ハッチング 孵化(2022)
- ラーチャえだまめ

- 2022年4月23日
- 読了時間: 5分

【原題】Pahanhautoja/Hatching
【監督】ハンナ・ベルイホルム
【出演】シーリ・ソラリンナ ソフィア・ヘイッキラ ヤニ・ヴォラネンほか
【あらすじ】
北欧フィンランドで家族と暮らす12歳の少女ティンヤ。完璧で幸せな家族の動画を世界へ発信することに夢中な母親を喜ばすため、すべてを我慢し自分を抑えるようになった彼女は、体操の大会優勝を目指す日々を送っていた。ある夜、ティンヤは森で奇妙な卵を見つける。ティンヤが家族には内緒で、自分のベッドで温め続けた卵は、やがて大きくなり、遂には孵化する。卵から生まれた「それ」は、幸福に見える家族の仮面を剥ぎ取っていく。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『カァーラァースゥー、なぜ鳴くのぉー、カラスの勝手でしょぉー♪』
どーもどーも先日生まれて初めてカイコの丸焼きを食べましたラーチャえだまめです。ちなみに美味しかったです。話がそれました突然ですが皆さん「幸せってなんだっけ?」
「世界幸福度ランキング」で5年連続1位……だと!?ちなみに日本はご、56位(そりゃ毎日辛いわけだ…)言い換えれば「世界一幸せな国」の殿堂入りを果たした“フィンランド”とかいう天国は北欧にあったんですね?そんな世界一幸せな国が「つま先からかかとまで不幸せな“毒親”の真実」を映画祭で暴露してしまったらもうこの世のお終いだよおおー!!問題に発展しかけた、こちらの映画を本日は拝見させて頂きました
【ハッチング ー孵化ー】!!!いやー「ぼくのエリ」「ボーダー」……今年の未体験でも公開された「マザー」……などなど北欧の美しい景色とはウラハラ過ぎる「人の温もり皆無のク◯寒いホラー」を世に爆誕してきた北欧ホラーの最新作ですか?毎度自撮り棒で「幸せな家族日記」なるブログを更新し続けるママさんインフルエンサーのいるとある富裕層宅ほど胡散臭いものはな……
長女のティンヤは将来を期待された(ママに)体操のジュニア大会優勝を目指す少々。ある日リビングに入ってきた「カラス」を母親に殺されたショックで自らの手で飛べないカラスを殺める嫌な夢を見る。しかしその夢の中で殺めたカラスの「卵」が現実世界で現れて……家族にナイショでその卵を育てることにしたティンヤ。しかし卵はティンヤの想像を遥かに凌ぐ大きさに成長していく…。

大会に向け練習に明け暮れる毎日。他の子が練習後に遊びに行っているのに自分にはそれすら許されないストレス。手に沢山のカサブタを作ってまでして毎日辛い練習を続ける理由は?大会に優勝することがティンヤ自身の本当の夢、なのだろうか??そもそもティンヤは心の底から体操をやりたいと思い始めたのか……ついそんなことを考えてしまう。なぜなら“全然楽しそうにやっていない”んですよ。ティンヤは自分のため、ではなく紛れもなく「母親のため」に体操をしている。「母親を喜ばせるため」に大会優勝を目指して日々練習しているのですから、当然“行きたくないのに親のエゴで無理やり塾に行かされている中学受験生”のように練習しても技が上達しません。ティンヤは母親の前では自分の本当の気持ちを押し殺しているのです。
そんな重圧の下で生活していれば純粋無垢なティンヤの心に闇が……その“闇”に呼応するかのように否それを“栄養分”としてすくすくと成長していく卵。そしてついにその時を迎える____成長した卵から出てきたのは

カーネルサンダースもビックリ
松居一代も度肝を抜くこれはフィンランド版「餓鬼魂」ですか?ほぇー“出る”んだ。「出そうで出ない」人間ドラマに主軸を置いたサスペンスかと思いきや、まさかマギカ「B級クリーチャー」を拝めるとは…!!!ちょうど昨晩中華屋でニワトリの塩焼きを食べたから想像しちゃったよぉ!!クリーチャーファンの皆さま、これには少し驚かれた方も多いのではないでしょうか?しかも造形を手掛けたのはハリウッドの第一線で活躍するトップクリエイター。ティンヤが「アッリ(白鳥)」と名付けたソレは、CGをほぼ使わずアニマトロニクスで作られているここ、クリーチャー愛好家にはシビれポイント!!
もうとにかくティンヤが可哀想この上ない物語すぎる。夫“公認の不倫”をしたり、て言うか今の家族を完全に捨てるつもり?ティンヤを“自分を幸せにする機械”か何かだと認知してる自分の幸せのことしか念頭にないニワトリ並みの脳みそ過ぎる母親の暴走が止まらない。「“アナタだけは”私を幸せにしてくれると思った」……はぁ?それが本当に腹痛めて産んだ自分の子に対する発言かよ!!さらに成長したアッリの暴走もそれに起因するかの如く歯止めが効かなくなるどころか次第にティンヤと“瓜二つ”な姿カタチへと変貌していく。アッリはティンヤの「陰」の存在として分離した「もうひとりのティンヤ」、「分身」になるのでした……

監督は本作が長編デビュー作らしい女性監督ハンナ・ベルイホルム。ティンヤを演じる少女は1200人のオーディションの中から選ばれたこれまたフレッシュな俳優の“卵”。デルトロ風な“ダークファンタジー”を彷彿とさせるこの“やるせなさ”がラストにズドーンと襲ってくる。もはやこの家族には“全くもって救いなし”ですが、そのまま突き進むにはちと捻りが欲しかったかなという。あとちょっと行き過ぎた母親の言動がステレオタイプに見えてしまう所もありました。今どきあんな典型的なク◯母親……そらフィンランドにだっているんでしょうよ(汗)“毒親”と呼ぶにふさわしいこのファミリーは皆“「幸せ」という名の仮面を被って”生きてきたのがよぉーくわかりました。内容的にはとっても共感しやすく非常にわかりやすい。比較的手に取りやすいスリラー映画かもしれません。




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