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マイマザーズアイズ(2023)


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【原題】マイマザーズアイズ

【監督】串田壮史

【出演】泉拓磨 大滝樹 内田周作ほか

【あらすじ】

「写真の女」が国内外の映画祭で上映され注目を集めた串田壮史監督の長編第2作。最新鋭のスマートコンタクトレンズを装着した母と半身不随の娘がひとつの視界を共有し、体と心の境界を見失いながら愛と狂気に翻弄されるさまを描いたサイコスリラー。(映画.COMより)









【感想(ネタバレなし)】
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『“和製クローネンバーグ”』





どーもどーも今年のM-1でお笑い第7世代が全滅したらしいですが本日は海外でそんな第7ならぬ「Jホラー第3世波」と言わしめた、とんでもクライシスな“新感覚”ホラー



【マイマザーズアイズ】…!!!母ちゃんの目がなんだってんだい??いやーポスター見てビビビッとゲテモノレーダーがクンカクンカ……来てしまいました。俗に言うインディーズに分類されるであろうジャパンB級ホラー……シネコンでやってない&無名監督&無名キャスト、だからと言って全く侮ることなかれ、先に言った海外で既にお披露目されそのあまりの「異質」さ故、日本の次世代ホラーのネクストブレイクを予感させたという!?(第1第2が何かは存じ上げませんが)そんな本作の一体何が“異質”なのか、もうすぐ総集編となる2023年度、まさかマギカの














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“ボディ・ホラー”が「2本」公開されるなんて……






しかもうち1本が邦画ですよ皆さん!?これはちょっと嬉しい誤算、体破壊技師と言ったら

オレだよオレ、クローネンバーグだよ!!!クローネンバあああああああああグ!!!!デヴィッド・クローネンバーグの「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」の公開後にまさか邦画で拝められるとは……本作はまさに“和製クローネンバーグ”映画と言ってもよい。“ボディ・ホラー”とは即ち「人体の破壊や変容」を要するホラージャンルの一つで「生理的嫌悪感」を抱く危険性の孕む「モノ好き」さんには堪らぬジャンルといいますか、同じくオヤジの血を受け継ぎしハエ男ならぬ二世ブランドン・クローネンバーグの「ポゼッサー」と同様、今作も「R18」指定されていることからも!?かなりヤバめな描写を期待してしまいたくなる所ですが……



本作に「少しでも興味」を持った方、これだけは先に言わせて下さい。














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「なら絶対に“劇場”で“体感”したほうがいい。」







なぜなら、本作は非常に“劇場向け”の作品だから、否“劇場で観なければもはや意味がない”とすら言っても過言ではない













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「五感」に特化した映画







だから、なんですねぇ〜。








チェロ奏者の仁美とそのDNAを受け継ぎし娘のエリ。2人はいつも仲良しこよしな親子。ある日親子で共演した演奏会の帰り道、自家用車を運転中の仁美の目に異変が起き交通事故を起こしてしまう。仁美は視力を失いエリは首から下が動かない半身不随に。先に意識を取り戻し突然何も見えない闇の世界に立たされる仁美だが、失明前に見たあるネット記事を思い出す。それは“次世代型のカメラ付きコンタクトレンズ”の研究記事だった___。


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若干片桐はいりかジョジョってるルポライター経由で研究者にアポをとることに成功した仁美。自分がどこに連れていかれるのか、その恐怖よりも仁美は己の視力を取り戻すことしか頭になかった。そしてコンタクトレンズを装着し目が見えるようになった仁美はしばらくの間“治験と評して研究員と森の中の施設で監視されながら過ごす”ことになる。その頃娘のエリの意識が回復して……



何よりもまずこの親子が「抜群に“気持ちが悪い”」のは何故だろう。親子なのに何か“違和感”を感じずにはいられない??いや会話の内容そのものに違和感はないのだが、2人の会話のやり取りが妙に“無機質”というかお互い感情を殺しているかの如く……本当に親子ですよね?と疑いの目すら向けてしまう。



そして“VOICE”。アレか?自分自身であとから“アフレコ”するケン・ワタナベスタイルですか?あるいはマイクで声だけ抜き取って編集してるのか“声”がこれまた気持ちが悪いんですよね。しかも気持ちが悪いのは声だけではなくて歩く音、咀嚼音、ビニール袋の擦れる音、シャツをクシャクシャにする音……「いちいち音がデカい。」いやいくら劇場で咀嚼音や小声にすぐ気を取られる神経質人間じゃなくても?なんでこんな“音”だけ異様に拾うんだ?この演出に“嫌悪感”を抱く方もいるでしょう。「“音”が気持ち悪い映画」そう感じたらばもう、本作の奇怪ワールドに飲み込まれたも同然であります。だからもう劇場で実際に聴いて下さいとしか言いようがない。何故こんな演出をするのか。それは、一つは視力を失い音に敏感になった仁美の“疑似体験”。もう一つは、本作を“音”で観るという行為、それ自体が既に“異質”な行為、つまり“ボディ・ホラー”なのではないか…?







半身不随で病院の天井を見上げることしかできなくなったエリの為に仁美はあるアイデアを思いつく。それはコンタクトレンズのカメラをVRゴーグルと接続し、それをエリに装着して“自分の視界に映る世界をエリに疑似体験してもらう”というものだった__??


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そう遠くない未来、ホントに実用されそうな「新型コンタクトレンズ」や今既にあるVRゴーグルといった次世代アイテムがトリガーとなって引き起こされる「怪奇」は、同じくそう遠くない未来への警鐘ともとれる「アップグレード」「透明人間」のリー・ワネル監督作品を彷彿とさせる。そう本作は“SFホラー”という側面もあるのです。邦画でSFだなんて、と安っぽさはありません。仁美はエリの“目”と“耳”と“口”となりエリの意思のまま動き始める。しかしそこでエリの“復讐”が始まる……。



娘が母親を“使って”自分の“母親に対する「真実」を語らせる”ことほど(“親”と呼べる人にとっては)“残酷”なことってないんじゃないかと思いますね。まさに地獄のような一幕。本作随一の“ホラー描写”。そして仁美とエリ、2人の親子が次第に“一体化”していく……これぞ「融合ホラー」。現実か幻想かさえわからぬ不思議な世界観。それが森の中の洋館を舞台に、美しく見えてしまうのがまた素晴らしい。娘と母親が一体化することで見えてくるものとは?「愛」「嫉妬」「孤独」「怖さ」……見る人によって様々なものが見えてくることでしょう。



監督は2020年に「写真の女」で長編デビューした串田壮史。本作はもともと海外出展を視野に入れて製作されたということで、海外の人が求める“新しいJホラー”=既存に囚われない手法で、結果的に日本人の目にも新感覚に楽しむことが出来る代物になったのでは?クライマックスはちょっと笑ってしまいました「…いい演奏だった。」え?

 
 
 

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