ヘル・フィールド ナチスの戦城(2020)
- ラーチャえだまめ
- 2021年2月21日
- 読了時間: 9分

【原題】Ghosts of War
【監督】エリック・ブレス
【出演】ブレントン・スウェイツ テオ・ロッシ スカイラー・アスティン
【あらすじ】
第二次世界大戦末期のフランス。ナチスが占拠していた城へ5名の米軍兵士が派遣される。しかしそこには戦場でも経験しなかったような恐怖が潜んでいた。不可解な現象が起きる城で次々と正体不明の敵に襲われる兵士たち。真相を調べるうちにナチスに惨殺された家族の悲劇と彼ら自身が忘れていたある事件が関わっていることに気づく…。
【感想(ネタバレなし)】

『“全てを疑え”』
どーもどーも最近好きなのはタコスではなく“ドン”タコスの方だと悟りましたラーチャえだまめと申します。早速ではありますが本日はこんな映画を拝見させて頂きました。未だ続く劇場公開延期の嵐、たとえ見たい映画がやっていたとしても依然気を張って足を運ばなくてはならない日々、、、、そんなこんなでお家で映画を鑑賞される方も多いかと思います。今宵はそんなアナタの巣ごもり生活にもしかしたら“とっておき”の映画かもしれません……。いーや

あなたの「想像しうる映画」ではないことを、ここで宣言致します
【ヘル・フィールド ナチスの戦城】!!!さあさあやって参りました、今宵アナタにお届けしたい作品はコチラ!!第二次大戦の戦火の中、とあるアメリカ兵が防衛任務で訪れた古びた古城……見るからに“デソウ”な不気味な屋敷で案の定“怪奇現象”に悩まされる兵士たち!!彼らの運命はいかに!?……とまぁ、こんな感じのホラー映画なんですけどね。え、そんなのよくあるホラー映画じゃねえかって?まぁまぁそうカッカしないでくださいよ旦那〜。きっかけはフジテレ……DCドラマ「タイタンズ」の先輩風吹かせたがるディックグレイソンことブレントン・スウェイツが出ていたので少し気になっていたのと、監督があの映画史上“最も切ないEND”との呼び声高い名作SFラブストーリー「バタフライ・エフェクト」のエリック・ブレス監督……いやー「バタフライ・エフェクト」は当時日本でもブームになりましたよねー。

私も好きな映画なんですけどもシリーズ化もされた人気作をお撮りになった監督なのに、あまり巷で名前を聞かないと思ったらその2004年のデビュー作「バタフライ・エフェクト」から実に16年間これといった作品を撮っていなかったんですねー。そして2020年突如として映画界に本格復帰、そして今回“本領発揮”でもしているのかな??くらいの、しかしまぁ実際そこまで期待していたわけじゃあーなかったのですが

捻挫かよってくらい捻りまくりな脚本だこと
こーれーはまたまた、、、、、、全然違う映画じゃねえかぁ!?
深夜にOH~OH〜♫さぁわぁ〜にぃなってぇ〜野宿をしているブレントン・スウェイツ演じるクリス。ふと目を開けると木陰から人影が…?ナチス占領下のフランスで敵兵たちを残虐非道な手口で殺めていくクリスリーダー率いる小隊。。。。。おいコイツら意外とドイヒー連中か?かと思いきや戦地から逃れてきたユダヤ人たちには優しい対応を見せる。うーん一体どっちなんだよ!!そんなこんなで幽霊屋敷に到着〜パチパチ

中には前任の小隊たちが待機しておりました。皆なぜか部屋の中ではなく屋敷の外や玄関前に寝ています…??「お前らなんで部屋で寝ていないんだ?」とクリス隊の一人が問いただしますが前任たちは詳しく答えたがりません。お、これは既にヤバい匂いがプンスカプンじゃないですか!?…それは我々視聴者だけではなくクリス隊もそうでした。前任と交代した直後からもう既に早速聞こえる謎の物音……。え、まだ真っ昼間ですよ?これはちょっと幽霊さん気が早すぎるんじゃないかー?もう新任の兵士たちを驚かせたくってウズウズウズベキスタン状態待ったなしの怪奇現象の数々にクリスたちも「この屋敷には“何か”ある…」と勘付きはじめてしまいました……
まずテンポが非常にナイスですねぇ〜。ドンドンドンドンヒノノニドンな勢いで話が進んでいき怪奇現象もまたドンドンドンドンヒノノn

てお二人兄弟なん?
「タイタンズ」の“ハンク”役でお馴染み「Z Bull ゼット・ブル」でもブレイトンと共演しているアラン・リッチソンと今度は3度目の共演ですかー?もうお二方どんだけ仲良いんすか…!?そんな出演者含む主役が全員“ムサい男集団”という……ヒロインのいないホラー映画もいいじゃないですか〜。しかも機関銃持ったソルジャーですよ?これにはさすがの幽霊さんも太刀打ち出来ないのではー?幽霊さん相手に機関銃で応戦…!!なんてシーンまで想像しちゃうじゃない
とそこは迷わず律儀に幽霊さんを“供養”して怒りを鎮めようとする御一行…。なんだよ意外とちゃんとしてるんだな。しかし敵は幽霊だけではありません。時は第二次大戦、彼らの任務はこの古びた屋敷の防衛、よって迫りくるナチス軍団との戦いにも勝たなくてはならないのです…!!

ホラー映画ながら“戦争映画”として、たとえば戦争の悲惨さだったりラジバンダリそういった要素もしっかり本編に盛り込まれているんですねー。故にワリとグロ度は高めです。屋敷の中でせっかく息を潜めてやり過ごそうとしていたところに怪奇現象起こされて敵に見つかった時は流石に「おいそこは空気読めよ!!」と幽霊さんのKY度を疑ってしまいましたが、、、、KYどころかそこから物語はとんでもクライシスな“急展開”を迎えてしまうのであります‥…
全貌はネタバレの方で書かせて頂きます。いやーこれには流石に空いた口が塞がらねえでありましたむちゃくちゃ“無理ゲー感”はあるんですけどね、斬新で面白いからこの際まあいっか、と私は好意的に見れましたが……。
【感想(ネタバレ)】

まさかの「アサクリ」だった
まぁ確かに「これは現実じゃない!!!」って叫びはわかったけどさ!?まさかそれがネオもビックリな「仮想現実」だなんて……いや〜“第二次対戦”の世界観に完全に騙されました。てかこのオチ絶対わからないっしょ?ラスト数分で訪れるジロリアンも驚愕の怒涛の“天地返し2連続”を豪快に決めてくる荒業すぎる展開ゆえ、アタマの中で解読が追いつかなかった方もいるのではないでしょうか??私もちょっとその辺のアタマの整理をしてみたいと思います。
まず一つ目のどんでん返し。クリス率いる小隊の正体、、、、、は第二次大戦の兵士でもなんでもなく“現代の兵士”でした。そしてとある医療機関(医師役の俳優が序盤で殺されたナチス役と同じこだわり様)とが重症を負った彼らを救うため「“気力”を使った最新医療」で回復させていたんですね。アントニオ猪木がよく言うじゃないですか「元気があればなんでもできる」___まさにそれです。

人間は身体をあまりに酷く負傷すると生きる気力を失いそれが身体の回復を遅らせ死に絶えてしまう……そこで科学の力で“気力”を回復させ身体の回復も倍増させちゃおうじゃないかと、それが負傷者に“仮想現実”を体験させることだったというのです。そして「第二次対戦の経験は仲間たちとの団結力を築くのに効果的で気力回復にもってこい」との医学的根拠を元に(?)クリスたちを“第二次大戦下に派遣された兵士である”と錯覚させました。
ちなみに彼らはなぜ重症を負ったのか。彼らはアフガニスタンに派遣されたアメリカ米兵で、医療物資配布を条件に密かにイスラム過激派の情報をアメリカに流していた、現地で人道支援を行っていたとある家族の国外逃亡を援助する作戦を任されていました。家族のいる家に訪れていたその時、突如過激派の軍勢がやってくるとの一報が。同伴していたエージェントはクリスたちを家の中に隠し過激派に見つからぬようその場をやり過ごせと言います。クリスたちは渋々言われるがままに隠れその様子を伺うことにしますが、アメリカに情報を流したことが過激派にバレてしまった家族は、クリスたちのすぐ目の前で無惨にも殺されてしまいます。任務のためとはいえ家族を見殺しにしたクリスたちは深い自生の念に駆られ「家族を殺したのは自分たちだ」と思うように……

ほかにも家のすぐ近くで“あやとり”をして遊んでいた2人の子供のうち1人が流れ弾に当たったのでしょうか頭が吹き飛ばされて絶命していました。仲間の一人が言っていましたよね「オレは昔死体とあやとりをしていた」と……
ですがそれは本来ならあり得ないことだと医師は呟きます。それは何故かと言うとクリスたちは仮想現実を体験する前に気力回復の妨げとなる「過去の記憶」を消されていたからです。しかし全員家族を見殺しにした罪悪感を、記憶を消されたあとも無意識のうちに持ち続けていたのです。さらに「これは現実じゃない」と、仮想現実の中でそれまた自分たちが無意識のうちに自分自身に言い聞かせ目を覚まさせようとしていたことが判明します。
仲間の一人が「扁平足で足が痒い」と足をかき続けたのも、どこからか聞こえてきたモールス信号や無線機のノイズ音も、それら怪奇現象だと思われていたものは現実世界からの警告だったのです。

ではあの幽霊たちはどうでしょう?あの幽霊たちもまた見殺しにした家族を投影されて作り出された残像……おや?“ヴェトルレク”とベッドで皆が一度は口にしていたと医師は言っていました。それはイスラムから伝わる「呪いの言葉」。そしてアフガニスタンで家族の一人が死ぬ間際にクリスたちに唱えた呪文でもあった、、、
ここで2つ目のどんでん返し。「気力により身体を回復=修復させる」ことが可能なら?クリスたちの潜在意識の中に忍び込んだ死んだ家族の魂たちが、現実世界に修復=復活することも可能!?霊たちは現実世界に再び実体を持って復活するためにクリスたちを利用していたのです…!!
それを知ったクリスは医師に霊たちの恐ろしい企てを止めなければならないと、そのために霊たちを仮想現実の世界であっても“ちゃんと供養”する必要があると言い自分をもう一度仮想現実に戻してくれと訴えます。医師は危険ながらもそれを承諾し彼を仮想現実に戻そうとしますがそこで“記憶抹消”のスイッチが発動してしまいます。仮想現実に戻されたクリスが目を覚ますとそこはOPで彼らが野宿していた真夜中の平地。そしてまた木の陰から葉巻を吸いながら彼の様子を伺う黒い影が……

とまあ彼の供養の旅は永遠にループ……実は何度も記憶を消され何度も同じことを繰り返していたEND?ともとれますね。あの黒い影は一体誰だったんですかねー。もしかして葉巻の所有者=イスラムの過激派か?ただそうなると彼らも同時に死んでいたことになりますし、いよいよ意味がわからなくなってくる……ホラー、戦争もの、SF、そしてドンデン返し……いやーここまで欲張りハッピーセットとは思いも寄りませんでした。非常に楽しませて頂きましたありがとうございましたぁー。
戦争やホラー、SFなど、様々なジャンルが組み合わさっているんですね!
「バタフライ・エフェクト」と同監督の作品らしいですが、バタフライエフェクトってそんなに評価の高い映画なんですね。
”映画史上最も切ないEND”というのがすごい気になります!