おさるのベン(2026)
- 14 分前
- 読了時間: 7分

【原題】Primate
【監督】ヨハネス・ロバーツ
【出演】トロイ・コッツァー ジョニー・セイコイヤ ギア・ハンターほか
【あらすじ】
大学生のルーシーは友人たちとともに、ハワイの森の中にある高級別荘地にたたずむ実家に帰省する。幼い頃から家族として一緒に暮らしてきたチンパンジーのベンとの再会に心躍らせ、プールにパーティと楽しい休暇を満喫するルーシーだったが、いつもは賢くてかわいいベンの様子がどこかおかしいことに気づく。やがて、豹変したベンは人間たちを次々と襲いはじめる。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『「ホンモノ」を起用しないことに意味がある』
どーもどーもお疲れ様ですラーチャえだまめですー。今日ご紹介する映画はコチラ
【おさるのベン】…!?ジョージではありません映像が流れずヘルプミーなボイスレコーダーの音声のみ、という特異な予告映像でも話題になった本作。もとより凶暴なヘビやワニとは違い普段はおとなしくて優しい“はず”の動物が?突然狂ったように暴れ出し人間サマにキバを向く……キング原作のセントバーナード犬が狂犬病で凶暴化する「クジョー」?またはサルならば同じくキング原作でロメロ監督の「モンキー・シャイン」?いやいや令和版「リンク」やんけ!!……と何を今更また掘り返してんねんと往年の“アニマルパニック”を令和の時代にただ焼き回しただけ……と片付けるには少し惜しい

※動物(人)は無事ではありません!?
……と言うより「ホンモノ」の動物は登場すらしていません!?違いは実際に「動物を起用していない」という!?今作登場するおさるのベンはまごうことなく「人間」が演じているんですねー。えー本物のチンパンジーに演技指導しているわけじゃないんだ〜と残念がったそこのアナタ、ソレですよソレ!!本作はそんな「リアル思考」にこだわることが当の役者動物たちをいかに苦しめストレスを与えてきたか、否「虐待」なんだよと!?動物愛護の観点からこれまでのハリウッド・アニマルの歴史に実はメスを入れ虐待への警告ともとれる、そんな映画だったんですねー。

監督は「海底47m」シリーズの生みの親で勢いに乗って手を出したリヴート版「バイオハザード」で大ゴケして見事ラクーンシティと共に海底に沈んだヨハネス・ロバーツ。いやー今作も「サメ」映画で取り入れたパニックものの「基本の基」をしっかりと押さえつつ自宅の巨大プールの中から出られないという、お得意の「水中パニック」もかいつまむ手際の良さ。舞台はハワイの崖っぷちにそびえる豪華な一軒家。そこに帰郷してきたギャルたちがチンパンジーに襲われる……で説明は事足りてしまうシンプルさ。とは言ってもまずチンパンジーをペットにする家庭なんてヘンダスン一家くらいしか知らねえわ!!特殊すぎんだろ!?あまり日常的ではない環境の中で「クローゼットの中に隠れる」「安全地帯の自家用車に逃げる」といった共感性バツグンの?日常に潜む恐怖アクションをブチ込むことで我々視聴者に遠からずかつ非日常な恐怖体験を提供。
今ならフルCGのベンにすることだって出来ただろうに、あえて時代と逆行する着ぐるみ被った役者に「猿真似」をさせるという!?(だから通常のチンパンより体が一回り大きい)しかしこの古典的なやり方が結果的に「実物」のリアルさを生み感染前でも全くメロくない「気持ち悪さ」を生み出すことにも成功している。いやしかし着ぐるみだと知っていてもリアルでしたね〜原西ゴリラといい勝負や。人間の言葉は発せられない代わりにタブレットで会話できる賢いベン。はじめは人間たちに懐いて(?)いたのに急に口からヨダレだらぁ……ん?どしたん??一応「狂犬病」が原因でベンがイカれちゃった、という経緯は描かれるんですけど「ハワイには狂犬病はない」??……と根本の「何故?」は描かれない。そこがある意味一番の恐怖ポイントかもしれません。でも狂犬病になったからってタブレットで「ヒューマン、、、バッド。ヒューマン、、、バッド」連打するくらい完全に殺人鬼になりきれるんでしょうか……(汗)
チンパンの腕の力はヤバい。それがはっきりとわかる「殴り殺し」に何故か人間の顎が大好きで「顎外し」をまじまじと見せつけてくるR15のゴア描写はしっかりとやっております。ん?ジョン・カーペンター??めちゃくちゃ「ハロウィン」のテーマっぽいどことなく7、80年代スラッシャーホラーを彷彿とさせる古臭いテーマ曲は昭和ホラーへ愛を込めて??キャストはフレッシュな若手で固めておりますが「コーダ愛の歌」でアカデミー助演男優賞を受賞したろう者の名優トロイ・コッツァーが主人公の父親役で出演。手話が今作のキーになるのかな〜、とか思ったらそこまで活用されず中途半端だな〜、いや手話のシーンを使いたいからろう者の役者を起用した、ではなくたまたま演じてもらいたかった役者がろう者だっただけ、という解釈もできるわけで。個人的に本作のネタとしての彼の起用ではないと思いたい。明らかに後半でキル数稼ぐ為に死亡フラグまったなしの被害者A・Bのおバカ青年を登場させる見え見え演出。いやーワンチャン実がコイツがニューヒーロー……なわけないよねーブチブチブチ……ガコぉ〜ん♪

木登りシーンが全然ないのなんで?いやチンパンやろ?着ぐるみでも出来たよね?(き、厳しい…)ベンに毛根ごっそり引っこ抜かれた途端正義感が覚醒するウザギャルにいちいちスマホを取りに行かないもどかしさもあり、一軒家の限られた空間でパニックやるとどうしても「引き伸ばしのテコ入れ」は入るものだが、今作はちょっと不自然さが目立つかなー。もう少し助けを呼べない状況やキャストの動きを自然に見してほしかった所。そしてアニマルパニックと言ったらな、どんなに凶暴化してもそこは動物ですよ、動物もまた人間によって怪物たらしめられた「被害者」という印象操作は必ず入るじゃないですか。ただ本作のベンにはそういった「可哀想」という感情を微塵も感じさせない?本当にベンをただの殺戮マシーンとしてでしか描いていないんですよねー。そこにカタルシスがないとかアニマル映画の根本を突いてないという感想も理解できる。けど逆に考えると本作は本物の動物を起用していない動物愛護からは完全に乖離したアニマル映画、猿マネに過ぎない。だからここまで無慈悲なアニマルを登場させることが出来た、お涙頂戴などせず純粋な「ホラー」として観客が楽しめるものを、という考え方もできる。(そしてベンも飼い主にめっちゃ殴られます汗)
凶暴化したチンパンジー……と言えば近年だとジョーダン・ピールの「ノープ」の回想で語られるTVショーで大惨事を巻き起こした(史実をもとにしている)のを連想させますが、あれもCG処理されたものでした。サルって人間に近い生き物ですからストレスも感じやすくて非常にデリケートな生き物。そもそもサーカスとか人間社会で“働かせる”こと自体間違ってんだよ!!という強い想いが今作を生み出したとかいないとか、そして本物のサルでは表現できないベンだからこそ可能にした人間に思いっきり復讐される光景も映すことで「キミたちが観たい画はこういうのなんだろ?」と反面教師的な意味もあるんじゃないかなー。サルだけの話ではありませんが映画界における動物の在り方について、今作みたいな惨劇を起こさない為に本作は作られた(と思いたい…。ちなみにアニマルホラーの新作で日本で公開されるかは不明ですが批評家からめっちゃ評判の良いイヌが悪霊に取り憑かれた飼い主を救う?みたいなホラー映画があるんですよね〜(なんてタイトルだったかな)監督の実際の愛犬でその映画で俳優犬としてデビューしたそうですが、内容もとよりイヌにストレスを与えないように撮影方法を工夫したまさにアニマル映画のお手本のような手法で撮られた映画らしく、そういうのは非常にホッコリしますよね〜。
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