top of page

ノースマン 導かれし復讐者(2023)


ree

【原題】The Northman

【監督】 ロバート・エガース

【出演】 アレクサンダー・スカルスガルド ニコール・キッドマン クレス・バングほか

【あらすじ】

9世紀、スカンジナビア地域のとある島国。10歳のアムレートは父オーヴァンディル王を叔父フィヨルニルに殺され、母グートルン王妃も連れ去られてしまう。たった1人で祖国を脱出したアムレートは、父の復讐と母の救出を心に誓う。数年後、アムレートは東ヨーロッパ各地で略奪を繰り返すバイキングの一員となっていた。預言者との出会いによって己の使命を思い出した彼は、宿敵フィヨルニルがアイスランドで農場を営んでいることを知り、奴隷に変装してアイスランドへ向かう。(映画.COMより)


【感想(ネタバレなし)】
ree

『どうする?アイフル〜♫』





どーもどーもラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの映画を拝見させて頂きました



【ノースマン 導かれし復讐者】!!!ジャニーズ事務所とは一切関係ありません“ノースマン”(北の男)……サブちゃんでもありません23年も留まらぬ勢いのシネマ界の弾丸列車「A24」スタジオがまたしても強烈な異作を爆誕してしまいました!?しかも今作は「次はヴァルハラ〜ヴァルハラ〜、お出口は天井です。」の北欧神話オーディンの宮殿、またの名を「戦死者の館」……要は極楽浄土に行きたすぎて堪らない死に急ぐ“ヴァイキング”の王を主人公にしたらしい去年公開された「グリーン・ナイト」に次ぐファンタジー…??う〜んまだ食いつきが悪いようなのでもう一声



「ウィッチ」「ライトハウス」で脚光を浴びたロバート・エガース監督最新作!?いやー2作品とも同じくA24作品ですが「ほぼ色素がない」作風でお馴染み独特なタッチで人々を混沌と絶望の淵に陥れてきたエガース監督(以後エガちゃんと呼称)が?睡眠導入剤ばりの物静かな人間模様を描いてきた彼が、今回ガラリと作風を変え「壮大なアクション大作」を撮ったとしたら__!?これはちょっと気になるでしょう!!……え、これでもまだ足りないって?















ree

アニャ様の桃がJOIしてます!!!!








ree

時は9世紀の北欧。戦から凱旋した一国の王ホーヴェンディルは自らの死に場所は戦場だと勝手に決めつけいつ死んでもいいように幼い息子アムレートに“王位継承”をさせたいと思っていた。偉大なる王ホーヴェンディルを演じるは今度は長髪でもケヴィン・ベーコンっぽくないイーサン・ホーク。そして王妃はモモアマンの母ちゃんこと大女優ニコール・キッドマン…!!!いやーもうこの2人のキッズなんぞ絶対プリンスだろよ〜なんて思っていたら横からグリーンゴブリンの仮装したウィレム・デフォーが出てきて何やら犬の遠吠えの真似までし始めた“儀式”を行いはじめたぞー!!……その帰り際、祖父フィヨルニルの“裏切り”に遭いホーヴェンディルは討死!!アムレートは突如悲劇に見舞われパニックに陥るも、生前父から受けた格言「父を討った者へ必ず復讐を果たせ」の言葉を口にしながら、殺された父と誘拐された母を救出することを固く心に誓い、たった一人小舟で広大な海へと脱出を試みた















ree

ここで東映のロゴがドーーーーーン(※ウソです)





それから数年後、すっかり大人に成長したアムレートは、王の血を引く者であることを隠しながら“ヴァイキング”(北欧の山賊みたいな武装集団)の一味として各地で略奪と殺戮を繰り返す日々を送っていたのだが……??



シェイクスピアの「ハムレット」をご存知でしょうか?今作はその主人公ハムレットの“元ネタ”とされたスカンディナビアの伝説的人物アムレートを主人公にした物語なんですねー。故に今作は気持ちがいいほど潔い「THE復讐劇」!!父の無念を晴らすため、そして奪われた母を救うためアムレートの“孤独の怒り”が爆発する。ストーリーはかなりわかりやすく、エガちゃんの過去作よりは今回は「抜群に入りやすい」物語となっております!!


ree

演じるは華麗なる俳優一族の生まれアレキサンダー・スカルスガルド。成人したイケてるターザンやキングコングと共闘したりと猿人と縁がある彼が今回プロデューサーとしても名を連ねより厚みをおびた見ろやこの筋肉ー!!!を披露しております。ヴァイキングに転生したアムレートの“野生爆弾”化は留まることを知らず、戰場では人間に喰らいつくリアル“人狼”として時に獣と一緒に吠える吠える吠えるアオー!!















ree

が、あまり脱ぎません。





ポスターに写る裸体の彼が出ないのは何故じゃあああああー!!??まぁ今回はヴァイキング……と言うより奪われた母と再婚して今や2人の息子まで設けていたフィヨルニルの元で働く“奴隷”に扮して、フィヨルニルに接近しようじゃねえかと。確かに潜入作戦の方が“暗殺”にはもってこいですよね……なんならいきなり始めないで最初はフィヨルニルの長男の仲の良い野郎だけキルしてバラバラに解体して屋根の上でも貼り付けにして“見せしめ”にするとか















ree

幸せな家庭を徐々にブチ壊すやり口がもう「ウィッチ」なのよ(※不気味な効果音も自ら演出)






今作はですねー、何かとエガちゃんデビュー作う◯ち……間違えた「ウィッチ」を「連想」させるシーンがあまりに多すぎる!!そんな映画だったんですね〜。まず面白いのが「家庭崩壊」させされる側を描いた「ウィッチ」と対照的に、今作は「家庭崩壊」する側、つまりまるでアムレート=魔女の如く?フィヨルニル一家に“見えない恐怖と混沌”を徐々に植え付けてやるんですね〜!!一人、また一人とヴァイキング時代に鍛えられた“人間離れした”殺戮戦法を披露するアムレート。フィヨルニル側からしたらもう地獄でしかありません!!しかし我々視聴者が同じく恐怖乱舞する必要はありません。何故なら我々はアムレート側に立っているから。だから今回はアムレートの恐ろしい戦いを、ある意味“楽しみながら”観ることだって出来る。まぁ当の本人はヴェンジェンス!!って全然楽しんでませんが














ree

焚き火の前で裸になったり浮き始めたらそれはもう「ウィッチ」なのよ





今作は何かと儀式シーンが多い。アイルランドの民謡なのかどうなのか、なんかそれっぽいものから先祖代々伝わるホーヴェンディルがアムレートを連れ洞窟にある儀式場で野獣先輩並の“獣”に精神を憑依させるスピリチュアルなシーンまでございます。そこまでVFXばかりのシーンではないですがこれまで地味な画が多かったエガちゃんが今作で思い切った演出に踏み込んだなーという印象を受けましたね。獣のように俊敏に貪欲にそして獰猛に……これこそが戦で生き戦で散る男否王の姿ってか??



そして「ウィッチ」でエガちゃんと並び大ブレイクを果たしたアニャ・テイラー=ジョイの奴隷の中でも異彩を放つ美しい髪……女神様〜!!今やすっかり大女優の貫禄さえあるエガちゃんの頼みならもうなんだってさらけ出す覚悟!?復讐心だけで行き続けるアムレートの唯一の“癒やし”担当、なくてはならない存在でありアムレートにとって“守るべき者”となっていき死に急ぐアムレートの心に迷いが……アムレートの傷ついた心と身体を癒やす、まさに女神にふさわしいアニャ様。ほかにもどこからともなく「ダンサー・イン〜」でトラウマを植え付けた歌手のビョークが現れたりと豪華なキャスティングであります。


ree

今作で初お披露目なアクションシーンではアクロバティックで大胆なアクションこそないものの、鎧並に重たい筋肉を大きく振りながら1発で敵を“砕く”……という表現の方がいいかもしれません、火山の下の決闘ってシスの復讐かよ!!メチャクチャかっこよかったですねー。



改めて今回ストーリーはとってもシンプルで逆に少しシンプル過ぎるかなとも思ってしまったり。つまり「意外とあっさりしている」という部分でエガちゃんファンとしては少々の物足りなさを感じてしまうかもしれません。否あっさりと言うか「画で説明する」シーンがあるんですよね。それが今作の「観やすさ」に繋がってはいるのですが、逆を言うと今まで説明不足で難解さがあれど、例えば「ウィッチ」ではその存在はほのめかすものの最後まで登場しなかったから我々受け手側が各々最も恐ろしい“ウィッチ”をイメージしたり“見えない”という得体のしれない恐怖を我々に植え付けることが出来ました。


ree

今作ではその逆でVFXを使った神秘的な描写を受手にちゃんと見せている。それがこれまでの作風に慣れた人にとっては「補助輪」みたいでエガちゃんらしくない違和感というか、今回はたぶん大衆向けに作ったんでしょうね。



上映終了後に劇場を後にするカップルが「ヴァルハラ行こうぜヴァルハラ〜」……もう銭湯行こうぜ的なノリじゃん!!







【感想(ネタバレ)】












ree

ラルフ・アイネソンとアニャが並んだらそれはもう「父と子」で「ウィッチ」なのよ





「パナキです!!」より「ウィッチです!!」しかもケイト・ディッキーもいたらしいじゃない!!この2人クレジットされてましたっけ??アニャといいウィレム・デフォーといいエガちゃんは過去起用したキャストをそのまま使いたがるタイプなのかー。



夫を殺され息子までも失い失意の中フィヨルニルに誘拐され……さぞ奴隷のような生活をしているのかと思いきや、実は母のグートルンが全ての黒幕だった__??私個人としては、それはグートルンの完全なる“後付”なんじゃないかと思いました。確かに彼女の言ったようにホントはホーヴェンディルを嫌っていたのかもしれない、あんな野獣のような男獣臭くてイヤだわ!!ただフィヨルニルが誘拐された時は叫んでいたし(民衆を信じ込ませるための演技ともとれるが)アムレートまでも失い夫と息子の存在を“嫌い”にならなければ精神的に持たなかったのではないか。平然とフィヨルニルとの間に2人の子どもを設けて第二の家庭を持ち幸せに暮らすことなど出来なかったのではないか…?私にはそんな風に見ていました。そして今更アムレートが戻ってきた所で、今まで築き上げた幸せを2度も壊されたくなかった、それがたとえ、かつて愛した息子であったとしても___。


ree

そんな名女優ニコール・キッドマン演じる母が今作の「魔女」枠であったのは言うまでもなく、彼女の素晴らしい演技が光っていましたね。その母の本当の気持ちをアムレートは真っ直ぐな男ですからね、その裏の心情までは読み取れなかったんじゃないかなー。だから殺しちゃった。“魔女”を殺す=“母”を殺す、という救われなさはエガちゃんらしい。ただ最期は相打ちになって父の仇を打ち、自身の瞳にはヴァルハラへの扉が開きましたから?まぁ彼にとっては2つの願いが叶ったことでハッピーエンド……だったのかもしれませんねぇ。最後は死ぬと思いましたけどね!!



ちょっとまた違うけど、個人的に去年見たA24の「グリーン・ナイト」も同じく「伝説の再構築」で、あちらの方がぶっ飛んだ世界観で異彩を放つファンタジーとして、アタマ一つ抜き出ていた感があって好きですねぇ。今作もファンタジーな要素はありますが、どっちつかずというか、やるならもっとファンタジーにしちゃってよかったんじゃないか、リアルとファンタジーのビミョーなラインを行ったり来たりする感じが観ていて少しもどかしかったですね。否エガちゃんは「空想を現実に落とし入れる」タイプの人かもしれませんが…。


Comments


bottom of page