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バックルームズ(2026)

  • 2 時間前
  • 読了時間: 8分

【原題】Backrooms

【監督】 ケイン・パーキンス

【出演】キウェテル・イジョフォー レナーテ・レインスベ マーク・デュプラスほか

【あらすじ】

家具店の店主クラークは、店内に“あるはずのない隙間”を発見する。その先には壁の裏側へと抜け落ちるように続く、全面が黄色い壁紙の異様な空間が広がっていた。奇妙なバランスで積み上げられた無数の家具に、果てしなく続く迷路のような黄色い部屋。どこからともなく断片的なアナウンスが聞こえてくるが、呼びかけても応答はない。クラークはセラピストのメアリーにこの異様な空間について説明したものの信じてもらえず、その存在を証明するべく、記録用のビデオカメラを手に再び足を踏み入れるが……。(映画.COMより)


【感想(ネタバレなし)】

『観たら夢にめっちゃ出ました。』





どーもどーもワンルーム歴5年のラーチャえだまめです。引っ越したい!!でもたとえ6億平方マイルのク◯デカ空間を独り占め出来る部屋が存在しても?絶対に住みたくない物件……いやてかそもそも玄関どこやねん



【バックルームズ】…!!!はい今年の“真打ち”登場。全世界で今大バズりまくっている“都市伝説系”ネタの一つ「Backrooms」。2019年に日本の“2ちゃんねる”にあたる英国圏最大のネット掲示板、そのオカルト板で投稿された1枚の写真。



どこか見覚えのある、しかし“絶対に知らない”そんな既視と無知の混在が同時に“懐かしさ”と“不気味さ”をも生み出す。空間用語で“リミナルスペース”と呼ばれるその代表格が「Backrooms」。匿名で投稿されたことでこの1枚の写真と書き込みが、後に作者不明のフリー素材のように誰でも自由に複製、追加要素を加え派生された数多の作品を生み出していった。その中で2022年、それまで写真や書き込みでしか語られてこなかった「Backrooms」がはじめて“ファウンドフッテージ”形式のショート動画としてYoutubeにアップされはじめました。制作者は当時若干16歳の少年ケイン・パーキンス。そう4年後の2026年、彼は映画監督として自身が一躍ネット上の時の人となった「Backrooms」を長編映画デビュー作として、今度はその媒体をYoutubeからスクリーンに変えて発表して下さいましたということなんですねー。



…それまでネットでは有名なネタだったわけですが、今回映画化ということで、それまで「Backrooms」を知らなかった方々にも周知されたと言いますか、先に言うと本作は原作ネタを知らなくても問題はございません!!むしろ「Backrooms」って何?の状態から入っていただけると、ものすごく新鮮かつ“衝撃”を受けるかもしれません!?(正直原作も謎だらけでちゃんと説明できる人自体少ないと思います汗)しかも去年日本で大ヒットした「8番出口」になんとなく雰囲気が似ていると思いません??実際本当に似ているし、摩訶不思議で不気味でオカルト心をくすぐられる、あの独特な世界観が好きなら本作もまあハマっちゃうと思いますよ!?___と言うわけで先日拝見させていただいたわけなんですけども










この4年間の間に映画監督としての腕だけじゃなく「心理学」にもめちゃくちゃ精通しちゃったんだねパーキンス監督??








製作スタジオはみんな大好き“A24”。今年5月に全米で公開されると「マンダロリアン〜」の興行収入を上回る初週の週末興行収入ランキング1位を記録。同スタジオで“最も稼いだ映画”になったんだそうで?製作にジェームズ・ワンとショーン・レヴィ、オズグット・パーキンスと初監督作としては異例の頼もしすぎる布陣にも抱えられ、さぞ自由に作れたんか…??と逆に心配になってしまいますが、21歳のケイン・パーキンス「もう既に肝が座りすぎている」と言いますか!?本作をただの“ショート動画の長尺版”なんて野暮なことはしていない。裏側の世界に閉鎖的に無限に広がる「Backrooms」という空間を使って、人間の“内面”を描いてしまうとは!!



ストーリー性皆無の原作にあそこまでテーマ性をブチ込み見事に「映画」として大化けてみせた「8番出口」の成功パターンを観てしまうと、同じく登場人物もストーリー性も存在しない「Backrooms」という1枚の写真、「Backrooms」という“空間が主役”の本作はどうなるのだろうかと観る前は期待半分不安半分だったのですが、いやー本作にもあるじゃないですか。「どこにも居場所がない人」というテーマが。そして居場所がないのは、自分自身に原因があるんだよとお説教を喰らってしまう!?(観ててだんだん辛くなってました…)



また「居場所は与えられるものじゃなく、自分自身で作り上げるもの」はじめからあったものを自分色に染めて「ここは私の世界だ!」と王様気取りになるのは臆病者がする“逃げ”でしかない、その逃げの場所、劣等感の掃き溜めのような場所を「Backrooms」として位置付けするという解釈。冒頭から心理学者のありがた〜い“語り”が始まるもんで、かなり“難しい内容”にはなってはいるのですが。したがってキウェテル・イジョフォー演じる自身が経営する赤字続きの家具店の地下で「Backrooms」の入口を当ててしまった店主“クラーク”や、そのクラークを支えるレナーテ・レインスベ演じる心理カウンセラーの“メアリー”の存在理由も生きてくる。



そして自身が作ったものですが「Backrooms」の再現度、美術もまた大変素晴らしく。一見不均一に見えても完全に“全てが計算された空間”であるからこそ“不気味”という!?おそらく建築学も学んだであろう人工的な空間演出、建築デザインはコゴナダ監督の「コロンバス」のような「建築アート系」としても楽しむことが出来て、パーキンス監督のアートセンスがずば抜けて高いことを、たった1作で証明してしまったと言っても過言ではない!?また撮影も「Backrooms」に侵入する毎にスタイルを変化させ飽きさせない工夫がされていました。ショート動画でも使ったファウンドフッテージ式も使い、2度目の侵入なのにまた違った新鮮味と“恐怖”も演出したり、カメラアングルも登場人物の立ち位置とオブジェクト、空間の作り方はウェス・アンダーソン監督に似たこだわりを感じさせる。劇中サントラもこれまたワザと統一性のない複数の種類を使い、中には「サイレントヒル」の山岡さんが作ったんか!?同シリーズを感じさせるサントラでも“違和感”を感じさせてくれる。



そして最後に突然「ファッ!?」となってエンドロールを迎える、「さあ皆さんそれでは思う存分考察しちゃって下さい!」とイワンコフばかりに数々の謎を残して終わるのもオカルト板を彷彿とさせ、そのヒントとなるのがパーキンス監督が公式YouTubeチャンネルでこれまでにあげた関連動画という、映画版の謎を解くアーカイブとして機能させたのも上手いなと。



ドラマ性に空間演出、他媒体と連携した作りなど初監督作とは思えぬ見事な健闘ぶりだったなーという思った一方、初監督作にありがちな序盤のカウンセリングシーンなど“無駄に長たらしい”シーンが気になったり、これでも本編120分超えというのだから、ネタ的にももう少し尺を短くしたほうが集中力が切れずに観れたなとか、まぁ言いがかりは色々つけれるのですが……



一方でコレは日本配給サイドがやらかしたというか、一番蛇足だったかなーと思ったのがあって。日本劇場版のみ「本編後に追加映像」が収録されているんですね。これは正直「本編と切離して見せるべきだった」なーと。もともと日本以外の国では劇場公開された後にパーキンス監督がYouTubeで配信した映像で本編を補完する内容なのだが、劇場という開放された空間から再びYouTubeというミニマムな空間で見ることで、世界観を元いたアングラな「ホーム」に引き戻す意味もあるというか。それを日本ではおそらく公開時期が遅くなったから劇場で一緒に流したろとやったんだろうけど、その映像というのが16分もあって、完全に本作をより深く知りたい人向け。だからかなりマニアックな作りをしていて、原作ガチ勢以外は正直「ちょっと観るのが辛くなる」(実際私がそうでした)最後の最後に万人向けではない“人を選ぶ”タイプの映画になってしまったなーと(本編はそんなことないんですけど)これは強制視聴じゃなく“自分から観に行かせたほうが良かった”と思いましたねー。(まぁ劇場では日本語字幕付きで観れるから絶対観たい!という人にはいいのだろうけど…)それこそが“都市伝説”の真骨頂……ではないでしょうか??





【感想(ネタバレ)】




本作の中の「Backrooms」は現実世界の“記憶”の残像、と言ったところでしょうか??残像なので完全なコピーではなく、故に「Backrooms」の内装、存在するオブジェクトは“どこかで観たことあるけど何かが違う”という違和感を生み出している(そしてそれらは食すことも可能?)“侵入者”に襲いかかるクリーチャー(原作では“エンティティ”と呼ばれる)がクラークの残像を模した姿なのも納得がいく(ちなみにクリーチャーはCGではなく「エイリアンロムルス」でエイリアン役を演じたロバート・ボブロクスキ!)



クラークはその自分の記憶が反映された「Backrooms」こそが“自分の居場所”であると確信する。彼は現実世界で納得できない家具店の経営、別れた妻、自分の今の置かれた人生を恨んでいた。そしてその原因は自分ではなくすべて“外”、自分は悪くない悪いのは全て世の中のほうだ、そうやって“現実逃避”に躍起になってきたところに「Backrooms」が現れたのです。そこで彼は“自分中心の世界”を作ろうとする。



反対にメアリーは彼と対をなす存在で、メアリーも彼と同じく現実世界に自分の居場所を見いだせずいたわけですが、彼女はクラークのように「Backrooms」に居座ろうとはしなかった。彼女は幼少期に母親から虐待を受けて自宅監禁された過去があった。メアリーの目には「Backrooms」に閉じこもるクラークが、外の世界を敵視し自宅に閉じこもっていたかつての母親の姿に重なって見えたのです。そしてそれは最終的に“自己の破滅”に繋がることも知っていた。だから彼女は「Backrooms」から離脱する道を選んだ。



しかしエンドロール前のラストカット、「Backrooms」を研究する謎の組織“ASYNC”の施設にいたはずのメアリーが最後に「Backrooms」に取り残されたような映像で終わる。本作一番の謎と言うか、観終わったあと一番盛り上がる考察ネタかもしれません。あれはよく見ると本物のメアリーではなく先述したメアリーの残像なんですよね。一瞬なので見逃すとあれが本物のメアリーなのか偽物の残像かわからなくなってアレックス・ガーランドの「アナイアレイション」のような、どちらちにも見える考察型ミステリーにもなるのがまた面白いと思いましたねー。

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