レンタル・ファミリー(2025)
- 3月19日
- 読了時間: 6分

【原題】Rental Family
【監督】HIKARI
【出演】ブレンダン・フレイザー 平岳大 山本真理ほか
【あらすじ】
かつて歯磨き粉のCMで一世を風靡したものの、近頃は世間から忘れ去られつつあるアメリカ人俳優フィリップ。俳優業を細々と続けながら東京で暮らし、すっかり街になじんでいた。そんなある日、フィリップはレンタル・ファミリー会社を経営する多田から仕事を依頼される。レンタル・ファミリーとは、依頼人にとって大切な「家族」のような役割を演じることで報酬を得る仕事。最初のうちは、他人の人生に深く関わることに戸惑うフィリップだったが、仕事を通して出会った人々と交流していくうちに、いつしか彼自身の心にも変化が起こりはじめる。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『“現代”が描く“人との繋がり”』
どーもどーもラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの映画を拝見させていただきました。
【レンタル・ファミリー】!!!いやー今年の映画は上半期からアタリ多いなぁー!!個人的になんちゃって日本が出るハリウッド映画も好きですが「日本を舞台にした海外映画」としてダントツに好きなソフィア・コッポラの「ロスト・イン・トランスレーション」、キャストがオール日本人でもはや邦画と言っていい「PERFECT DAYS」を超える映画はないと思っていたのですが……いやーそれに匹敵するレベルでめちゃんこ良かった!!感動した!!

「今の時代」だからこそ作られた、ブレンダン・フレイザーじゃなければ作れなかった、「今の人」にこそドシャクソ刺さる映画
主演は我らが「ハムナプトラ」第4弾の製作も発表された「ザ・ホエール」で第95回アカデミー主演男優賞を受賞、ハリウッドに返り咲いたブレンダン・フレイザー。「ジャングル・ジョージ」だった頃の野生児ハニカミ王子の頃から変わらぬ彼の“笑顔”。あの何も語らずとも優しさがにじみ出る表情だけでキャラクターが成立してしまっているんですよね。他の俳優ではここまで“人柄”を役に落とし込むことはできなかったのでは……と思わせる説得力が本作にはある。

もう彼の魅力だけでもどれほど功績を与えているか!?まず驚かされるのがブレンダン演じる主人公フィリップの設定。「日本滞在暦7年目の外国人」という絶妙なリアリティ。7年もいればアグネス・チャンやデーブ・スペクターより上手い日本語も生活もかなり馴染んでいるはずで、その“中途半端な異邦人感”を演じるのは相当難しい役どころ。それを日本滞在歴のないハリウッドスターであるブレンダンが見事に体現している本当に驚かされました。撮影前に来日し日本語や生活習慣を徹底的に学んだというエピソードも納得であります。劇中で明確に語られずとも、その努力がキャラクターの背景として滲み出ている。フィリップという人物はもはやブレンダン本人の投影とも言える唯一無二の存在になっているんですよねー。

そんな温和で優しすぎる男フィリップがなぜ独身なのか。むしろ優しすぎるからこそ一人なのかもしれない――そんな背景まで想像させてしまうのも、このキャラクターの魅力です。異国でのわずかな疎外感や「日本はどこか不思議だ」という感覚が抜けきらない様子も含めて非常に人間味があるキャラクター。そんなフィリップ=ブレンダンの“役を超えた優しさ”があるからこそ人に幸せを届けられる一方で、「レンタル」であるがゆえの裏切りがより痛く響く。この構造がとにかく切ない。
物語の根底にあるのは「人との繋がり」。今はSNSでいつでも誰かと繋がれる一方で、繋がらなくても生きていける現代。その歪みの中で生まれた“心を売るビジネス”としてのレンタルファミリーは、便利さと同時にどこか危うさも孕んでいる。正直“レンタル・ファミリー”なんてビジネス、レンタル彼女と何が違うのk……正直見る前は誰もがどこか胡散臭く怪しいビジネスなんじゃないかと、否定的なイメージを持つだろう。最初はこの商売に疑問を抱いていたフィリップも、次第にそれが「必要とされる仕事」だと理解していく。顧客たちの切実な願いに触れ「嘘でもいいから幸せを届けたい」と思うようになる過程がとても丁寧に描かれています。中でも印象的だったのが、子どもからもらったプレゼントを自宅の窓に飾るシーン。温かい繋がりを感じる一方で、いつか必ず訪れる“別れ”と“裏切り”を思うと胸が締め付けられる。思わず「ちょっと感情移入しすぎでは…?」と心配になってしまいました。

主演のブレンダン以外はほぼ日本人キャストという攻めた構成。それでいて描かれる日本文化が“いかにも海外向け”ではないのが素晴らしい。怪獣追っかけたり石田三成やったり日本の総理大臣やったり今や“ハリウッドで見ない日はない日本人俳優”と言っても過言ではない平岳大を筆頭に、山本真理、森田望智、真飛聖、板谷由夏、安藤玉恵といった国内ドラマでお馴染みの顔ぶれが揃い踏み。そして極めつけは柄本明。あのシーン正直泣きかけました。ベテランの一撃、やっぱり強すぎる……。渋谷や新宿の定番カットもありつつ、日本人にとって馴染み深い風景や文化がしっかり織り込まれていて、CM描写や日常描写も「これこれ!」と思わず頷くリアリティ。変に誇張された“ヘンテコ日本”が出てこないのも好印象でしたねー。日本特有のコメディテンポやお受験事情なども自然に組み込まれていて、海外作品でありながらしっかり“日本の映画”としても成立させていると思いました。

そして本作の大きなテーマである「レンタルファミリー」。これ、よく考えると“役者”という職業そのものにも重なって見えてくるんですよね。嘘の人生を演じ観客を感動させる。その感動は嘘なのか?と問われれば、決してそうではない。レンタルであっても人の心を動かす瞬間は紛れもなく本物であると____
…なんて難しく考えなくても全然問題ありません。本作はとてもハートフルで、誰でもすっと入り込める間口の広さもある。気軽に観てもいいし自分や誰かを重ねて深く共感することもできる懐の深さがある。また他にも興味深かったのがフィリップが風俗に通っている設定。これも実は重要な要素だと思っていて「感情を提供する仕事」という点で、レンタルファミリーと構造的に重なっているという意味でポイントが高い。本作はシンプルに「人との繋がり」を描いているからこそダイレクトに心に届く。今まさに多くの人が求めているものを、真正面から見せてくる映画。孤独な人はもちろん、家族がいる人にも刺さるはず。

そして何より「あなたは一人じゃない」とそっと寄り添ってくれる優しさがある。観終わったあと、少しだけ心が軽くなりました。さらに言えば“一度観て終わり”ではなく「繰り返し観てじわじわ沁みるタイプ」の作品でもあります。気づけば心の奥に残っている――そんな不思議な余韻を持った素晴らしい1本でありました〜。




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