サンキュー、チャック(2025)
- 2 時間前
- 読了時間: 7分

【原題】The Life of Chuck
【監督】マイク・フラナガン
【出演】トム・ヒドルストン キウェテル・イジョフォー カレン・ギランほか
【あらすじ】
大規模な自然災害と人災が次々と地球を襲い、世界は終わりを迎えつつあった。インターネットもSNSもつながらないなか、街頭やテレビ、ラジオに突如として、「チャールズ・クランツに感謝します。素晴らしい39年間に、ありがとう、チャック」という謎の広告が大量に現れる。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『キング×フラナガン的「人生」の歩き方。』
どーもどーもエロ動画を見る日々、「生きてる」って実感してますラーチャえだまめです。本日はそんなク◯くだらない「人生」……についてちょっとだけ考えさせられる!?
【サンキュー、チャック】!!??パンサー尾形もナニが「サンキュー!!」なのかさっぱりわからないかもしれない前情報なしでトム・ヒドルストンが楽しそうにラ・ラ・ランドってるポスターに惹かれたものの、フタを開ければスティーヴン・キング原作×マイク・フラナガン監督の焼肉のたれより黄金比率の新作じゃないですか??フラナガン監督と言えばダラボンに次ぐ“キングマニア”を自称し、これまで「ジェラルドのゲーム」「ドクター・スリープ」とホラー、サスペンスの帝王キング原作を映像化し見事ヒット。次回作に今度はDCコミック原作の「クレイフェイス」の公開も控えるフラナガン監督が、今回はSF?ファンタジー?「アメリカン・ホラーストーリー」でも見せたホラーを封印してなんでも「とある会計士の数奇な人生録」を見してくれているらしい……くらいの前情報しか持たずに挑んだのが本当に良かった
おいおい何なんだコレ。今年上半期の

「超ダークホース」じゃねえか
コレはメチャクチャ“いい意味”で「奇想天外」の意表突きまくりの!?マジで「ナニも下調べせずに観てほしい」場合によってはアナタの「人生観が変わる」かもしれない、コレは「深い」。宇宙ばりに「深い」映画だあああああああー!!!BIGBANG映画、だったんですねー。
いやースゴいですねー。松田優作じゃなくても「ナンジャコリャ」な入口から、最終的に「どうLIFEと向き合うか」を考えさせられるとは……。

まず原作もそういう順番なのか?全3章からなる物語の、「第3章」から始まる時点でもう奇抜すぎだろ!?物語の「結末」から見せるから、まあ当然「意味不明」です。物語はそう遠くない未来。何の因果か14カ月前から世界各地で震災天災が同時多発的に起きはじめた「死にゆく地球」に住むキウェテル・イジョフォー演じる学校の教師“マーティー・アンダーソン……”いやもう主役も役名も違うし!?主役トム・ヒドルストンはどこへやらな、早速アナザーストーリーから入るんかい??もうすぐ地球が破滅するってのに子どもの成績表なんてどーでもよくないですか!?と保護者に詰め寄られる苦悩。刻一刻と崩壊していく「日常」にどう向き合っていけばいいか。「自殺者がピタリと減った。待っていればその内死ねるからな。」近所のオッサンはユーモアたっぷりに話すが深刻さを物語る。まず我々はこのマーティーと同じ目線に立たされる。一体この世界でナニが起きているのか。本当にこの世界は終わるのか。そして町中できぬた歯科ばりによく見かける「チャールズ・クランツに感謝します。」の謎広告。それはラジオやTVCMにまで現れ、マーティーは「このチャールズ・クランツって誰や…?」と疑問を抱いていく。勤続39年の割には若すぎるだろ!とか、とにかく謎が多すぎる男チャールズ改め「チャック」。そしていよいよ世界が闇に包まれる時、「チャック」の“事象”も最大級に……!?
___からのお次は第2章……てチョイチョイチョイ!?オイなんなんだい!!というお話なんですね〜。まあ続く第2章、そして第1章、と逆再生的に見ていけば、「ほぉ〜んそーゆーお話だったんですね」とわかっていくのですが。(これが最大のサプライズ。)
トムヒのダンス。キレッキレで上手すぎるぅー!?きっと死ぬほど練習したんだろう。路上の大道芸人との“即興ダンス”。いやー感動した。しかも見知らぬ美女も乱入して一緒に“セッション”……トムヒの色気が大爆発した本作の名シーン。なんだろう、ただ「無我夢中になって踊る」って、無駄に思えるかもしれないけど、その瞬間「生きてる」って実感できるっていうかさー。チャックにとっての「生きてる」を我々も同じく実感できるような、実に素晴らしいシーンなんですよね。隣のオッサンなんて手拍子してたぜ?(うるさいぜ…)これは劇場向き映画ですね。トムヒが踊るポスターからわかる通り、そんな本作の核はダンスシーンで、とっても「シネマ」的じゃん?嗚呼今最高にステキな映画観てるな〜と心の中で踊ってしまいます♪

脇を固めるキャストも素晴らしい。マーティーの元嫁にカレン・ギラン、チャックの少年時代に「ルーム」「ワンダー君は太陽」の子役ジェイコブ・トレンブレイほか!?フラナガン監督の嫁さんケイト・シーゲル、「キャプテンアメリカ」のカール・ランブリー、そしてチャックのお祖父さんにマーク・ハミル!!さらに「一瞬」のほぼカメオレベルであんな人こんな人、、、かなり豪華なキャスティングもサプライズ満載で楽しませてくれる。そしてサザエさん的な“悪人がひとりも出てこない”ここに本作最大の“優しさ”を感じることが出来る。
そしてSF、オカルト、そしてボーイミーツガール……ちゃんとこれまでの「キングエッセンス」を満遍なく散りばめられているのも良かった。今作では製作総指揮にキング本人が携わり、より強固なパートナーを結んだ結果かもしれません。
ぶっちゃけ「どういう映画なのか」さえ伏せたいのが本音。人生とは時に些細な事で終わる。皆が皆、天命を全う出来るものではない。とても残酷。しかし「神は何故人を創造したのか。」「何故人は生きているのか。」と考えると、それは人生の中のほんの些細な事かもしれない、それはまだ未来に待っているのかもしれない、「その輝ける一瞬」の為に、人は生きているのではないか?だから輝けるその一瞬を、全力で生きてみようか____そんな、背中を優しく押してくれるような“介護”的映画。
……ご清聴ありがとうございました。
【感想ネタバレ)】
実は脳腫瘍で余命僅かなチャックの“脳内世界”だった最初の第3章っている?と思った方もいるかもしれません。あれは個人の脳内に広がる宇宙を表現していて、たった一人の人間の死が、世界の終わりに匹敵するという、ちっぽけな人間などこの世に一人もいない、と伝える上で非常に重要な章だと思いました。そのうえで第3章を思い返すと、マーティーが元嫁と電話しながら2階の鍵のかかった“開かずの間”を覗くシーンはちょっとホラー的だし、住民が車を捨てて徒歩で帰る異様な光景はシャマラン的な不気味さがある。そして極めつけが、街全体が停電したあと住宅の至る所に青白く光ったチャックが映るシーン。あれは流石にホラーすぎだろ!!そんな第3章がホラーチックなのは、全く先の読めないミステリアスさを醸し出す意味と、あとは自己愛が強すぎるのも一種のホラーだよなっていう所にもかかっているんじゃないかと。

あと第3章の登場人物全てが何かしらチャックの“投影”だとわかると、冒頭でデヴィッド・ダストマルチャン演じる生徒の保護者が「奥さんが息子と自分を置いて、学生時代1ヶ月くらい知り合った男の元に帰った」って話も、余命僅かのチャックも今の奥さんより幼少期に一緒に踊った、あの初恋の子の元に行きたいな〜って一瞬でも思ってたのかよ〜とか?彼らのセリフ一つ一つにちゃんと意味があったんだと最後にジワジワと伏線回収されていく心地よさ。
一つ疑問なのが、幼少期についたチャックの手の甲の傷。死ぬ間際まで奥さんに秘密にしていたというが、結局我々も含めて“あの傷の「その後」はわからない”ということ。チャックが傷をつける前に外の風を浴びに行くシーンに移る直前、ダンスした初恋の女の子のカレシを意味深に映したのはきっと意味があるはず。私は個人的にあの後カレシと“何か”があって、それがダンスの夢を諦める理由になったとか??ケンカでもして負けたとか、ダサい話はしたくなかったから最後まで語らなかった、にも思えますし。
またタイトルを「サンキュー、チャック」に変えた人、サンキュー!!邦題も素晴らしい。原題の「The Life of Chuck」はわかりやすいが、この「サンキュー、チャック」って、見る前はチャックではない第三者がチャックに向かって「サンキュー」と言っているのかと思うじゃないですか?でも実際はその第三者もまたチャックの脳内に生きるもう一人のチャック自身で自分自身に向かって「サンキュー」って言える、39年間立派に生きましたねと自分自身を労う、自己愛って素晴らしくない??という、本作の主題にむしろあっているというか。タイトルが見る前と後で意味が180度変わるというギミックにもなっていて、かなり上手くやりよったなと唸りましね〜。




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