バイオレント・ネイチャー(2024)
- ラーチャえだまめ

- 9月15日
- 読了時間: 6分

【原題】In a Violent Nature
【監督】クリス・ナッシュ
【出演】ライ・バレット アンドレア・パヴロヴィック キャメロン・ラブほか
【あらすじ】
森の奥深くにある朽ちた火の見やぐらに、60年前の凄惨な事件に起因するジョニーの亡骸が横たわっていた。ある日、その死体とともに封印されていたペンダントが、若者たちに持ち去られてしまう。奪われた遺物を取り返すべくよみがえったジョニーは不死のゴーレムと化し、若者たちを静かに、そして容赦なく殺戮していく。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『結論:森でヨガると◯ぬ』
近所のラーメン屋さんが行く度に変わり種の新作ラーメン作っててガリガリくんかよッ!!……何あーたストレスでも溜まってるの?(byスカルノ)そんな時は森の公園でも行って森林浴……しようと入ったらイオンどころかライフまでマイナスになるとか聞いてない
【バイオレント・ネイチャー】ああああああ!!!!癒やされたいのにまーた刺激的な作品を目に入れて充血からのお目々カリカリくん、どーも先日5年付き合った彼女にフラレましたラーチャえだまめです。本日ご紹介しますはホラー専門ストリーミングサービス“Shudder”配給、全米週末興行ランキングで初登場8位を記録した、ホラー愛好家としては精神安定剤的“R18”のグログロホラー映画。「ABC・オブ・デス2」の新人クリス・ナッシュ監督の長編デビュー作で「ザ・ヴォイド」や「サイコ・ゴアマン」で製作に携わった縁でスティーブン・コスタンスキが今作で特殊造形を担当しているという?のに釣られて拝見させて頂いたのですが

ん、これなんてナショナル“血”オグラフィック?
読んで字の如くのまんまミーヤすぎる「暴力」×「自然」のハーモニー!?舞台はどこぞのアメリカの大自然。明るい日差しに美しい緑の大地。こんな場所でソロキャンでもしたらさぞ気持ちがいいことだろう。そしてBGMは鳥のさえずり、木々がきしむ音、川のせせらぎ……都会の騒音から離れた自然の静寂さ、というヒーリング効果のある音も感じながら「目に映るのは残虐非道な殺戮劇」という相反する2つが(何故か)絶妙にマッチングしてしまった、まさに「癒し系ヴァイオレンス」というNEWジャンル確立かぁー!?なんとも不思議なサイコホラーだったんですね。実は当初別の場所で殆ど撮り終えていたのをナッシュ監督が気に入らず地元のよく知る森でアタマから再撮影したらしい。この狂った選択が功を奏したか、これまでにない寺門ジモンもビックリのネイチャーホラーを爆誕させたと言っても過言ではない。否、自然の中のキャンプ場やキャビンなんてホラー映画の“お決まりサービスエリア”じゃないのよと、いや確かにそうなのですが今作は明らかにそれらとは違う雰囲気を持つ。先述した自然を映したドキュメンタリー映像のような世界観の中でホラーをしているのです。さらにそれに加えて

まるでDBDのゲーム画面のような殺人鬼を“背後から映す三人称視点”。殺人鬼の視点ではないものの、まるで画面の殺人鬼を観客が“操っている”ような錯覚を覚えさせる。観客が完全に殺人鬼サイドに回ることで、殺人鬼になった感覚で見てしまうという?故に我々観客は殺人鬼と同じ“追う側”になるので変な話「観客が恐怖を感じる場面は実はない。」殺人鬼と一緒になって森にやってきた赤の他人の若者たちを血祭りにあげていく、そんな疑似体験の危険すら孕むのもR18指定の所以かもしれない??
「海底2万マイル」の潜水ヘルメットみたいなマスクをして準備万端!!とばかりに何の因果か土深くから蘇りし“無口の殺人鬼ジョニー”。大沢たかおも安心の「無敵です。」どんなに急いでも意地でも走ろうとしない大柄の後ろ姿も含めてマイケル・マイヤースやジェイソンを彷彿とさせ「間に合わなければ武器を投げればいいじゃないか」と鎖鎌のような武器と斧を時にトマホークの要領で投げて獲物を仕留める。そして被害者は皆ゴムゴムの実を食したらしい「そうはならんやろがい」な人体破壊描写に思わず笑みがこぼれる。コスタンスキの美術が黒光りの最高のゴア描写。ズボ!!バス!!グググググググ〜!!(フンガーフンガー!鼻息)「シックスセンス」のネタバレよりも酷い「これからこの鋭利な道具を使って少しずつ切り刻まれる」のがわかってしまう、しかも身動きも声すら出せない瀕死状態でナスがママという状況。あれは地獄だよな〜(他人事)

そんな古典的ホラーを踏襲しながらも、ホントにビビったら普通ワーキャーなんて騒ぐ暇なくね?とやりすぎスクリームを修正するかのように、意外にも被害者の皆さん「悲鳴をあげない」本当の恐怖状態に陥ると人は“無声”になる、そんなリアルな恐怖を演出している。安心してくださいもう来ませんよ、と言われても何もいない森を見続けて「アイツがひょっこりはんするんじゃなかろうか」という錯覚に陥る演出も、一見味気ないが実は特撮メインのグロホラーでありながらビジュアル的恐怖に頼らずジワジワと確実に恐怖の根を植え付ける系の精神的ホラー要素も強い作品というのがわかる。
反面明らかな“長尺説明パート”の蛇足感、ただでさえ4:3アスペクト比で画面が小さいのに引きの画でジョニーないしは被害者を映すシーンは、森の広大さと静けさの中で繰り広げられる殺戮のコントラストを見せたかったか、でも物理的にちょっと見づらかったり。まだまだ改善する要素は多く見受けられるが、マスクでなかなかわからない恐ろしいジョニーの素性が、とあるシーンでおもちゃのミニカーのキーホルダーを手に持った途端ブーブー♪と無邪気に遊ぶ(顔面は全然無邪気じゃないけど)そんな可愛らし一面もチラ見せしてくれるジョニーの活躍が早くも拝めるかもしれない?現在続編製作中ということで、愛すべきホラーアイコンがまたしても増えてしまいましたな?
【感想(ネタバレ)】
なんで最後の若者だけイチ抜けさせるかなー。被害者側に立たされるホラー映画なら「助かってほしい」と願っても、先述した本作では観客は完全に殺人鬼側の立ち位置でゲームで言えば被害者が「助かる」=「失敗」で正直助かってもいい気味にはならないんですよね。しかもあの若者たちは冒頭ジョニーの大切なペンダント?を盗んだわけですし一応因果応報的な道理はつく。最後に残された若者にもどんな酷い鉄槌が降るのかと勝手に期待してしまう見終わる頃にはアナタもアタオカな殺人鬼になりませんでした!?綺麗め顔のヒロインの顔面をぐしゃぐしゃにした挙句シリーズ通してバケモノとして再登板させる「テリファー」くらい悪態ついてほしかったなー。R18禁に集るような観客なんてロクな死に方しないような連中ですからさ?まあ殺されはしなかったけど恋人の“死体蹴り”のノイズにこれから一生苦しめられると考えれば立派な生き地獄だけども……。

道端で拾ってくれたオバさんの話は生田斗真以上に長い、あれは流石に長すぎるよ……(汗)生き物が生命活動以外に他を殺める「余剰殺し」について語り、要がそれがジョニーないしは人間にも通じるんだよということを言いたいのだろうが、若者たちのキャンプファイヤーでジョニーの背景を説明するシーンも長いし明らかにテンポを阻害しているのは歪めない。もし続編でこれらを改善してくれれば「テリファー」に次ぐグロゴアコメディとして?人気が出そうなポテンシャルを秘めているなと思いましたねー。




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