オブセッション 災愛(2026)
- 14 分前
- 読了時間: 9分

【原題】Obsession
【監督】カリー・バーカー
【出演】 マイケル・ジョンストン インディ・ナバエレッティ クーパー・トムリンソンほか
【あらすじ】
孤独で内向的な青年ベアは、恋心を寄せている女性ニッキーと距離を縮めたいとの思いから、願いをかなえてくれるという不気味なまじない「ワン・ウィッシュ・ウィロー」に手を出してしまう。しかし、純粋だったはずの恋愛感情は次第に執着(オブセッション)へと変貌し、ベアは想像を絶する惨劇にのみこまれていく。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『結論:本気にさせた方が負け。』
美人と結婚して小学生の子どももいて絵に描いたような幸せそうな家庭を築いていそうな友人がマチアプで複数人の女の子と付き合っていると自慢げに聞かされちょっと心配になるラーチャえだまめです。そんな本日はハリウッドを騒がせたイカれ「異常」恋愛映画が爆誕!?先週ご紹介した「グッドボーイ」「ブリンク・ハー・バック」に続けとばかりに、またしても今年大注目作が続けざまに公開されてしまった
【オブセッション災愛】…!!??制作費75万ドルの低予算インディーズ作が公開初週に1700万ドル以上の興行成績を叩き出しただけでも驚異的だが公開2週目になると初週よりさらに30%増加しあの「マンダロリアン」に次ぐ興収第2位に浮上するという!?文字通りの怪物映画がついに日本凱旋。監督は自身のチャンネルでショートコメディ動画や200万回以上再生記録を持つファウンド・フッテージホラー「Milk & Serial」を配信したユーチューバーのカリー・バーカー。前回もご紹介しました今ホラー界はユーチューバー大躍進時代に突入したわけですが、本作もまたその“芽”が遺憾なく開花していると言っても過言ではない!?

一つだけ願い事を叶えてくれる魔法の玩具“ワン・ウィッシュ・ウィロー”を手にした冴えない非モテ男子が?絶対に釣り合わない愛しの片思いのイケ女子と結ばれたい!と願った結果、ものの見事にイケ女子のハートを射止めたばかりか彼女から逆猛烈アタックを受けまくるという「それなんてエロゲ?」深夜アニメなら全イチモツ必見のウハウハなラブコメ……になるところブラムハウスがやったらまあそんな都合よくなるわけねえだろバカチン!!と引っペ返しを喰らうという!?先に申し上げると情状酌量もない「主人公が〇ズ」系映画なんでありますが、もし願いが叶うアイテムが定価1000円いかないくらいの安さでレジ前とかで売ってて、遊び半分でも「ヤラナイカ?」私ならもっと悪い願い事をしてしまうかもしれない。そんなクソったれだなコイツ〜、と思いながら、自分も「そうなりゃそうするかも」とハゲしく共感もしてしまう人間のグロさを見せつけてくれる、そんな映画だったんですねぇー。
中高は男子校、バイト先の女子はみんなカレシ持ち、周りで一番親しい異性はママンだけ、みたいな周囲に異性とのコネクションが一切ない否カノジョ作る以前に「まずその土俵にすら立ってない」そんな残念男子の話かと思うじゃねえか!コイツ(“ベア”て言うんですけど)普通に女友達いるししかもその一人から好意すら寄せられているっつうー!?「冴えない恰好の非モテの顔した実はモテるタイプ」ってこの、裏切り者ぉおおおー!!!(何が?)我々のエリアに入って来んな!!MT(モテナイ)フィールド発動!!!!ちょっと「トゥギャザー」のデイヴ・フランコっぽさもある若手マイケル・ジョンストン演じるコイツの初登場シーンが、しかし本当に残念な青年と言いますか、ずっと片思い中のバイト先の女の子“ニッキー”に日々キモいポエムとか歌とか考えるのにイマイチ気持ちを伝えきれず今日こそオレは!と親友といざ告白の練習までしたのにやっぱり本人を目の前にすると全然うまく動けない……うんうんわかるよわかるよ〜。

でもってさらに“ダサさに拍車”かけてるのが、そのニッキーに自分が好きだってこと“薄々勘づかれてる”のよ!ニッキーがバイト辞めると言った夜、2人きりの車内。「もう会えないね」「そうだね」みたいな会話までして、流石に言ってくるやろとニッキーも身構える。別にベアのこと“異性”として好きじゃなくても、まぁ告白くらいは聞いてやるよって男気もあるニッキーに反してそれでもベアは結局言えない。シビレを切らして「え、何ワタシのこと好きじゃないの?」……女性に言わせるなんてだせえなオメェーー!!!(byカミナリ)そこまで言われてついに告白するかと思ったら「いや友達として…」……はぁ?何お前ちょっとカッコつけちゃってんの!?最後までヒヨりにヒヨりまくるこのテイタラク。いやー最高ですよね。
で、何を血迷ったのかめっちゃ気まずい空気でニッキーと別れたあと骨董品屋で買った“ワン・ウィッシュ・ウィロー(願いの柳)”という、なんか願い事を口に出しながら割り箸みたいな枝を2本に折るとその願いが叶うとかいう玩具に手を伸ばすベア(その玩具だって「いや買うのはソッチじゃねえだろ!」って話なのですが…)でその“願い”が驚異的に叶うわけなんですが、、、、、

こんな完璧なへ文字口見たことありますか?
超新星インディ・ナバエレッテ。その名を覚えて損はないかもしれんぞ!?今後売れる気配しかない「驚愕の演技力」。めっちゃ美人でエロくて可愛くて……なのに「絶対“近寄りたくない”」と思わせるって地味にすごいんだよな…。魔法にかかった後のニッキーはもう完全に“壊れちゃう”突然笑ったり怒ったり泣いたりラジバンダリ情緒が不安定というかベアにゾッコンなのはわかるんだけど「ワタシ以外ベアに近寄る者は全員◯ね!」嫉妬されたら即死!?またベアに対しても「ワタシ以外見ちゃダメ」って束縛(玄関のドアをガムテープで塞ぐ)これが属に言うメンヘ……“愛に憑りつかれて”しまったかのような、しかしデビル系などの憑りつかれ系と微妙に違う。あくまで「ワタシが好きになった」と(思って疑わない)自覚症状があるという点。だから「あゴメンゴメン!やりすぎちゃったよね!次から反省するね…」って弱みも見せてくる。そこが人間味があって脳がバグる。でもそれがどんどんエスカレートして情緒不安定女子から徐々に“バケモノ”みたいな、“全く先の読めない”奇怪すぎる行動連発しちゃうのだから。普通恋人と会話していてあんな“間”生まれんやろ…??かと思ったら電源OFFられた人形みたいにそのまま「一時停止」!?しかもニコッとしたまま……不気味だぜ〜!!狂気すぎる役を見事に演じておりました。いつか何かしらのアカデミー獲るんちゃう?ドエらい新人が出ちゃいましたねー。しかも女優業の傍ら現在ホラゲーの「ゲーム実況者」としても活動しているということで今年は加藤小夏と彼女を推しますはい。

また彼女の“怪演”に拍車をかけているのが編集。初長編とは思えない慣れた手つきを感じる「長回し」ショット。やり直しが効きづらい長回しを臆することなく多用するスタイルで、しかも途中意図的にテンポを崩し違和感や「居心地の悪さ」を作り出す。この予測不能なテンポ=ニッキーの予測不能な動きに連動していて、いくらバーカー監督自ら編集も手がけ主導権を握っているとはいえ、ここまでテンポや流れを完全に操る術を既にデビュー作から見せつけてくるとは。もう既にそのスタイルを確立しているようにも見える。また印象的だったのがコナンの犯人もビックリの「影」の使い方。ニッキーのシルエットだけが映るシーンが多く、まるでこれはニッキーの影をしたナニカだと観客に認識させるかのような演出。夜中の3時に寝室の隅っこから影がニュルっと生えてくるギョッ!としたホラー演出も上手かった。
普通片思いの子との恋が成就したらこれ以上ない幸せだろ?ニッキーはベアを好きになるまでの過程がそもそもないから、それら全部すっ飛ばして突然好き!となるわけですが、普通ならそりゃ確かにおかしいし気持ち悪い、となるのはわかる。が、ベアは別。お前の恋愛は「普通」じゃないし、スタート地点の「告白」すらすっ飛ばしたじゃん。なのにいやちょっと待ってもうちょっと流れとかあるじゃん?みたいな、何コイツ世間一般的な「恋愛の流れ」求めてんのよと。告白すっ飛ばして「楽して」付き合おうとしてこの野郎ぉおー!!!だから観ていてベアに対してはずっとイライラウッドなんですよね。また魔法にかかったニッキーに恐怖を覚えつつ、完全に糸を切るんじゃなくて「いい塩梅でそれでも狂ったニッキーを利用し続けたい」っていうおま、まだそんなゲスな下心抱いてんのかよおおー!?実はベアのほうがニッキーより数倍狂っているとの見方もできる。
てっきり原題“Obsession”だけだと弱いから副題つけたとばかり思っていた“災愛”=“最愛”と奇跡的に?重なるこの副題がめっちゃいい。まさに本作は“最愛”と“災愛”が紙一重であるという!?しかもそれがニッキーとベア、両者にかかっていて、両者とも「(自分に)都合よく愛されたい」という一方通行な想いなのです。

少し飛躍した見方だが、マチアプでプロフィール詐欺ったり既婚者なのに独身と偽ったり他人の恋愛感情を意のままに操ってとにかく(自分に)都合よく付き合いたい「身勝手な」恋愛思想の行き着く先が「片思いのあの人の恋愛感情そのものを意のままに操りたい」という究極の願望なのかなと。マチアプがそれが誰でも容易にそして「手軽」にできる時代にしてしまった。箱から取り出して枝を折っただけで願いが叶う“ワン・ウィッシュ・ウィロー”は、まさにそんな手軽さも含めて今の時代の恋愛事情の象徴のようなアイテムだと思いました。だから家族同士のお見舞いもあっていいと思うのだが……
【感想(ネタバレ)】
頼みの綱の親友に玩具渡した瞬間「大金が欲しい」天井から札束ドバドバドバああああ…!!もうコメディセンスも抜群。友人宅でのゲーム大会でサラの背後に回って何?顔面グシャとかするん?(まあ結果するんですが)椅子を後ろにズズズーーーー。コメディ出身のバーカー監督の「お笑い」もよく反映されていると思いました。コメディとホラーは表裏一体、見方を変えれば本作は壮絶なブラックコメディ。ベッドに添い寝中にちょっとでも離れようとした瞬間「テメェどこ行くんだゴらああああああ!!」と叫ぶシーンも笑っちゃうし。恋に盲目な人って周りが見えなくなって何しでかすかわからない怖さと、ちょっとおバカに見える笑い要素が混在するというか、ここまで両者を両立させているのもすごいなと。長編初監督とは思えない計算された作り。中盤以降も失速どころかどんどんギアを上げて制御不能になっていくニッキーの暴走。そして「愛されたい」と誰もが心の内側に秘めている共感性をかき乱すネタ。カリー・バーカー。その名を覚えて損はないかもしれんぞ(それしか言わない)




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