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CURED キュアード(2017)


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【原題】The Cured

【監督】デヴィッド・フレイン

【出演】エレン・ペイジ サム・キーリー トム・ヴォーン=ローラーほか

【あらすじ】

アイルランドで人間を凶暴化させるウイルスのパンデミックが起きてから6年。新たな治療法によって回復した75パーセントの人々が社会復帰することになった。シングルマザーのアビー(エレン・ペイジ)は、回復した義理の弟セナンを受け入れる。一方、回復者を恐れる市民の抗議デモが活発化し、不満を持つ回復者たちは復讐(ふくしゅう)テロを企てていた。(Yahoo!映画より)






【感想(ネタバレなし)】
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『“ゾンビが社会復帰”のパワーワード』

どーもどーもラーチャえだまめと申します。パンデミックはコロナだけではございません例年通り必ずどこかしらの国で人食いウイルスが蔓延している映画的状況に長年のファンも「もうネタないでしょ!!」ともういい加減オワコンなんじゃないかと思われていた“ゾンビ映画”にまたしても新作登場でございます“コロナは終焉、だがしかしゾンビは永遠なり!!”とまだまだ現役なゾンビさんにはいっその事コロナウイルスも一緒に食って頂きたいついにゾンビ映画は「パンデミック“終焉後”の世界」が舞台、というネクストステージに到達してしまった!?【CURED キュアード】!!!

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「あ、なんかゾンビ映画やってんな。」ぐらいにしか思っていなかったコチラの作品、いやー蓋を開けて見れば予想に反して“実に真面目”に撮られている、というのが第一印象でしたねー。そんじょそこらのB級ゾンビものかと思いきや「社会復帰した“元”ゾンビ」が「社会で再びどう生きていくのか」という、非常に重たく複雑なテーマを扱っているという、いやーこれはいい意味で騙されちゃったなぁー。 ゾンビウイルスにより崩壊した世界から6年、新薬によりゾンビ人口の75%が“回復者(キュアード)”として我を取り戻します。国は彼らを社会復帰させる事を決め隔離エリアから“被感染者”のいる社会に解き放ちました。しかし彼らを待っていた“現実”はあまりにも辛いものでした。一歩街に出れば“人殺し”と罵声と石を投げられ彼らを狙った暴力事件も多発、仕事は軍から決められ欠勤も許されない、常に軍の監視下の元で生活をしなければならなかったのです。彼らは“人”としては元に戻りましたが、“人としての扱い”は戻ることがなかったのです。。。。。 心の中で「うわぁーーーーー」と叫びたくなりましたよ。なんでもかんでも今の現実と絡ませるのは間違いだとは思います、しかし私にはこれがどうしても“アジア人というだけで暴力を振るわれる”今ヨーロッパやアメリカなどで起こっている事例に見えてなりませんでした。それは日本だって例外ではありません。そんな人々の抱える“擬人暗記”の恐怖、市民のピリピリした雰囲気などがよぉー伝わってくるんですねぇ〜。見ていて思わず胸が苦しくなるような、“病原体扱い”される辛さ、「人として扱われない」これが一番キツイですよね…。そして彼らをさらに苦しめるのが回復しても「ゾンビだった記憶はそのまま」という!?血の匂い、人肉の食感、、、、、人を殺めた“記憶”が頭にこびりついて離れなれないまさに“地獄”。彼らは自分たちが犯した罪にも苦しめられていたのです……。その中の一人、回復者のセナンはパンデミックで亡くなった兄の妻、義姉が身元引取人になった事で義姉の元を訪れるのですが。。。。。

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この義姉とのまたなんとも言えないビミョーな空気感よ!?そりゃ兄者が生きていた頃は“親戚のおじさん”って事で手厚く歓迎されていたとしてもですよ?兄者亡き後、数少ない“家族”といえセナンも一体どんな顔して会えばいいか??そして義姉もセナンにどう接したらいいのか互いに探り探り……いや「特に口を聞かない」という最悪の選択肢を選んでしまいましたとさぁー!?(一番気まずいだろ!!笑) しかもその義姉が元X-MENメンバーで他人の潜在意識に潜り込む事も出来るエレン・ペイジその人だったら余計に神経質な対応をしてしまうかもしれません!?エレン演じるアビーには亡き兄者との間にもうけた幼い息子がおり、そのことも気にしているんですね。セナンを同居させることで息子に何か危害が及ぼされるのでは??とか当然頭を過りるわけです。周りの人間は「お子さん、心配じゃないの?」なんて言ってきます(他人事のようにねッ!)しかしそれでもアビーはセナンを“HOME”に迎え入れました。それはセナンを完全に信用していた、からではありません。亡き夫を今でも愛しているから。だからその夫の兄弟であるセナンも“家族”として接する義務がある、裏切ってはいけない、というこのアビーの








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マインドの広さよ


いやー最近某映画で「ちょっくら天国見てくるわ」つってそのままチーンして退場してしまったエレン・ペイジですがなかなかいい演技を見せておりますよ!!“たった一人の息子を想う良き母親”として、そして差別的な社会にもめげずに立ち向かう強い女性としての存在感。いや〜良かったですね〜!! 一方収容所でセナンと知り合ったもう一人の男、レイフ・ファインズかと思ったら「インフィニティ・ウォー」の“ブラックオーダー”の一人だったトム・ヴォーン=ローラー演じるコナー。感染前は一流弁護士だった彼もまた社会復帰後に親の元に戻りますが“バケモノ”扱いされ早々と絶縁、軍からは清掃業の仕事を押し付けられます。そんな社会から除け者扱いされて彼の“我慢は限界”に達していました。そして彼は同じ“仲間たち”を集め社会に対し“行動”することを決めたのです




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「“回復者(キュアーズ)”にも人権を___」


かくして徐々に“活動家”としての一面を見せ始めるコナー。そしてコナーはセナンも“同胞”に加えようとします。セナンはコナーにとって感染後の唯一無知の“理解者”でした。そしてそれはセナンも同じ。社会復帰後コナーは特にセナンの事が気が気でなりませんでした。しかしコナーの活動にセナンは事が大きくなればいずれ非感染者との「戦争」に発展しかねないとして危機感を覚えます。 回復者と非感染者との対立。果たしてセナンはどちらに属することを選ぶのか。それは言い換えればアビーとコナー、どちらの“味方”になるか、ということでもあった…。







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「非感染者」と「回復者」、アナタはどちらの立場でこの映画を観ますか?







【感想(ネタバレ)】



監督は今作が長編デビュー作らしいデイヴィッド・フレイン監督。個人的にはとてもデビュー作とは思えぬ完成度だと思いましたね。ジャンルはゾンビですが正直なところそこはあまり重要ではないような気がします。重要なのはまたいつ再発するかもわからない危険性を秘めた“元病人”を受け入れられるか否か、という社会の難しさ、人間の道徳心を揺さぶられるような、そんな大きなテーマを描いているという所だと思いますねー。 “「非感染者」と「回復者」、アナタはどちらの立場でこの映画を観ますか?”と書きましたが、これ“義姉”っていうのがミソですよね〜。一親等なら絶対家族を選ぶ所ですが…。まさにこの映画の本質はそこで私も鑑賞中セナンとコナーが映るシーンでは回復者サイドの立場で、アビーが映るシーンでは非感染者の立場で観ていたのですが、両方の立場で観て思ったのは



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こりゃどっちも理解できるわ


という事でした(答えになってませんねw)確かに回復者たちの扱いは酷すぎる、実は策略家でセナンをはじめゾンビたちを裏で操っていた事も判明し「映画の中では」“悪役”のコナーも、実際彼のような酷い扱いを受けたら?社会に自分たちの立場を主張する事自体は間違いではないし、たとえそのやり方が間違っていたとしても完全に彼を否定する事は私にはとても出来るとは思えませんした。一方でアビーのような愛する息子と一つ屋根の上で生活しているセナンを息子を学校に送り迎えさせる程にあそこまで寛大に受け入れられるかと言ったらそれも全く自信はないですし、回復者によって自分の愛する家族や恋人や友人、大切な人を一人でも奪われたら??彼らを“受け入れられる”か??となるとそれも全く出来る自信がないのです……。これは非常に難しい問題ですよね。

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そんな中“争い”という終わりの見えない脅威に映画の最後まで「今自分が出来る最善」の行動をしようとするセナンが一番道徳心溢れる人間に見えるというか、アビーも素晴らしい女性であるのは言うまでもありませんがラストの締めくくりがまたいいんですよねー。ゾンビ化したアビーの息子を抱きかかえそれをTV中継越しに見て涙するアビー。安易にどちらかを“悲劇の主人公”として殺めて物語を終わらせるのではなく素直に「人間の」というか、最後まで人が失ってはならない大切なものを持ち続けたセナンに感動したというか……“本心”ではないとはいえ実の兄を食い殺した過去は一生変わるものではないし、許されるわけでも記憶から消え去ることもない、ある意味永遠の十字架を背負う苦しみに同情すると共にその覚悟が出来たから最後アビーに真実を告げることが出来たんじゃないかな…。 …暗いニュースが続いておりますが1日も早く安心して映画館に足を運べる日は必ずやってきます!!映画館という素晴らしい空間で見る映画ほど感動するものはありません!!ただ待ちましょう、焦らずただその日が来るのをずっと待って……



2件のコメント


ラーチャえだまめ
ラーチャえだまめ
2021年2月17日

智広さん ゾンビ映画もホントに色々あるな〜と感心してしまいますね笑 感染から回復した「後」に社会から差別される、言われてみれば確かに今のコロナ社会でも同じことが言えますよね… 回復者が社会リンチに合わない社会を目指す必要がありますよね!

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加藤智広
加藤智広
2021年2月17日

”ゾンビ”自体を扱うのではなく、ゾンビパンデミックが終わった後の世界を描くってのはまた珍しい世界観ですね。ゾンビ映画というより、社会派ドラマ? 的な感じかな。

まさに今の時代とリンクしてますね。ゾンビの社会復帰、この目で見てみたいです!

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