top of page

GOOD BOY グッドボーイ(2025)

  • 7月12日
  • 読了時間: 8分

【原題】Good Boy

【監督】ベン・レオンバーグ

【出演】インディ(犬) シェーン・ジェンセン アリエル・フリードマンほか

【あらすじ】

飼い主のトッドとアパートで暮らすレトリバー犬のインディ。近頃トッドは体調が悪く、ある日吐血し、偶然アパートを訪れた妹ヴェラにより病院へ運び込まれる。退院した彼はインディを連れ、亡き祖父の家に移り住む。その家は祖父が謎の死を遂げて以来、空き家になっていた。トッドは隣人から予備の発電機を借り、祖父が映っている昔のホームビデオを見て過ごすが、インディは家の中に異変を感じ取る。トッドはヴェラとの電話で、祖父とこの家は呪われているのではないかと話す。その内容は理解できなくとも、インディは何かがおかしいと感じ、不気味な物音を聞き、家の隅から漂ってくる影に気づく。(映画.COMより)

【感想(ネタバレなし)】

『「最優秀犬演技賞」獲る顔してるわ…。』





ヨークシャーテリアが散歩の途中でおもむろに草むらにダイブした瞬間「オワタ…。」となる愛犬家の皆さまコンニチワー。全国の動物安否確認界の皆さまも含めた、大変おまんたせ致しました今年度ホラー映画の「大本命」の一つと言ってもいいのではないでしょうか!?












Ohグッボォイ!!グッボォイ!!Oh〜グッボォ〜イ!!




【GOOD BOY グッドボーイ】!!!??いやーついに公開されましたねー!今年公開の大注目株「オブセッション」「バックルーム」、そしてこの「GOOD BOY グッドボーイ」。愛犬家の多い日本でも絶対にブームが「来る。」と思っておりました。前代未聞「全編(ほぼ)イヌ視点」のホラー映画という!?昔「犬人間」っていうゲテモノ映画を「未体験」したことはあるんですけど、そんなものとは比べものにならない「スーパーガール」のCGの産物クリプトとは訳が違う“ホンマもんのイヌが出演している”ことで公開前からSNSで話題になっていたコチラ。



超絶インディーズ作ながら既に数々の映画祭で賞を総舐め(イヌだけにねッ!!)去年SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト映画祭)でプレミア上映され“最優秀犬演技賞”を受賞。全米で2週連続トップ10入りを果たす快挙を達成。さらに海外の映画祭で「28年後…」の少年スパイクを演じたアルフィー・ウィリアムズ、「ブラックフォン2」のイーサン・ホーク、そして「トゥギャザー」のアリソン・ウィリアムズという人間を押しのけイヌとして史上初の“最優秀演技賞”も受賞!?そんなシネマ界の「歴史を変えた」1本と言っても過言ではない!?



大好きなご主人様さんが悪霊に取り憑かれちゃったよ!!さあどうする!?……というストーリーは非常にシンプルなものとなっておるのですが本作の特筆すべき点、これまでホラー映画における動物の役割として、不穏な空気をいち早く察知して我々視聴者の不安を煽る演出の一つとして、あるいは滅亡した世界で孤独な主人公の良き相棒として、またあるいは狂犬病で我々視聴者を震えあがらせるモンスターとして悪役に徹するなど、いずれも物語を動かす「主人公」という立場にはありませんでした。しかし本作はそれらとはまるで違う、紛れもなく出演するイヌ自身が「ドラマを作っている」という点で、非常に難しいことをやってのけた作品だと思いました!



「イヌの演技が凄すぎてもう泣けてくる」ど、どうやって演技指導したん!?間を開けて数秒後に向こうを見る、振り向くタイミング、動く場所、え、床のバリ見てました??ベッド下に隠れるシーンとかちょっとあまりにも“完璧”すぎやありません…!?全てイヌが自らが動き、考え、アクションする。それを予測して先回りする形で人間スタッフが固定カメラをセット。物語の主人公“インディ”……ジョーンズ博士の語源にもなったジョージ・ルーカスの愛犬と同じ名だが演じるレトリバー犬の名も同じインディくん(8さい)。もうお顔が凛々しいというか私よりも賢そうな顔してる!?監督は本作が長編デビューのベン・レオンバーグ。そしてインディはそのレオンバーグ監督の“愛犬”である…!?という事で、実は“俳優犬”じゃないんですね!!それでいてインディの「ご主人様どうしたん〜!?」て心配するウルウルした目とかさ、あれはもう目に毒すぎるよ!?「どう見ても“そう思っている”としか思えない」インディの表情や行動。この演技力。こりゃ最優秀犬演技賞も納得すぎる。



そんな実際は「な〜にやってんだコイツら?」としか思っていないのかもしれない俳優犬ではないインディは演技している、というよりインディの「表現」に「演技」や「演出」を被せていると言った方が正しいかもしれないが。しかしそれをするにしても、常日頃からインディの動きや顔の表情、「インディにナニをさせたら〇〇な顔をするのか」それがわかっていないとこれは絶対に出来ないわけです。そしてそれを可能にしたのは飼い主であるレオンバーグ監督の功績以上の何物でもない。



劇中何度かインディが不安そうな表情をしたり襲われそうになったりするシーンがあるが、公式Youtubeのメイキング映像やコメンタリーで撮影時のインディはレオンバーグ監督曰く「非常に楽しそうだった。」と遊びの延長として撮影に参加していたと知りホッと一安心。インディが邪悪な存在の魔の手に恐怖するショットは実際にはレオンバーグ監督が物陰からエサかボールを持って目線を向けるよう仕向けていたとか、他にも別撮りしたシーンと上手く繋げていたり、制作期間も3年という超ロングなのも、ひとえに「負担をかけない」のを徹底したそうで、なるべく不安を感じさせないように製作する監督=愛犬家であり「家族」であるレオンバーグ監督のポリシーなのかもしれない。現に本作はPATA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)より優秀製作賞を受賞している動物愛護団体からもお墨付きの「出演する動物(イヌ)は無事」映画なのでご安心下さい!!



……とは言え、飼い主から置いてけぼりを喰らって扉の前でキャンキャン泣いたりするシーンとかはあります。飼い主さんなら愛犬をお留守番させる時のホントは会社に連れて行きたいけど無理なんだよ〜(泣)と泣く泣くお留守番させる、あの絶望を一斉に感じることでしょう!?



ホラー描写はややありきたりな所もあれど、しかしコチラも「イヌ視点」ならではな描写もあって少し新鮮でした。ホラーあるあるの悪夢を見るシーンも、それが人間ではなくイヌ……見たことないでしょう?別のイヌの亡霊に惑わされる……見たことないでしょう!?ちゃんとシャワーシーンだってあります!(※インディの)またイヌの研ぎ澄まされた聴覚や嗅覚などを映像や音響でうまく表現している。クンクン鼻で嗅ぐ音にチャッチャッチャ…と爪が床に当たる音など、それだけでも人によってはヒーリング効果過ぎるがまるで飼い主の異変を感じ取ったかのような近寄って臭いを嗅ぐ仕草、飼い主の心臓の鼓動が徐々に早くなる音が聞こえてきたり、我々視聴者もイヌになった気分で(?)感じ取ることが出来るのも、“映画館”という空間だからこそというか、暗がりのシーンも多いので非常に劇場向きの映画にもなっているんですねー。またイヌを飼ったことがある方なら誰しも一度は目にする「誰もいないはずの空間に向かって吠える」「突然何かを察知したかのように振り向く」当たり前の行動過ぎて不思議にも思わない、あのアクション。本作はその何気ない仕草に「説得力」を持たせたホラー映画なのです。本編73分という長さもまた絶妙で、こういう実験的映画は手短の方がインパクトを残しやすいと感じました。



一方で「締め方」がわからずエンディングでめっちゃ損している所もあったり、ぶっちゃけ怖くないとか飼い主がバ〇とか色々言いたいこともわかるんですけど、本作はもう「イヌの演技」一点突破型これに尽きると思うんです?でそれがとんでもクライシスな「名演技」なら、もうそれだけで個人的にはお腹いっぱいです(あとは目の保養にも)尚公式パンフレットにはレオンバーグ監督インタビューや製作秘話ほか、インディのグラビアに肉球手形も入ってるぞー!!そしてレオンバーグ監督は本作のヒットを受け早くも次回作の製作が決定。次は全編イヌ視点ならぬ「市販のドローン視点」だけで作るファインド・フッテージホラーとな!?今後も注目したいホラー監督がまた一人爆誕してしまったか……。





【感想(ネタバレ)】



モヤモヤが残るとしたらやはりラスト。結局飼い主は悪霊に魂を抜かれてそのままお陀仏エンドロール〜♪あまりに捻りがない。しかしそもそも本当に悪霊なんていたのだろうか??飼い主が末期の病にかかっているというのがポイントで、悪霊とは飼い主が抱える迫りくる死のメタファーなんじゃないか。つまりそうなると本作は末期の飼い主がただ病死しただけ、ともとれる。そしてイヌは人間より優れた感覚を持ち、飼い主の病魔の存在を感じ取れるとも言う。インディの目には、それがあのような黒い影として映っていただけなのでは?飼い主も同じ黒い影を見るようになるのは後半からなので、死期が近くなってインディばりの超感覚、死への恐怖に幻覚を見ていたとも考えられる。そうなると飼い主は死ななければならなかっただろうね。これが人間の視点で描かれていたらどうってことない話かもしれない。“視点”を一つ変えるだけでこんなにも物語に広がりを持たせられるとはね〜。まさにアイデア勝利の1本だと思いました。

コメント


bottom of page