決めつけておりました「ダイバージェント」シリーズにレン・ワイズマン抜いた「アンダーワールド」シリーズに出演するちょっとタレントのユージ似の俳優。今作では子役と同時に“一人二役”にも挑戦。何あのダサい髪型!この前美容院でカットしてもらった俺かよ!(泣)「罪人たち」に並ぶ今年は一卵性双生児の年?こちらも役の使い分けを上手く演じ分けていると感じました。いや子役もなかなか上手かったぞ!(しばらく同じ子役だと気づかなかった)

ストーリーはもう冒頭から「めっちゃキング草。」親父の代より語られる負の遺産、そこからテオ演じる主人公による幼少期時代が語られるのですが、呪いだけではなくて双子の兄弟との確執やちょっと変わり者の母、そしてスクールカースト!!これもう「イット」じゃねえか!!そんなキング要素も随所に感じられつつ、エンガチョできない家族やサルのおもちゃとの「断ち切れない“過去”との繋がり」がテーマになっていて、サルのおもちゃだけではなく兄とは成人して疎遠になってたり、そのことを(兄の存在そのものを)離婚した妻との間にできた息子にずっと隠しているという設定がさ、まんまバーキンス監督ご自身のトラウマを反映させているといいますか
「ロングレッグス」記事でも書きましたがオズグッド・パーキンスは「サイコ」のノーマン・ベイツ役で知られるアンソニー・パーキンスを父に持ち、父が同性愛者だったことを両親からずっと隠されていた。そのことで幼少期から父に対して確執があったという。そんな同性愛者のステレオイメージを「ロングレッグス」のニコケイの造形作りに応用したのではと記事にしましたが、今作でも悪夢のような物語の全ての「はじまりは父親」という?一番無責任でしかもそれ以降物語に絡むこともない完全に嫌なヤツとして描かれていたり、家族のことを秘密にされてきた息子が心底ゲンナリする姿とか、いやー投影しているなーと。

そんなドラマパートですが若干「あれテオ・ジェームズまだー?」子役の幼少期シーンが長すぎる気もして、その幼少期に“開封しちゃった”サルを成人してまたなんとかしようとする話、、、だから余計に「イット」感が強いっていう。そのサルの「死を回避するルール」も面白いし、事前通告なしのエンドクレジット見て「あーやっぱりそうだよなー」なんの因果かカメオレベルの「ゲスト」俳優が無駄に豪華だったりと驚かされる所もあり。
必ず死は訪れるものなのに、死に際に言うセリフの20パーセントが「ワオ」とか「マジか」で驚いて死ぬって話が強く印象的でしたね。家族に看取られて静かに死ねる人間の率ってどれくらいなんだろう?そう多くはないんじゃないかなー。そんな“不意打ちの死”に備えるなんて無理じゃね?自分がいつ死ぬかなんて誰にもわからないし、もしかしたら本当にサル神様の気まぐれなルーレットで我々の死が決まっているんじゃないかってね。そんなバカバカしくも思えてくるならとりあえずレッツ・ダンシングだ!(キラーン)というハッピー思考で生きていこうじゃないのという?実は命を軽々しく雑に扱っているんだけれど、そこには命は儚く命に大きいも小さいもないという平等性と完全なランダム性を説き、そんなものにビビって生きていても仕方がないしバカバカしいよね、という死に対して前向きな?最後も嫌な気分にならずスカッと終われるのが良かったですね〜!




コメント