呪われた息子の母 ローラ(2021)
- ラーチャえだまめ

- 2022年10月30日
- 読了時間: 7分

【原題】Son
【監督】アイヴァン・カヴァナー
【出演】アンディ・マティチャック エミール・ハーシュ ルーク・デイビット・ブルムほか
【あらすじ】
8年前にカルト教団から逃亡し、シングルマザーとして息子デイヴィッドを育ててきたローラ。しかしデイヴィッドは教団信者に襲撃されたことをきっかけに、謎の奇病に侵されてしまう。やがて、ローラが封印し続けてきた驚くべき真実が明らかになる。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『くぅ〜るぅ〜♪きっとくるぅ〜♪PART2』
どーもどーも渋谷で仮装した日本刀持った黄色いジャージ姿の金髪外国人を見て映画のタイトルではなく「あ、ユマサーマンや。」と発してしまいましたラーチャえだまめです。早速ですが本日も「シッチェス」映画を拝見させて頂きました
【呪われた息子の母ローラ】!!!……いやSiriに翻訳させたんかーい!!!これはもう原題のまま「SON」でいいんでねえか_?とまぁタイトルで“SON”してる非常に勿体ない、いやーはじめに言わせて下さい「やっぱり“今作も”面白かった」かぁ〜!!いやただの「シッチェス」関連で観ようとしていただけで、監督のフィルモグラフィー見たら「ザ・カナル」…?なんか聞いたことあんな……いや前にコレ観たぞ?いやいや前にネトフリサーフィンしてなんか尺が短めだったから気晴らしに観たら「大当たり」したホラー映画の人じゃね…!?えてことは今回も“当たる”かもじゃね!?というわけでビックリまさかの再会アイルランド系アメリカ人アイヴァン・カヴァナー監督の最新作だったとはねぇ…。
その前作「ザ・カナル」なんですが、確か「リング」「暗い水のそこから」を彷彿とさせる“Jホラー”を意識したんだかいないんだかでアメリカンなホラーとは一線を画す“ジワジワ来るぅ〜きっと来るぅ〜♪”系の、海外産で珍しく“ガチめにビビった”演出がすげぇー良かったんですよねー。でもって最新作「SON」(もう邦題すら言いたくない…)いや今回もカヴァナー監督、「やってくれたな。」と。OPからもう期待値が精力剤も飲んでないのにグンと反り上がってしまいましたよ!?もう一度言いますタイトルで完全に「名前負けしている」

ガチ目(硬派)「良ホラー」
だったんですねぇー。
若くしてシングルマザーのローラは一人息子のデイビッドと幸せな日々を送っていた。しかしある晩の出来事を境にデイビッドの様子に異変が起き始める。原因不明の“何か”に苦しみ続けるデイビッド。ローラは刑事のポールの助けも借りながら愛する息子を救おうと奮闘するのだが__。

あまり詳しく語りすぎると面白さ半減なのでこの辺にしましょう。…というか身構える暇さえない「唐突に来る」怖さっての?ちょっと意表をつく演出が多くて今回も「ガチ目に怖かった」この“怖い”っていう感覚、久しぶりだなー。まぁ怖さのツボって人によって違いますが。今作は前作みたいな“余韻に浸る怖さ”と言うより、いきなりビクッとくる“ショック系”のビビらせ方なんですけどね(それでもジワジワいやぁ〜な後を引く怖さもある)だから“劇場でバエる”んですよコレが。
あとはBGM。先日新作ゲームや実写版の続編やら発表された“静岡”っぽいというか……前作「ザ・カナル」でも“サウンドホラー”的な要素もありました。今作でも精神的に不安にさせる効果でもあるんじゃねえかってくらいの良サウンド、以上の2点から劇場向きの映画だと思います!
息子デイビッドを必死に看病し続ける主人公ローラを「ハロウィン(2018)」シリーズで“3代目スクリーム”女優の仲間入りを果たしたアンディ・マティチャック。そこで10代の役やってたというのもあるけど、はじめ登場した時は小学生くらいの年頃のいる子持ちにしては、ちと若いなぁーと思ったのですが彼女の“壮絶な過去”を考えると違和感はありません。そうローラは幼少期に悪魔崇拝を生業とする「カルト教団」に監禁され性的暴行を受けておりその後精神病棟に入院するも脱走、デイビッドはその最中生まれた子供なのです。時よりフラッシュバックされる忌々しい教団時代の記憶。ローラは教団から脱走した今でも教団の恐怖に怯え、そしてデイビッドは「教団に苦しめられているのでは?」と思うようになる……。

このカルト教団の背景をあえて詳しく描かないところが良かったですね。先程言ったローラのフラッシュバックだけでも充分教団の怖さは伝わるし、この手の映画に登場するカルトのボスを出さないことで胡散臭さを感じさせない工夫がされていて。しかもカルト教団、とりわけ悪魔崇拝が「本当に“今でも”存在しているのか」全ては事実か、それとも精神を病んだローラの「妄想」か…?それすら曖昧で実態のない、ただ確実にローラとデイビッドを苦しめる。子役が突然口から血を吐くシーンは結構衝撃的。子役だからって容赦がない鬼畜っぷり。そしてデイビッドを救う明確な方法も見いだせず目の前で苦しむ息子を見つめながら「お母さんはアナタに何もしてあげられない」と言い涙を流すローラ。もうマティチャックの迫真の演技も相まって、凄く胸が締め付けられるんですよね。ワイ子どもおらんけど……
これこそが子を持つ親が「最も辛い」瞬間ですよね。そしてこの映画はそれを永遠見せつけてくるという……確か前作も“父親”の「バッドエンド」だった記憶。どうやらこの監督は親御さんを地獄に落とすことが大変好きらしい……。
そんなローラに「職務以上」に気をかける刑事ポールをマッハGOGOをハリウッドで実写するも興行的には全然GOGO出来なかったエミール・ハーシュ?なんか久しぶりに見たな。ラストだけ“やや着地失敗”しちゃったかな?いきなり取ってつけたような展開が少し気になります。あのENDくらいしかオチのやりようがない感もありますけどねー。
【感想(ネタバレ)】
ラストにサタン?「ラブ&サンダー」のクリスチャンベイルの後ろ姿に抱きかかえられたデイビッド。アレだなよく見たら「ラム」と同じオチやーん。サタンと“望まぬ”子を設けた…て時点で、ローラは「母親として」資格があったのだろうか?いやもし資格があったのなら、ラストでローラが死ぬこともなかったのではないか。儀式も失敗し最終的に「“死”をもって苦痛から開放してあげる」という「ミスト」の父ちゃん理論でデイビッドを殺めようとする「何もしてあげれない」最終手段がソレかよっていう、皮肉も効いてますね〜。

人の生き血をすすることでしかもはや生きられない身体になったデイビッド。いやゾンビかよ。否それが“あるべき本当の姿”と言うべきか。そんな“本当の肉親”のもとに戻ったデイビッドからしたら、ある意味ハッピーエンドなのかもしれませんね。
今作が若干ややこしいのはローラの妄想と現実に起こったことが入り混じっているからだと思いました。
ポールはカルトの一員?腕の包帯は飢えたデイビッドに生き血を与えるため傷ついた傷を隠すためだったことがラストシーンで判明しますが、おそらく部屋の中でデイビッドを囲んでいた信者たちはローラの“妄想”で、あの時信者に見えていたのが実はポールだった説はありません?ちょうどポールがデイビッドを覚醒させてる最中にローラに見つかってしまった。そしてパニックに陥ったローラをなだめるため警察の立場を利用して接触してきたとは考えられないだろうか?

ただそうなるとポールは初めからローラやデイビッドを知っていた=信者の生き残り?脱走したローラは信者から逃れ安泰の地を見つけたと思いきやこれまでもずっと監視されていたのかも。やはり未だ信者の残党共が裏で暗躍していた可能性はありますが、一方で病院の医者たちも信者の一味というのは……あまりに手回しが良すぎるしそこまで力があるの?とも思えて。するとあれはローラの被害妄想?あとポールが初めからローラのことを知っていたなら、単身ローラの教団時代のことを知る人物に会いに行くのもおかしいし。一体どこまでが事実なの?(単に脚本の調合性が取れてないだけ?)
殺害現場に「He is coming」のメッセージを残す意図もよくわからなかったしまぁ色々謎な点も多いですが(それでええんか…)引き込まれるOP、BGM、そして救われないEND等個人的に楽しめたのでポイントは高し!です…。




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