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海がきこえる(1993)


【原題】海がきこえる

【監督】望月智充

【出演(声)】飛田展男 坂本洋子 関 俊彦ほか

【あらすじ】

高知県に暮らす高校生の杜崎拓。2年生のある時、東京から武藤里伽子という転校生がやってくる。勉強もスポーツも万能で美人の彼女は、瞬く間に学校中で知られた存在となるが、里伽子自身は周囲になじもうとしなかった。拓の中学以来の親友である松野は里伽子にひかれていたが、拓にとっての里伽子は、松野の片思い相手という、それだけの存在だった。しかし、高校3年のハワイの修学旅行で起こったあることをきっかけに、拓は里伽子が抱えている家庭の問題を知り、それによって2人の距離は縮まっていくようにみえたが……。(映画.COMより)


 
【感想(ネタバレなし)】

『不適切にもほどが……』

 




どーもどーも友人とAVコーナーで「好きな女優はだーれだ」で指さした女優が同じだった時の気まずさったらないラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの作品を拝見させて頂きました





























一瞬画面が乱れました【海がきこえる】だとぉ……!?「ジブリがいっぱいコレクション」CMの中で他作品と一緒にダイジェストが流れるも「そういえばこれなんだっけ」となる方もいるのではないでしょうか、そんなジブリ作品「海がきこえる」……93年作家・氷室冴子の同名小説を当時のスタジオジブリが日テレと共同で制作した“テレビスペシャル”として放送された作品なんですねぇー私全然知りませんでしたよ。これまで何度か劇場公開もされたらしいのですが、如何せん金ローでも“まずお目にかかれない”ジブリ作品としてはかなりドマイナー&“問題作品”??という……それが何の因果か現在Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下で終映未定の“限定上映”されているだと…!?限定という響きに弱い私、そこまでジブリ好きじゃない友人とその日あった約束を無理やり捻じ曲げ「コレ見たらジブリ好きに自慢出来るよ!!」半ば強引に誘ったのですが……今だと













コンプラ的に「アウト」なジブリでした……





 




いやー当日はとにかくスゴい人人人人……ル・シネマって行った人ならわかると思うんだけどエレベーターで行くじゃん?前の回が終わって帰りのエレベーター待ちの列と次の回に入場する列とが完全にドッキングしちゃってもう……観終わった後30分くらい待機しないと帰れませんでした(汗)これから見に行くご予定の方は、上映の前後は時間に余裕を持って行動した方がいいかもしれません…!!と前置きはこれくらいにして、本作は当時スタジオジブリの“若手”クリエイターによって制作された、いわば宮崎駿や高畑勲が全く絡んでいない異色のジブリ作品として初の試みだったようで?物語は東京の大学に進学中の杜崎拓(もりさきたく)という青年が、吉祥寺駅の反対側のホームでかつて高校の同級生で“一悶着あった”武藤里伽子(むとうりかこ)らしき人物を見かけるところから始まる。その瞬間杜崎の大学進学までの2年間の記憶が蘇り、地元高知で親友の松野豊(まつのゆたか)と過ごした“青春時代”に想いを馳せるのだが……



当時のファッション、カセットテープのTVCM、電話線を階段下まで伸ばして通話する光景、高校の修学旅行は“当たり前にみんなハワイへGO”……時代だなぁ〜。そこにジブリ独特の柔らかく温かみのある絵がプラスされ、みんな大好き“エモさMAX”な作品として“今”だから何か引き寄せられる、そんな魅力の詰まった72、72分!?この短さがまたいいですねー(そしてこの短さが金ローでやりずらい理由の1つ?)路面電車や高知城といった当時の高知の町並みも描かれ、杜崎含む高知出身の登場人物のセリフも高知弁。少し聞き取りづらい面もありますが、なんだか全く高知に行ったこともない縁もゆかりもない人間でも不思議と懐かしさを感じてしまいました。そんな高知弁を喋る人間を













“人外”呼ばわりする宇宙人が一人




それは修学旅行先のハワイで“事件”は起きた__。「お金貸してよ。」突然杜崎の元に近づく一人の女性。杜崎は最近東京から転向してきた容姿端麗・成績優秀な武藤のことが少し気になっていた。どうやら彼女は旅の道中お金を無くし今手持ちの現金がないらしい。仕方がないなーと「いくら欲しい?」と尋ねる杜崎。すると武藤は口を開いた









・2、3万借りたい

・杜崎くんバイトで沢山稼いだからそれくらい貸せるよね?

・借りたお金はすぐには返せないわ

・あとなんかきみムカつくね





ふぁ、ファァァーーーーーーーーーッ!!!???しかもおま、転向初日に挨拶してもガン無視したじゃねえかぁああーーーー!!!!!いやーかつてジブリ作品で“ここまでヒロインに腹が立つ”作品があっただろうか…?(汗)ポスターに写る大人気で凛とした姿で立つ女性からは想像のつかない内面に、もはや会場では笑いすら起きる始末。いやどう考えてもおかしいシーンでジブリ特有の素晴らしい音楽が流れるんですよ。もうギャグでしかない。しかし終始自分勝手で散々男を振り回す悪女に何故か(都会の女性の不思議な生態系に)惹かれていく杜崎、そして松野お前もか…!?親友同士一人の女を取り合う取っ組み合いの喧嘩……には至りませんが、同じ人を好きになった時の、あのちょっと気まずい感じって何なんでしょうね。セリフで語らずとも親友としての関係も壊したくないし互いをリスペクトしているから“気を使う”感じをとても自然に描いていると思いました。



しかもこう考えてはどうだろう。武藤里伽子という女性にこそ“時代”を感じるエモさが内在しているとしたら??今の時代では色々と通用しないミスマッチさが、“今となっては”むしろ意外性に富んだ物語として?受け入れ始められたのかもしれない……そして“成長”の2文字はいつの時代も変わらず共感出来る部分。杜崎、松野、そして武藤……今彼らはどうしているのか。そんなことを思わず思い描いてしまうような、後半の同窓会シーンにこれまでの彼らの歩みが全て集約されている気さえする、“若気の至り”で全て解決してしまっているのだが、終わりよければ全て良しのあの“ライトアップした高知城のニクイ演出”に全てを持っていかれ美しくエンディングを迎える。ENDソングもまたエモいな〜(泣)

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