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サクッとレビューその43「ストーカー」

  • 2 時間前
  • 読了時間: 5分


『その人形はちょっとまだ早いかな』

【サクッとレビュー(ネタバレなし)】




YouTubeでヒーリング動画かと思って寝るまで流していた波の動画がヒカキンTVでしたどーもラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの映画を拝見させて頂きました。



【ストーカー】……いやーこれ前に観た記憶。当時「善人」イメージぶん回し状態の名優ロビン・ウィリアムズがそのイメージをぶち壊す「悪人」を演じたことでも話題になりました。同時期に公開されたCノーランの「インソムニア」でカプチーノ飲み過ぎた不眠症アル・パチーノ♪…を追い詰めるシリアルキラー役とイイ勝負と言いますか、スーパーの写真現像コーナーで働くおじさ……しゃ、写真現像コーナー!?今や絶滅したと言ってもいい携帯電話はあれどスマホのない時代、まだまだ写ルンですが現役だった時代ですよ皆さん!?それを同じくサブスク未加入の絶滅状態の本作の中古DVDを購入して今回再視聴したのですが(ちなみに後日知ったのですがフィルマークスに記載されていなかっただけでディズニープラスで配信されていました……泣)



で今回改めて見返したら、まず邦題タイトル。まあ間違っちゃいない。けど「ストーカー」と、ひとまとめにするにはちょっと違和感があると言いますか?確かにロビン・ウィリアムズ演じる孤独の中年男“サイ”はスーパーの写真現像コーナーで働きながら他人の撮った写真を勝手に複製してそれを自宅の壁一面に貼り付ける誰が見ても「異常者」なのだが、本作はそのサイが主人公。完全にサイ視点で「最もらしい」口調で語られるわけです。だから観ている側も気づけば彼に肩入れしてしまう。そしてサイコではあるけどサイコなりの正義?を振り回す、「タカが外れた善人」にも見えてしまうのが恐ろしい。



サイが執着するのは、いつも店に来る「お得意さん」のとある理想的な家族——“ヨーキン一家”。彼らの写真を見て、彼は「幸せ」を見ている。この作品の一番怖いところはそこ。サイは言う










「写真に写る人は幸せ者」





この言葉、裏を返せば“幸せになる資格がある人間しか写れない”という歪んだ価値観でもある。だからサイの家には、自分が写った写真が一枚もない。彼は自分にはその資格がないと思い込んでいる。だからこそ、ヨーキン一家の家族写真の中に「自分も混ざっている妄想」をすることで、なんとか精神を保っている。……コレが見ていて本当に辛いというか、キラキラした自分を妄想すること自体は、めっちゃ共感できるといいますか。



さらに彼の“空っぽさ”を象徴するのが、ヨーキン婦人に「母の写真だよ」と見せた1枚の写真すら骨董品屋で買った赤の他人の写真ということ。それくらい徹底してる。中身がない。だからこそ彼は“中身が詰まっていそうな家族”に憧れる。



もうね、だからサイに言いたくなるんですよ。「写真に写るものが全てじゃない」「他人のモノサシで幸せを測るな」と。一見幸せそうでも決して中身まではそうとは限らないんだよと。サイはキラキラした写真の表面しか見ていない盲目人だ。人ってそんな単純じゃない。サイが旦那の不倫を知り家族の問題を(勝手に)解決してあげようと、その証拠写真をワザと婦人に見つかるよう仕向けたのに、何食わぬ顔で今日も旦那にサラダを取り分ける光景を目にして「なんで怒らないんだ!」とブチギレるシーン。けど向こうには家庭がある、子どもがいる、築いてきた関係性がある。当事者でなければわからない事情がある。それがサイには理解出来ない。そこが家庭持ちとそうではない人との違いかもしれないが……。



それから「自分には幸せになる資格がない」。だからって他人の幸せに“乗ろうとする”。いやいや、そこも違うよと。隣の芝生は青いんじゃない。他人の芝生はそもそも自分のものじゃない。必要なのは、自己愛。サイに決定的に欠けているものは、それなんですよね。



写真現像という仕事自体が、もうほぼ消えた文化になった今。客の住所を把握してたり他人の写真を“見ることが前提”の職業だったり、当時は当たり前の、しかし今見るとすごい時代だったんだなーと感じてしまった。2001年ってそんな昔じゃないじゃない??もう?もうそんな違和感感じちゃうの??なんて時代の変化をめちゃくちゃ感じる私も老いたもんだ……。あと新人スタッフの名前が日本人だったりキティちゃんの人形出るわ「エヴァンゲリオン旧劇の白いヤツのソフビ」は、確かにお父ちゃん買えないわ!?まだ世界のジャポンがアメリカでギリ台頭していた時代か〜と哀しくもあり。



サイがここまで狂った要因として家族友人恋人なしの絶対的「孤独」があるのだが、個人的に「リチャード・ニクソン暗殺を試みた男」「メメント」に同じ“孤独ゆえに歯止めが利かなくなった「狂った正義感」の救われない最期”を描いた映画だと思いましたねー。救いがない。でもどこか理解できてしまう。後半はもう一歩踏み込んで振り切ってほしかった感はあるものの、MV出身のマーク・ロマネク監督の長編デビュー作としては十分すぎるインパクトを残している。



「写真屋のオヤジにストーキングされる」なんともホラーなサイコサスペンス……ただの「ストーカー映画」と思って観ると、ちょっと裏切られるかもしれません。これはむしろ“孤独と自己愛の欠如が生んだ、静かな狂気の物語”と言える映画、かもしれません……。

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