VENUS ヴィーナス(2022)
- ラーチャえだまめ
- 5月13日
- 読了時間: 5分

【原題】Venus
【監督】ジャウマ・バラゲロ
【出演】エステル・エクスポシト イネス・フェルナンデス アンヘラ・クレモンテほか
【あらすじ】
スペインのマドリード。ナイトクラブで働くダンサーのルシアは、雇い主の犯罪組織から大量のドラッグを盗んで逃亡する。疎遠になっていた姉ロシオと幼い姪が暮らす、「ヴィーナス」と名付けられた郊外の老朽化したアパートへ身を隠したルシアだったが、ロシオが置き手紙を残して姿を消してしまう。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『ホッチキスとダクトテープがあれば大概はなんとかなる説』
咳が酷くて脇腹?アバラ辺りがズキズキし始めて激しい咳でいよいよ骨が逝ったかと思い病院でレントゲン撮ってもらったら医者から骨じゃなく筋肉の筋を痛めたんじゃないかと言われ「胸にコルセット巻くと少し痛みが楽になるよ〜」と言われたんです。そんなの持ってないよ〜。でもその時ふと思いついたんです。

ダクトテープ巻いたらどうだろう?
……という事実に基づいた本日はコチラの映画を拝見させて頂きました
【venus ヴィーナス 】!?スペイン版「女神降臨」!?POV映画の火付け役にもなった「パニック・スパニッシュ・ホラー」の代表格「REC」の“ジャウマ・バラゲロ”×クトゥルフ神話でお馴染み“H・P・ラヴクラフト”がぁ〜、、、、であぁぁ〜ったぁぁ〜
らしい!?これは気になってしまうではないかと言うことで拝見させて頂きました。「REC」の監督〜、と聞いてPOVの印象が強いかもしれませんが、国際的に名が知れ渡ったのが「REC」シリーズというだけでこれまでのフィルモグラフィーを見ても一般的な(一般的ってなんやねん)オカルトホラーを撮り続ける名手であるバラゲロ監督。その最新作である本作の舞台はまた!?マドリード郊外にあるボロアパート、という「スパニッシュ・アパートメント・ホラー」最新作でもあるんですねー。しかも原作は映画のみならずこの世の全てのオカルトに精通すると言っても過言ではない空想悪魔小説家ラヴクラフトの短編「夢幻の館にて」。既にネトフリドラマ「ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋」でも映像化されていますが、今回米産原作をオムレツとばかりにスパニッシュ風に大胆アレンジしてNEWボーンしちゃったらしい

物語はスペインの犯罪組織が運営するナイトクラブでダンサーとして生計を立てる“ルシア”がクラブ内に隠された大量のドラッグを盗もうとするも直後に組織のチンピラに見つかり負傷。チンピラから逃げることに成功するも傷を追ったまま逃げ続けるのも難しくなったルシアは、疎遠となっていた姉の“ロシオ”を頼りに“ヴィーナス”という名の古いアパートを訪れる。なんとかロシオの部屋にたどり着いたルシアだが、幼い娘と何やらアパートから逃げようとしていたロシオと鉢合わせになり……
主人公ルシアを演じるは“スペイン現代美の象徴”と評される(らしい)25歳のエステル・エクスポシト。モデルとしても活動しスタイルはもうバツグン。それでいて白タンクトップにドンキで売ってる灰色のトレーナーパンツという部屋着スタイルがもうなんでこうもお似合いなんでしょう!?(ただの癖です)でもこの白タンクトップが最終的に“真っ赤っ赤”に染め上がる「REC」から闘うコスチュームは血みどろの白タンクトップってもう相場が決まって……
しかし彼女の“血染め”は実は中盤以降も訪れず??しばらくは“消えた姉”の帰りを可愛い姪っ子とお留守番するにとどまり、アパートの管理人含む“三人の魔女”がなんだか怪しいような姪っ子が“あの人”の命令で夜な夜な自分の手にナイフで六芒星のマーク描いちゃったりちょっと心配だよ〜……しかしそれよりもルシアの居所を探す犯罪組織の魔の手がジリジリと迫ってくるクライムサスペンス色の割合のほうが強いという!?同時進行でもうすぐ前代未聞の皆既日食が!?………で?その辺りの説明もなかなか開示されない。まさに不吉の現れである“怪奇”日食ネタは最近でもダリオ・アルジェントの「ダークグラス」にもあったよね。……というかアパート・3人の魔女・悪魔的儀式……どことなく「サスペリア」に似ている(アッチがラヴクラフトを意識しているのかもしれんが)で何か起きそう起きそう……となって

タイトル回収の“ヴィーナス覚醒”!?愛する姉とその姪っ子を守るためルシアの生命力が突然インフレしていよいよこれからだって時に突然残念な映画になっちゃうのは何故??いやースーパーマリオ状態はほんの“一瞬”でした!?(泣)ハイテンポなダンスミュージックがガンガン流れる中でなぜ失速させたのか……ここは「REC」シリーズのようにチェーンソーやらナタやら(アパートならそれくらいあるっしょ!?)思いっきり振り回して「逆襲」して欲しかったなぁーという素直な感想。これはバラゲロ監督の過去作を知っていればいるほどなおさら盛り上がりを期待してしまうのではなかろうか。また“あの人”が結局何がしたかったのかもまるで説明がなく“ルール”も不明で消化不良だし、犯罪組織との絡みも最後は投げやりって!?ラヴクラフト原作ものに説明は求めるべからず??“不気味な雰囲気を最重要視した結果あえて説明を省いた”んだろうけど、じゃあ我々は一体何を見せられていたんだ…??となってしまいました(汗)
ただ先述した白タンしかりゴア描写がないわけではなくバラゲロ節は“やや”炸裂……これは原作との掛け合いが上手くいかなかったのか。いやそもそも原作とだいぶ改変されているらしく殆どオリジナルに近いんだって??故に実はラヴクラフト要素すら薄いんじゃないかと。ラヴクラフトと言ったらの異型のバケモノも出てきませんし。(「REC」の細々ゾンビならぬ“太太”ボンテージは一瞬だけ登場しますが)結果的に双方の持ち味が上手く活かしきれていないという印象。しかしアクションは少ないけど主演女優の魅力は今作でもたっぷり発揮されていて決してすべてが悪い出来でもありません。悪魔的な力に対抗しうるのは女神だけ!?いや“白タンクトップ”だけぇ!?
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