サクッとレビューその42「メランコリア」
- 14 時間前
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『「憂鬱」はこの世の全てを飲み込む。』
【サクッとレビュー(ネタバレなし)】
どーもどーもなんか色々疲れましたラーチャえだまめです。本日はこちらの映画を拝見させて頂きました。
【メランコリア】!!「憂鬱」接近警報発令!?あの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のラース・フォン・トリアーがエメリッヒに触発されたとかいないとか“ディザスター・ムービー”……なんて絶対に“そうは問屋が卸さねぇ”話かとご承知かと思いますが……ハハハハハやっぱりそうですよね!!普通主人公たちが人類をなんとか救う方向に舵を取るのが常なのにトリアーのディザスター映画はもう違います「潔く人類滅びんしゃい。」って言っちゃったか〜クゥ〜!!!
本作はカンヌ国際映画祭でのトリアーの“ヒトラー発言”で映画祭から追放された記念すべき(?)1本でありトリアー自身がうつ病を発病してから撮られた「アンチクライスト」「ニンフォマニアック」と並ぶ「鬱三部作」の1本らしい。その影響がモロ冬樹出ているような死神デュークじゃなくても「人間ってオモシロ!」って言ってしまう“完璧な結婚式”をこんなにもめちゃめちゃによく出来ますね!?しかも“自分の結婚式”をですよ?“花嫁の暴走”が止まらない参列者共も憎悪渦巻くまさにドロッドロに腐りきった朝の通勤ラッシュの車内と同じ人間模様をギュギュッと縮図したかのような本来「幸せの絶頂」であるはずの「気持ちが悪い披露宴」を見事に映像化。

主演は「シビル・ウォー」で旦那を緊急登板させる鬼嫁っぷりがすごいキルスティン・ダンスト。この頃はまだナウい花嫁を演じているのだがこれがまたまた現代版「マリー・アントワネット」の如く披露宴の参加者を猛烈に「かき乱す」まぁ彼女自身明らかに“心の病”を患っていそうな感じで色々仕事で頑張り過ぎちゃたのかな、今は披露宴よりとにかく“休息”が必要……これはタイミングが悪かった。よりによって披露宴が“トドメの一撃”になるなんて本当にエグいことするよなー。しかし披露宴に群がるハ……群衆たちにとっては、彼女のあまりに自分勝手で理解不能な振る舞いに自分ももし参列者の一人ならば間違いなく“ウザい”。それでもキルスティンの素敵な笑顔と谷……ウェディングドレスについ「はぁやれやれ」と付き合わざるを得ないようなオーラを放つ魔性の女っぷり。
そんなもうすぐ嫁になる人にめちゃめちゃ振り回される花婿のアレキサンダー・スカルスガルドがめちゃめちゃ可哀想なんだけど“おパンツ野郎”だし役名は父親ではないスケランパパ演じる会社の上司は彼女を「キャッチコピー製造機」くらいにしか思ってなくて、会社の新卒くんに彼女をストーキングするように命令されちゃあ新卒くんは言う事聞く以外の選択肢ないから彼女に呆れられながらずっと近寄って……て抱いてんじゃねえええ!!??花嫁の母親シャーロット・ランプリング(なんで呼んで来たん?)は捻くれグセが強くて文句ばっかり言って心開いてくれないから頼みの綱とばかりに愛人に囲まれた父ジョン・ハートに強引にすがろうとするも手からスルリと抜けて自分の前から消えていく。ただこの自由奔放な父親と我の強い母親から生まれたのが花嫁ってめっちゃ腑に落ちるキャラクター像がリアルなんだよなぁ。
ほか脇を固めるヨーロッパ系に混じり花嫁の義理の兄にあたる富豪家のキーファー・サザーランドのアメリカンな雰囲気も意外とトリアーの世界観にハマっていてしかも「元おぼっちゃま」の風貌まで絶妙にマッチ。シャルロット・ゲンズブール演じる花嫁の妹想いの姉だけが聖人君子っぽいんだけど、ちょっと妹に過保護すぎる面もあって(妹が鬱病患者になる前から)ホントに誰もマシな人間がいない。まさに気持ちが悪い人間たちを集めたのは見事。 唯一共感したのは「ブレイド」で吸血鬼にしか見えないエド・ギアの「存在を消し去る」やり方だけは劇場でアップルウォッチ光らせまくる隣人に対してよくやるわ〜。

本作は章立てシステムだけれど2章しかないから章立てる必要ある?前半は妹の披露宴、後半は披露宴で無事力尽きて無気力になった妹の世話をする姉の話。地球滅亡のカウントダウンは後半に入ってから。姉のどこに逃げ隠れても意味がないのにヤバいヤバいと逃げ惑う姿は死にたくない死なせたくない!と内なる悲痛の叫びが聞こえてくる。“生にしがみつく”人間のソレを哀れな目で見つめる終活済みの妹のなんと冷静なことよ。守る者が多ければ多いほどこの絶対に避けられない「憂鬱」の衝突を前にして深く絶望する。一方であんな息子の手製のアイテムで死を確信するか?突っ込みどころも含めてテンパった人間の馬鹿さ加減を皮肉っているのか。
こういう時“シングル”って強いよな〜。背負う重さが“家庭持ち”と違うんだもん。ある意味自分さえ納得させちゃえば後は冷静になれるというか簡単に諦めもつけれるし。子どもがいると彼らがもう成長することがないという絶望感や、本作の息子はまだちゃんと状況を理解できる年頃だったけれど、まだそれすら理解できない年齢だったら?どう状況を説明しよう、いや“何を伝えて何を伝えないか”人類滅亡を前に最後にどんな言葉をかけてあげれば良いかとか、とにかく色んなことを考えて答えを出さなけきゃいけないし。しかもあんなに短時間で。でもってどんな言葉をかけようが正解なんて誰にもわからんっていうね。惑星が衝突したら全てが「無」に帰すんだから。。。。。
妹を蝕む憂鬱と惑星メランコリアはイコール。披露宴でただひとり苦しむ妹を“見過ごす”ことと惑星衝突の可能性を今まで見過ごしてきたのも同じ。そしてどちらも“飲み込まれてからではもう遅い”心の病をそんな全てを飲み込む巨大な惑星に見立てた、当事者だから表現できる独特な憂鬱世界は、なぜこんなにも“美しい”のだろう……。
【サクッとレビュー(ネタバレ)】
サザーランドの旦那の最期は愛する妻子よりもおそらく幼少期から馬小屋があって馬が好きだったのだろう、お宅のダンナはアナタや息子じゃなく馬を選びましたよ〜ギャハハハ!!!妻子ではなく馬に護られて死にたいなんて残された家族にゃ溜まったもんじゃないし“セコい”よね。
ラストカットだけちょっと平凡すぎに見えてしまった。後発だが「ローグ・ワン」みたいにありきたりな画というか、OPで既にトリアーでしか描けない終末を描いてはいるんだけど。むしろラストカットをあの絵画みたいな画で締めくくって欲しかったなと。トリアーらしくディザスターを描くとどうなるのか期待していたけど、あんな肉眼でわかるくらい衝突スピード早すぎる惑星はリアルじゃないしむしろディザスターにそれほど興味ない?いやこれホントにディザスター映画なのか?(たぶん違うな)“鬱映画”としては100点の映画だと思いました……。
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