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PIG ピッグ(2021)


【原題】Pig

【監督】マイケル・サルノスキ

【出演】 ニコラス・ケイジ アレックス・ウルフ アダム・アーキンほか

【あらすじ】

オレゴンの森の奥深くでひとり孤独に暮らす男ロブ。彼にとって唯一の友だちは忠実なトリュフ・ハンターのブタで、収穫した貴重なトリュフを取引相手の青年アミールに売った金で生計を立てていた。そんなある日、ロブはライバルのハンターから襲撃を受けて負傷し、ブタを連れ去られてしまう。愛するブタを奪い返すため犯人の行方を追うロブだったが……。(映画.COMより)






 
【感想(ネタバレなし)】

『バイト先で高校の先輩に接客する羽目になってなんとなく知らない店員のフリしたけど速攻でバレた時の顔』

 




どーもどーもラーチャえだまめです。「真夏の祭典」嗚呼〜なぁ〜つやすみぃ〜!!な今年もこの季節がやって来てしまいましたッ!!



















カリコレッ!!!カリコレッ!!カリコレッ!!!……新宿駅近アンダーグラウンド、シネマカリテで毎年海外からファッショナブル過ぎて手に負えないゲテモノ映画達を新宿に一堂に集め成仏しようという……あ、いやキワモノの宴も今年で6年目、一昨年はコロナ禍で開催中止、去年はえーっ……個人的な理由で色々あって観に行けなかったわけですが、2022年はより作品もチケット代もパワーアップ!?いやーしかも7/15〜の“フェーズ1”から(WEEKと言えWEEKと)海外で絶賛され日本シネカル界でも話題になっていた、とある作品が入っているではないか…!!



【PIG/ピッグ】!!!おいブタ野郎ー!!ペチンッ!!ぶ、ブヒィ〜ッ!!!西岡すみこと間違えました「ピッグ」!!これはもう読んで字の如く「ブタ」!!と、これまた大きく出ましたねー。主演はやっぱりこの男ニコラス・ケイジその人であります……と、ここで早くも「物好き」さんがアップを開始しました??いやーだってニコラス・ケイジ(笑)と言ったらさ……かつては甘いマスクで女性からキャーキャー叫ばれたアイドル俳優も今では「なんでこんな映画出てんの?」みたいな珍作に立て続けに出演した結果一部のムサいマニア共からおおー!!!と熱烈に支持される、いつしか“B級界のケイジ”というイメージが定着してしまった……そんな彼が今度は「ブタ」というタイトルの映画に出演、これは全く如何なものか!?あらすじを読むに長年パートナーとして愛してやまない「愛ブタちゃん」が何者かによって誘拐された…?はいはいもう最後まで言ってくれなくても結構ですよって?でまた“いつものように”ブチギレて誘拐犯に復讐したら相手がマフィアのボスの息子だった















……なんてこと一切なかったぜブヒ?






 




森の中で魔法使いが今後はブタを弟子にして魔法の代わりにトリュフの探し方を伝授していた感しかない小汚いニコラス・ケイジ……って絵面からは全く想像すら出来ない!?なんと「ピュア」で「繊細」すぎる!?このニコラス・ケイジという「孤独な男」は……!!??あのプレジデントきっての映画通バラク・オバマ元大統領も今作に太鼓判を押したという!?先に行言っておくと本作はアクションものでもスリラーでもサスペンスでもない「ヒューマンドラマ」!!!しかも“ピュア”で“繊細”すぎる男の“涙なしでは観られない”心温まるヒューマンドラマ……だったのであります!!!



いやー全くチミたち、この男に“一体何を期待していた”というのだぁ!?ニコラス・ケイジに向かって「ニコラス・ケイジ(笑)」なんてなーにバカにしちゃってんのよ!!誰が“顔芸”だよ!?(いやいや全部ブーメラン)そんなここ近年のニコラス・ケイジ(笑)を求めれば求めるほどに壮大に“裏切られる”。まず第一ここ数年のとんでもクライシスなZ級映画出演のウラには個人的に溜め込んだ莫大な“借金返済”の為にトップスターの名が汚れようともなりふり構わず作品の良い悪いに関わらず“来るもの拒まず”の精神論で出演していた…??という“やむを得ない理由”だったわけでして!?決して好きで出演していたワケではなく、そもそも大前提として“俳優ニコラス・ケイジ”をキミたちは何だと思っているのか!?チミたちが勝手に散々落ちぶれたネタ俳優だと、勝手に決めつけ勝手に盛り上がっていただけの話ではないか…!?



ニコラス・ケイジ演じるポツンと一軒家スタッフもビックリなオレゴン州の森の奥深くにたった一人で暮らす老人ロビン。彼が長年調教してきた愛すべきブタと共に野生のトリュフを採取しそれをバイヤーに売って生計を立てていた。そんなある晩何者かによってブタを誘拐されたロブはブタを取り戻すためバイヤーと手を組み誘拐犯の足取りを追うのだが……



全編マイナスイオンたっぷりな自然界にいるような「静けさ」に包まれて……体調次第でも恐ろしい程の「睡魔」に襲われるので万全の体制で臨むべし!?物語はチャプターごとに区切られているのですがチャプター名がシャレ乙過ぎるフランスのコース料理のレシピ名みたいでイマイチ意味が……で、なんでチャプター名が料理名なのかというと、このロブという孤独の老人が、実はかつて大都会で凄腕のヒットマ……“料理の鉄人”だったことが判明するのです。我々視聴者は“ブタ探し”の“ロードムービー”を観ながら、彼の知られざる過去を紐解き、そして彼がどれだけブタを家族同然のように愛していたか、そして我々が“リベンジアクション”だの安易に物騒なものを求めることがどんなにチープであるか
















“暴力”で解決しちゃダメだよ〜。






コレですよコレ!!!そしてあの誰もが予想だにしない「感動的なシーン」…!!!これホントにニコラス・ケイジの映画か!?改めて我々は彼にこれまで何を求めていたんだろう、「近年の彼の演技の中では最高のもの」と海外で評されたという、まさしく今作は彼の“演技力が全て”と言っても過言ではない!?そして見事にケイジはその名に恥じぬX-GUNの演技力で視聴者を魅了してくれちゃっているんですねー。



監督は今作が長編デビュー作とは思えないマイケル・サルノスキ。彼自身“ケイジ愛”がなければ、ここまでスバラシイ作品にはならなかったであろう。ちなみにケイジを起用した次なる新作ニコラス・ケイジ映画でケイジ愛が更に爆発してしまったようで、あらすじは「ニコラス・ケイジがニコラス・ケイジ役を演じるニコラス・ケイジ映画」……おいおいちょっとネタに走ってないか?



ロビンと共にブタ探しの旅に出るバイヤーの青年役に「ジュマンジ」「ヘレディタリー」のアレックス・ウルフ。このアレックス演じるバイヤーのアミールのコンビがまたいいんですよね〜。ロビンは時にハチャメチャで手に負えなくって、でも時に“父と子”のような関係性になったりもして……否、父と子と言うよりロビンとは“人生の師”みたいな存在かな?






 
【感想(ネタバレ)】




愛する者を救う為or無念を晴らす為に巨悪に対して絶対的な「暴力」でもって「力ずく」で奪い返す・復讐する___その痛快さ、スカッとする感じも楽しいですよ?がしかし今作ではそんな“映画的な展開”にあえて「待った」をかけたと言っていい、人殺しのナイフではなく食材を切る包丁で「思い出深い究極の一品」で相手を「感動させて」降参させる戦法??なんて平和的な解決方法なのだろう?しかもそれをあのニコラ・スケイジがするのだから。



はっきり言って本編中彼がブチギレて相手に手を出せた場面はいくらでもあった。並の映画なら間違いなくどこかのタイミングで彼の拳が飛んでいただろう。しかしこの映画はそんな単調な方向性へ向かうことはなかった。彼は殴られることはあれど殴ることは決してありませんでした。(あの地下闘技場シーンはいらなかったが)それどころか必死に情に訴えたのに聞く耳すら持たないアミールの父親に対し「感動させる」という回りくどい手段をとった……それは紛れもない彼が「シェフ」であるからでしょう。彼がどれだけ偉大な料理人であったのかは回想シーンがなくとも、彼のことをよく知る“かつての弟子たち”のセリフから容易に想像が出来る。



ただロビンがシェフを引退してから既に15年も経つというのに、かつての弟子から未だに「シェフ」と呼ばれてるって凄いですよね。そのセリフだけでロビンの人格、人望がわかります。これまでシェフとして客に様々な料理を提供してきた。その客一人一人の顔、そしてその時何を提供したのか、客に出した料理を未だに全て記憶しているこれぞ料理の鉄人!!でも料理人ってことはさ、きっと豚肉料理も作ってたと思うんだよね。そこから引退してブタを飼い始めるわけでしょ?はじめはただのトリュフ採取のためだけに飼育したんだろうけど、そこからブタとの間に愛情が育まれたのでしょう。あるシーンでロビンは「トリュフの木は自分で探せる」と言うセリフが出てきます。もうトリュフ採取にブタは“必要なかった”のです。ブタを取り戻すのは“我が子を取り戻す”と同等だったわけです。だからこそブタが息を引き取ったことを知らされ泣き崩れるシーンは観ていて非常に辛いものがありましたし、あえて無音にすることでロビンのやり場のない悲しみ、悲痛な叫びが耳では聞こえてこないのに感情に直接聞こえてくるような……救いがないと言ったらそうなんですけど。



でも最後の最後に亡き妻のボイスレコーダーを再生する?それまで他者の“死”を直視出来なかった、どこか認めたくなかった、だから妻のボイスレコーダーを最後まで聴くことが出来なかったんじゃないか。でも“ブタの死”をきっかけにロブ自身も、ようやく“死”というものに向き合うようになったんだと思いました。ロブが小屋に帰り一人でベッドに横たわる、その姿は悲しくもあるけど、ロブの表情はどこか天国に逝ってしまった愛すべき者たちを見つめて、あの世でまた会おう、そんなセリフを心中で吐いたようにも見えましたねぇ。

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