カッコウ(2024)
- ラーチャえだまめ

- 1月19日
- 読了時間: 7分

【原題】Cuckoo
【監督】ティルマン・シンガー
【出演】ハンター・シェイファー ヤン・ブルートハルト マートン・ソーカスほか
【あらすじ】
両親の離婚により、母親と2人暮らしをしていた17歳のグレッチェン(ハンター・シェイファー)。あるきっかけで、気の進まないまま父親のルイス、義母のベス、そして2人の娘である妹のアルマと、ドイツの山奥にあるリゾート地へ移り住むことに。到着した一家を待ち受けていたのは、謎めいたホテルオーナーのケーニヒだった。口のきけないアルマに対し、不可解な興味をあらわにするケーニヒ。グレッチェンは、その静かなリゾート地に強い違和感を覚えてゆく。
【感想(ネタバレなし)】

『結論:耳をピクピク動かせる人は人にあらず』
どーもどーも先日の山手線運休の影響で予約済みの映画チケット3枚が溶けましたラーチャえだまめです。本当は渋谷で映画を観るはずが自宅がモロに山手線(というかけ京浜東北線)沿線だけでもう2本が死んだらどこにも行けない……まぁ休日だったのが不幸中の幸いか、午後には復旧して正直行けたんだけどまた何かあっての帰宅難民を避けたくて結局その日は1日駅に近づかんとこう……となりました。でカーペンターばりに要塞自宅するお供に何を観よう……と最近SNSで話題になっている映画があるじゃないですか
【カッコウ】!?今月9日からアマプラで独占配信されているコチラ、日本版ジャケットのカタカナで“カッコウ”!って色味も合わさってなんかものすごく昭和のホラー映画のポスターみたいにダサ‥…配給は去年下半期に観た「シェルビー・オークス」がなかなかアタリだったNEON、第74回ベルリン国際映画祭でワールドプレミア上映され話題になったというドイツの新税監督ティルマン・シンガーによる長編2作目のホラー。というわけなんですが、これが日本でも配信されてからジワジワとSNSを皮切りに盛り上がっているらしい…??ホントに最近は上質な映画も余裕で劇場スルーされる時代ですから、と少し期待しながら早速拝見させていただいたのですが

タイトルの“カッコウ”……てあのカッコウですか??物語はダンケシェン!?ドイツの山奥のリゾート地へ越してきた4人家族。新居の前にはリゾートオーナーの怪しい男がお出迎え。主人公は音楽が好きなティーンの“グレッチェン”。歳の離れた難聴の妹“アルマ”は父親の再婚相手の娘で、仲こそいいものの両親は長女のグレッチェンより妹のアルマに夢中。そのことでグレッチェンは家族の中に自分の居場所を見つけられず孤立状態。いるよねー家族から孤立している長女はだいたいホラー映画の主役になります!!
主人公グレッチェン役にゼンデイヤ主演のドラマ「ユーフォリア」や「ハンターゲーム・ゼロ」のハンター・シェイファー。この人アメリカ人なんですね。めっちゃヨーロピアン(なんなら北欧系)な雰囲気がすごい良かったです。怪しいリゾートオーナー“ケーニヒ”役に中級クラスのホラーMOVIEにも多数出演する愛すべき野獣パイセンダン・スティーヴンス、とくればもう既に怪しさマッドMAX絶対コイツが首謀だろ!!(そこは否定できない)しかしながらその手の内までは全く判明しないままモスキート音?謎の“音”に影響されると何度も同じシーンを繰り返すようになる?どういう理屈かは不明ですが独特な演出になんだか色々“訳あり”そうな人物も続々登場したかと思えば
極めつけはデ・パルマの「殺しのドレス」の女か?白いマフラーと意外と派手なサングラスで顔を隠した自称セレブリティみたいな謎の女が登場してグレッチェンに襲いかかる!?自転車で夜道を走るシーンで、道路に反射する自分の影の後ろにその影を掴もうとするもう一つの影が一瞬映るシーンとかホラー描写もこだわって作られている印象。
ストーリーも非常にミステリアスでところどころヒントっぽい描写も一体なんの意味があるのか全然読めない“考察”を余儀なくされる難解?なタイプのホラー映画かもしれません!!ただ舞台はドイツ、セリフは英語とドイツ語が混じりキャストも英国にアジア系と国際色豊かな世界観がアメリカを舞台にしたアメリカ人によるアメリカなホラーとは違った、非常に独特な雰囲気を醸し出していて、個人的にその雰囲気がハマり難解でも世界観は楽しめました。

でこの作品なんとなく“鳥”関連で「ハッチング」っていうホラー映画に似てるな〜とも思ったのですが、オチも北欧っぽい(当然ここではネタバレしないけど)結構ドイヒーというかやってることは“胸糞悪い系”なのにその毒素が点でないと言いますか!?いやないというのは“描写”を入れずに表現しているところが上手いなーと思いました。要はもっとグロテスクやエロティックな要素もぶち込めそうなのに下品さがないんですよ。額から流れる真っ赤な血の描写とかはあるんですがむしろそれすら美しい。ヨーロッパセンスというか、内容の割に画はキレイなんですよねー。
後半でもっと大きな仕掛けがあるのかと思いきや実際のことの真相自体はあまりに“まんま”すぎて少々雑さが目立つ(まだ未見の方は“カッコウ 生態”で検索しちゃダメだよ!)それをワザと複雑にしてる感がちょっとありました。特にダン・スティーブンスのキャラクターが混乱を招くタネというか、回りくどいセリフばかりで何が言いたいのかはっきりしないし人の庭で突然リコーダー吹き出すわ割とイカれポンチなのにイケメンだからインテリに見えてズルいよな〜。ちなみに“カッコウ”ってスラング用語で“頭がおかしい”って意味もあるらしい。もっと色々語りたいんだけどネタバレ要素が多くてネタバレなしだとここくらいしか言えないのが歯がゆい〜!!
【感想(ネタバレ)】
いやー鳥人間コンテストもビックリ“耳ピクピク動かせる人はカッコウ人間”ってなんだよそりゃ……(汗)“カッコウという鳥の生態を知っていればオチはなんとなくわかってしまう”のはむしろタイトルを隠せよとも思ったのですが(ちなみに私は全く知らなくて逆に助かった?)カッコウって産んだ卵を別の個体の親鳥の巣に紛れ込ませて育てさせるって!?しかもカッコウの子は別の個体の子を巣から落としたりするってエグいねマジで…‥(汗)劇中グレッチェンが双子の片側を吸収して…って話はアルマがカッコウ人間であることの示唆していたわけか。ミュータント枠でアルマをエグゼビア高等学院にも入学させてあげたい、いやそんなSF要素はどーだっていいじゃないかと投げちゃってるのもビックリでしたが……
カッコウ人間も自分で子を産まず育てずの男女カップルがホテルのピンク色の愛の部屋だっけ?ヤリ部屋に入ったら甲高い“鳴き声”で2人を麻痺させて、女の方に卵?みたいなのを植え付けていた。植え付けられた女はカッコウ人間の子とは知らずにご懐妊(たとえ自分の子も身ごもったとしてもカッコウの子に喰われる)ケーニヒたちは野鳥の会ばりに“自然保護”をモットーにカッコウ人間の“繁殖”を行っていた。

今作はそんな自然界に存在する“生態”にまつわる恐ろしさを描きつつ、グレーゾーンを認めないとする社会へのアンチテーゼ?なんでもかんでも“生物学的”うんちゃらかんちゃらで“LGBTQ”を否定する輩に強烈なパンチを食らわしているじゃないかと。だって異性カップルだとカッコウ人間に“自然淘汰”されちゃうんですよ?いやむしろ「自然とは?」みたいな境地にも片足突っ込んでいるんじゃないか?
ここで重要な要素になってくるのが“クィア”というワード。本作はカッコウの生態要素だけが強くフューチャーされているようで実はグレッチェンとホテルの宿泊者エドの恋愛要素が重要になっている。彼女たちには卵を植え付けることが出来ない=彼女たちには勝てないことを意味しているからです。カッコウ人間に打ち勝つ上で性的マイノリティが勝利をもたらすという構図。本作はむしろ“超自然派”のケーニヒの種の存続思想、反対に刑事ヘンリーの危険種の根絶思想、極端すぎる両者どちらの側にも属しませんよ、という!?グレッチェンがケーニヒとヘンリーのにらめっこしている間を綺麗に通り過ぎるシーンはまさにその体現で、たとえ血が繋がっていない(なんなら人間でもない)家族でも、そして生殖的には不都合だって“愛”は育めるし明るい未来が待っている、ということを示したかったんじゃないかと!?
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