top of page

ブラックフォン2(2025)

ree

【原題】Black Phone 2

【監督】スコット・デリクソン

【出演】イーサン・ホーク メイソン・テムズ マデリーン・マックグロウほか

【あらすじ】

子どもの失踪事件が多発するコロラド州の町で、連続殺人鬼グラバーに誘拐され地下室に監禁された少年フィニーは、断線した黒電話に届く「死者からのメッセージ」と、妹グウェンの不思議な力に助けられ生還を果たした。4年後、フィニーは17歳になった現在も事件のトラウマに苦しんでおり、グウェンは意志の強い15歳の少女へと成長していた。3人の子どもが殺される悪夢を見るようになったグウェンは兄を説得し、現場となったウィンターキャンプの地へ向かう。そこで彼らが突き止めたのは、殺人鬼グラバーと自分たちの家族を結びつける、あまりにもおぞましい真実だった。(映画.COMより)


【感想(ネタバレなし)】
ree

『死んでもパァ〜!!デタぁ!!!』





どーもどーも公衆電話って都内にあと何台あるんでしょうかラーチャえだまめです。本日はそんな公衆電話ならぬ“黒電話”でヘルプミーしてくる死者をめぐる「連続誘拐犯VS“スーパーナチュラル”兄妹」がまたしても勃発してしまった



【ブラックフォン2】!!!原題はナンバリングタイトルなのにヘンテコな副題つけて続編と気づかせない邦題作も多い中、邦題も素直にそのまま“2”とつけて下さるのは、ひとえにそれだけ前作が日本でも売れて知名度があることを暗示している!?「フッテージ」「エミリー・ローズ」等ド直球ホラーから「ドクター・ストレンジ」大先生にAppleTVランキングで長らく視聴率トップに君臨した「深い谷の間に」などSF映画も上手い(キアヌ涙目……)名匠スコット・デリクソンの前作「ブラック・フォン」(今回は・ないのなんで?)が予想以上にヒットしたことを受けて制作されたデリクソン監督“初の続編”ものという?その前作はS・キングの息子ジョー・ヒルの同名小説「黒電話」が元に、子どもばかりを狙う不気味な白マスク姿の連続児童殺人鬼「グラバー」と死者も「敵」として出るオカルトホラーかと思いきや、実はその正体はグラバーに誘拐された後無念にも殺された少年たちの亡霊で、むしろ主人公の“味方”として!?時に幽閉された屋敷から脱出するヒントを出してくれたり時に打倒グラバーに向けて永遠のセコンド代表としてパンチングを指導してくれる光景はさながらロッキーとアポロなんよ!?という意外な展開と“感動要素”もミックスされ個人的にもめちゃんこ面白かったのですが


ree

その続編である本作は“一応”映画オリジナルのストーリー。デタデタ原作から独立して独自ルート化した「リング2」かよ!!…と思われるかもしれませんが、前作もそもそも主人公の名前が違ってたり妹が登場しなかったり(原作では姉)両親とも健在であったりと原作と言っても設定はだいぶ改変されていて前作からオリジナル要素は多かったんですよね。しかも原作にも雑誌掲載版のみ物語の3年後を描いたちょっとした後日談が存在していたらしい。(繋がりはあるかは不明)でもさ、いくら前作がヒットしたからってえ、あのラストで続編やるの!?「殺人鬼の役なんてやりたくない」って言ってたのに続編でも引き続き殺人鬼を演じるなんてよっぽど役を気に入ったらしい名優イーサン・ホークがノリノリで半裸の殺人鬼を演じるも前作で無事お陀仏からの“ばけばけ”して“ジェイソン化”してしまうなんてもう死んでもタチが悪い!!果たしてどんな内容になったのか、気になって鑑賞してみたら












ree

相方の方かよ







いやー今回も面白い!まず前作からメインを兄の“フィニー”→妹の“グウェン”に変えた英断よ!?続編だからと安易に同じことはしない、というばかりか今作に至っては前作と“方向性を変える”のも容易だったりして??正直前作は原作設定とはいえ殺人鬼と黒電話、そこに妹の「予知夢」能力と欲張り過ぎで結果的に事件解決の糸口として活躍の場はあれど妹の能力には少々手持ち無沙汰感があった。そこに目をつけて?デリクソン監督は前作でまだまだ物語の起爆剤にも成りうる妹の能力を?むしろメインにしたもう1本撮ろう!と考えるのはむしろ自然な流れかもしれない。



で前作からわずか3年後の続編でありんすがもう兄妹2人ともめっちゃ大人になってるじゃん!!前作ではまだ幼さがあったフィニー演じるメイソン・テムズですが今やすっかりドラゴンライダーに成長したこともあり身長もたくましさもUP。そして今作で主人公になる妹のグウェン演じるマデリーン・マックグロウも顔が変わりすぎて同じ俳優か一瞬わかりませんでした。ちなみに妹のヴァイオレット・マックグロウも同じブラムハウスの「ミーガン」に出演していて、姉妹でミーガンとグラバーのクロスオーバーを妄想しているとかいないとか


ree

2人はグラバーとの死闘後も自身の“能力”がなくなったわけではなくウォーレン夫妻なら引退後もお悩み相談室とか開きそうですが場所問わず至る所に設置された街の無人黒電話から鳴り響く“死者からの「救いを求める」電話”にフィニーは「誰だかわからんがもう救えません!」と毎度お断りする面倒な日々を送り、グウェンもまたここんところ毎晩見る予知夢が原因の夢遊病に悩まされていた。



その夢のシーンがめっちゃノスタルジックでエモくて素敵やん?ワザと荒いフィルムっぽくボケボケした絵面ミラーでこの夢のシーンが独特な世界観を構築している。そしてその夢描写がホラー映画あるあるの「夢か現実かわからない」演出、悪夢から覚めたかに見えて実はまだ悪夢の中だった、みたいな悪夢が現実を侵食するような演出はなくて、荒い画質ではっきりと今は夢!今は現実!夢と現実を我々視聴者が「区別できる」ようにしているのが面白い。


ree

なぜそのような演出にしたのかと考えると、今作にとって夢は単なる恐怖演出の道具ではなく物語のヒントであり現実世界で好き勝手やる“見えない”ゴースト化したグラバーを唯一“見る”ことが出来る「武器」であったりと、むしろ兄妹を「救う」キーアイテムとして作用するからなんですねー。このシリーズが他のホラー作品と比べて異彩を放つのが、ひとりでに鳴る黒電話や死者といった普通のホラー映画なら主人公や我々視聴者にとってトラウマになる「負の効果」を、逆に恐怖から助かる要素、恐怖に「打ち勝つ」プラスの効果として扱ったからなんですよ。そして本作の夢もまた同じでマイナスの効果ではなくプラスの効果をもたらしている。これは悪夢ホラーの代表格「エルム街」などとは真逆の使い方で、そこが本作の魅力というか変わり種感がいいですね!



反面前作ではそれでも死者が出るシーンはしっかり怖かったし恐怖シーンとのバランスも良かったんですけど、今回は最初から死者は味方というのがもうわかっている状態からスタートしますので、彼らにびっくりさせられるジャンプスケアはあるものの妙な安心感を覚えてしまい怖さは半減。さらにグラバーも中盤まで全然登場しなくてここでも怖さは半減。単純に恐怖度で見ると本作はあまり怖くないのが評価の分かれ目かもしれません。



ただ前作とは違い原作になぞる必要もなくなった為か、前作より派手な“ポルターガイストアクション”に夢の中ならなんだってできる?なんなら最終的に「ドリームマスター」みたいになっちゃうしぃ!?映画的な展開が目立ちました。そこがちょっとB級臭くはあれど続編だし今回はオリジナリティに攻めたかった感はわからんでもない。グラバーなんて楽しそうに凍った湖の上でスケート靴でスーイスイ……Mrホッケーマスクのオマージュ?個人的にはホッケーよりカーリングに見えたが


ree

そのイーサン・ホークは今回は(も?)ずっとマスクマンに徹しているしマスクの下もゾンビ化した特殊メイクでアゴなんてもうないし唯一判別できるボイスだって途中まで電話越しですから?いよいよイーサン要素が……(汗)今作でグラバーの過去が明かされる!みたいな宣伝見かけましたが、まぁ確かに間違っちゃいないんだけど(なんなら今回のストーリーはグラバーの過去に繋がっている)ただゴースト化してより“バケモノ度”が増して「復讐するは我にあり!(キリッ)」とかぬかしますがホントにただ殺しまくるキラーマスクになってぶっちゃけカリスマ性は落ちたな。彼の心情を掘り下げたりなぜ殺人を起こすようになったのか、みたいな話は出てこないからなんかキャラ薄くなった?後半明かされる兄妹一家とグラバーとの“無理やりな因縁”も流石にやりすぎでしょう〜(汗)



ほか前作でフィニーのセコンドして協力してくれた不良少年ロビンの弟が出てくるのですが、見た目は兄とは正反対の真面目メガネくんなんだけど彼もまた正義感があって兄妹にずっと協力してくれるし中身めっちゃいいヤツなのが、なんか兄弟揃ってええ子たちやな〜とちょっとほっこり(?)て演じる子役一緒じゃねえか!!(そりゃ一緒だよ!!)



今回もデリクソン監督がティーン時代を過ごした80年代が舞台で、兄妹にあの頃の等身大の自分を重ね合わせたという。特にフィニーがグラバーのトラウマでマリファナ吸わなきゃやってらんねー!学校でも暴力沙汰を起こす不良少年になって完全に前作のダメ親父に似てきている皮肉までかます(それを妹にツッコまれる)わけですが、そんな“不安定”なフィニーに「怖いから暴力的になる」ってボーイスカウトのおっちゃんに言われるんですよ。怖いのはグラバーや死者だけじゃい。色々と不安定なお年頃。たとえば周りの人間たち、社会や将来に対する不安、それが恐怖となって襲い来る。どうしていいかわからない、抗いたいが故に何ふり変わらず“暴力”で自分を鎮めようとしているだけなんだと。絶賛大人の階段のぼり中のティーンに向けて、いや“あの頃”の自分に向けても、おっちゃんになったデリクソン監督は語りかけたかったんじゃないか。また今回も兄妹愛、そして家族愛にも満ち溢れていて、デリクソン監督の作家性が今回も黒ピカリしてましたね〜。氷結すぎる舞台もガラっと変えて続編だけどとても新鮮味もある。なんなら前作知らなくても前作のあらすじだけなぞれば大丈夫!なんだかTOHO系独占(前作もそうだったよな?)で観られる劇場が限られそうですが、今回もホラーだけじゃない完成度の高い映画としてオヌヌメしたい1本です。

bottom of page