クレイフェイス(2026)

【原題】Clayface
【監督】ジェームズ・ワトキンス
【出演】トム・リス・ハリス ナオミ・アッキー デビッド・デンシックほか
【あらすじ】
犯罪と腐敗がはびこるゴッサム・シティ。新進ハリウッドスターのマットは事故で美しい顔を失い、世間から容赦ない嘲笑にさらされる。再起への執念から禁断の治療に手を出した彼は、傷ひとつない元の顔を取り戻すが、その副作用で身体に恐ろしい異変が起こり、心身ともに狂気に蝕まれていく。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『最恐の「顔」を手に入れた男、「顔以外」全部失うの巻』
どーもどーもラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの映画を拝見させて頂きました
【クレイフェイス】___!!??皆さん「バットマンのヴィラン」と聞いて誰を思い浮かべますでしょうか。やっぱりジョーカー?ペンギン?ベイン?……「クレイフェイス」なんてまず出てこんでしょうがあああああああ!!!歴にして古参キャラでも日本ではあまり知られていないヴィランのひとりと言っても過言ではない!?それを何の因果かまだまだ呼び名も定着しないDCユニバース(DCU)の「スーパーマン」「スーパーガール」……と来てココでまさかの「クレイフェイス」!?……これまた随分マイナーな、しかも今回DCU初の“ガッツリR15指定ホラー”という!?しかしですよ、実は「スーパーマン」より前のアニメ「クリーチャー・コマンドーズ」が実質的なDCUシリーズ第1弾と定めた総支配人ジェームズ・ガンですよ?自身のDCデビュー作の「(新)スースク」をグログロにめちゃくちゃにして、商業デビュー作「スリザー」でこれでもかと人体破壊行為を繰り返した「屈指のボディホラー変態」のガンさんですから?同じく泥のように姿形を変えるドロドロのグチャグチャヴィランのクレイフェイスを実写映画化するのはむしろ必然だった_____と考えられなくはないだろうか!?

アメコミ映画としては初の「ボディホラー」昨今のホラーブームを牽引するジャンルの一つで「ルッキズム」にも果敢にも挑戦してしまった、いやーこれまでホラーチックなアメコミ映画、例えば「ブレイド」や「コンスタンティン」、3度目の「ヘルボーイ」……いやそのもっと前だとジョシュ・ハートネットの「30デイズナイト」とか探せば結構あるけど正直ボディホラーは聞いたことがない。さらにヴィランを単独主演に迎えた映画だと「ヴェノム」や「ジョーカー」も挙がるだろう。しかし「ブレイド」や「コンスタンティン」は完全に「ヒーロー」だし「ヴェノム」はアンチヒーローな上に顔に似合わずカワイイキャラで売り込み、そうなれば本作と最も近しい存在かもしれない「ジョーカー」は、ヒーローでもなく愛嬌もない文字通りのヴィラン枠ではあるが、カリスマ的なカッコよさ、社会的弱者としてどこか憎めない「被害者」としての顔も覗かせ、一点調に悪と決めつけるのは難しい存在として描かれたわけで。今作の主人公クレイフェイスは擁護できない「完全なる悪」。振り切った悪なのが、これまた新鮮……かつ純粋な悪が「ここまで人間臭い」ものなのかと!?マッド・ヘーゲン=クレイフェイス。この名前がついに日本にもジワジワと浸透してしまうのでは!?というくらい、実は“人間味”溢れる映画だったんですねー。
まず物語の導入部、主人公マッドが顔を失う理由というのが不運な事故ではなく「自業自得」な所も含めてとても「人間臭が過ぎる」。みるみる悪の道に滑り落ちていく過程がね〜、でもわかるんですよ。ナノテクのチカラで変幻自在にカラダを変えられる“最強の肉体”を手にしたのに、そりゃかつての仲間から全員裏切られ、恋したヒロインは人妻、おい俺アメコミ主人公じゃないんか?ってくらい割とそれ以外は「詰み」状態というか。だからそのチカラを善行ではなく悪行に使ってしまうのも、“だって人間だもの”んなキレイゴト言ってられるかよおおおー!!
また素晴らしいのが醜いドロドロのバケモノになったから心が醜くなるわけじゃない「心が醜くなるからバケモノになる」という設定。「ジョーカー」のような笑い病とか先天性の身体的問題に苦しめられて、既に素質があったわけではない。変身のきっかけも全て自分が選んだ道だし変身するのも「怒りの精神」が引き金になるという……いやもうハルクやん?ならばブルース・バナーのように己の精神を鍛えてコントロールしながら悪と戦うだの、善な心を持ち続ける努力をするかどうかは自分次第、なわけじゃないですか?マッドは「自らの意思で悪を選ぶ」ここがヒーローではなく正真正銘のヴィランとして君臨する清々しさ、しかしながらヒーローではないから「生々しい人間らしさ」が溢れている、そんな魅力の詰まったキャラクターになっているんですよねー。

本作もジェームズ・ガンの「脚本の出来をみて製作」理論に則って映画化のチャンスを掴んだわけですが、要は単にキャラクターの知名度順で映画化するのではなく「脚本が良ければどんなキャラでも映像化する」これにより今回クレイフェイスが選ばれた、だから「脚本がいい」んですよね。そして今回その良脚本を執筆したのが1990年放送のアニメ版バットマンでクレイフェイスの回が一番好きと公言するホラー界を牽引するマイク・フラナガン。だから間違いないわけです。変身能力を開花させ自分の中に「他人」を作り出し多重人格化してさらに精神が侵されていく様、人混みの中で次々と他人に成りすましながらの奇襲、ちょっと予測はできるけど「最高に気持ち悪くて愛おしいオ〇ニー」シーン。これができるのも「クレイフェイス」ならではだし、彼の特徴や魅力を最大限に活かし“キャラ愛”も感じられましたね。
またボディホラーとしてカーペンターの「遊星からの物体X」クローネンバーグの「ザ・フライ」の2大巨頭に“思いっきりオマージュを注いでいる”シーンもあってボディホラーファンにはニヤリとしてしまう仕掛けも。ちなみにフラナガンはアニメ版のクレイフェイスを参考にしたということなのですが、マッド・ヘーゲンというキャラクターは原作だと2代目クレイフェイスで俳優ではなく変身能力の起源も違う。今回はその名前と初代クレイフェイスが俳優という設定を掛け合わせて作り上げているんですよねー。ちなみに「クリーチャー・コマンドーズ」にも既に出演済みのクレイフェイス。死体の横でゲームするお茶目なキャラクターとして登場しますが、今作と同一人物ではないとか??
トム・リス・ハリス。今作を観るまで知らなかった俳優。いやもうめちゃくちゃ「当たり役」過ぎて。イケてるフェイス“なのに”どこか「陰」な影がチラつき、優しそうな瞳“なのに”その奥に眠るは哀しげな感情で“元からヴィランだったわけではない”マッドの転落人生を見事に演じている。また負傷したマッドの顔が段階的に回復していく過程を見せるにあたりシリコン製の何段階もの特殊メイクを顔面に塗りたくまくっての演技、スライムのように皮膚が垂れ下がったり戻ったりする特殊な素材を使ったメイクにも挑戦。“完全体”のみ大きくCG処理されてますが、意外にも本作はCGに頼らず大多数を特殊メイクのアナログ手法をとっていて、それが現実味な「リアル」さも繋がっている。

ホラー映画において「現実味を帯びる」は非常に重要な要素。我々観客が恐怖乱舞するには、ホラーはより身近な存在でなければならない。そんな「リアリティ」重視なジャンルと、「アメコミ映画」という本来なら相反するジャンルが混ざり合ったら?それがノーラン以降始まった「リアル志向なアメコミ映画」でアメコミブームの再熱させたのは言うまでもないが、故に今作のこの「ホラー」×「アメコミ映画」という異色の組み合わせも決して例外ではなく、むしろ非常に相性がいい組み合わせなのでは??と今回観て感じました。
ただ完全体のクレイフェイスの造形はガンの「スリザー」やスチュアート・ゴードンの「フロム・ビヨンド」感もある、しっかりとしたグチャグチャなクリーチャーそのものでリアリティよりインパクト重視という。アメコミ映画らしさも持ち合わせていて、後半で急に中国の高速お面変えみたいな「高速変身」するようになる変身がボディホラー「らしからぬ」とツッコミを入れている方もいるようですが、この軽さが「許される」のもアメコミ映画だから、多少違和感があってもアメコミ映画だからむしろやりましたとイワンコフばかりの?狙ってやってるのがいいし、これにより本作がしっかりと「アメコミのボディホラー」という唯一無二の作品に仕上がっているなーと。この配合が上手いなと思いました。
今作はバットマンが登場しない「バットマン関連映画」ということで、バットマンのことを(いやDCU自体)全く知らなくても問題ない“一切予備知識の不要”な単独作としても観れる1本ですが、バットマンでお馴染みの「ゴッサム・シティ」が本作で初登場し、今後のDCU作品やバットマン映画との世界観の繋がりが非常に気になる所。またウィキで次回作が「マン・オブ・トゥモロー」になっちょるんですが、え次スーパーマンとファイティンしちゃうんですかぁ!?



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