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オデュッセイア(2026)

24 分前
読了時間: 14分

【原題】The Odyssey

【監督】クリストファー・ノーラン

【出演】マット・デイモン アン・ハサウェイ トム・ホランドほか

【あらすじ】

トロイア戦争を終えたイタケの王オデュッセウスは、妻と息子が待つ故郷への帰還を目指す。しかし神々の怒りを買った彼の前には、一つ目の巨人や魔女、荒れ狂う海の怪物といった幾多の試練が立ちはだかる。一方、王の不在が続く故郷では、王妃ペネロペに求婚者アンティノオスの影が忍び寄り、まだ見ぬ父を思う息子テレマコスも窮地に追い込まれていた。愛する家族のもとへ帰り着くため、オデュッセウスは過酷な運命に立ち向かっていく。(映画.COMより)





【感想(ネタバレなし)】

『ギリシア風「お遍路めぐり」』





どーもどーもラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの映画を拝見させて頂きました









「幸せのイタチごっこ」、再び。




毎度我々の期待値を超え次回作で我々のさらにその期待値をさらにそのまた期待値の上をいってしまう(何言ってんだ)男、クリストファー・ノーラン。そして今や「世界一チケットの取れない映画監督」「観たくても観れない映画監督」となってしまったノーランの最新作がついに日本凱旋。



日本にたった2つしかない1.43:1フルサイズIMAX劇場のひとつ、池袋のグラシネでは今も連日スクリーン12はチケット発売開始と同時にサーバーダウンを繰り返し、何度も叩いてようやく座席確認画面に飛んだかと思えばそこはもう漆黒の選択不可の嵐……拭った涙は数しれず何度も何度も繰り返すも同じ状況に心折れた同士は数しれぬだろう。大袈裟に言っているわけでない。そもそも日本にフルサイズIMAXが2つしかないことが問題なのだ。しかも今回「全編IMAX撮影」したという、これはもうIMAX(しかもフルサイズ)で観なければ「観る意味がない」とまで言ってしまっているではないか!?ならば是非観させておくれよ、誰の目にもその作品を届けてくれないか……



ということで遅らせながら先日やっとの想いでグラシネで鑑賞することが出来たので今こうしてタイピングしている次第。てか相変わらずグラシネ池袋は民度ひっくいなあああああああああああー!!!上映中もゾロゾロとスマホ光らせながら入ってきたりスマホをチラッチラ確認する下郎共は全員トロイの木馬に詰め込んで火炙りにするか巨人の餌にする法律をお願いしますというわけでついにこれまでノーランが一切手を付けてこなかった、否「完璧実写」にこだわるノーランと「最も不釣り合い」なジャンル、古代ギリシャの吟遊詩人ホメロスの叙事詩、世界ではじめて執筆された「異世界物語」と言っても過言ではない!?「一大ファンタジー巨編」に挑んでしまったという!?Youtubeで原作の内容をざっと予習はしていたえだでありますが、“1つ目のサイクロプス”に今色んな意味で話題沸騰中の“セイレーン”、その他魔女や神々がワンサカ登場するだってー!?











で、どうせ“本物”なんでしょ?




いやーもう全ッ然驚きませんって!!前作「オッペンハイマー」で原子力描写を実写(正しくは似たもので再現)でやった人ですよ?1つ目の巨人?ノルウェーの森あたりにいるでしょ?ノーランなら本物呼んできますって……ともう“空想の実現化”にさほど驚かなくなってしまうカラダにまで麻痺ってしまいますが!?ノーランが長年徹底的に貫いてきた「空想上のリアリズム」。その“究極”が世界初の空想叙事詩であるこの物語の映像化、だったのかもしれない!?ということで鑑賞前と後で感想はもう変わらない「大傑作はやっぱり大傑作だった」のですが……



ノーランがこれまでずっと手を付けてこなかった理由も妙に納得してしまったと言いますか!?「ノーラン節があまりに強すぎてもはや“ファンタジー”というジャンルを犯してしまっている」にも見えてしまったんですよねー。




IMAXと「特撮」について




まず史上初「全編IMAX」の謳い文句は伊達じゃなく、そう言われていまいちピンと来なくてもいい。説明されなくても「観に行けばわかります。」感じるんだ。これがファンが喉から手が出るほど待ちわびていた歓喜の瞬間、「究極の映画体験」である_!!それを可能にする為にノーランは新作を出す度にIMAXカメラを自分用に魔改造してきました。前作「オッペンハイマー」で史上初IMAXカメラで「モノクロ撮影」をやってのけたわけだが、では本作では何をしたのか。それまで飛行機のジェットエンジン並の騒音(サウンドじゃなくカメラ本体から鳴るなんたる皮肉)に悩まされカメラ前の役者の肉声がかき消される問題を特殊なカバーを製作して限りなく小音化させることに成功。これにより本作では“役者のアップ画”がこれまで以上に増え、しかもセリフまで見事に聴き取れるようになった。またカメラが巨大すぎて演技中に向かい合った役者同士の視線が合わない問題はカメラに鏡を取り付けることで解消。1カット最大3分しか持たない極短フィルムでの撮影で、役者の演技を切らずにそのまま次の撮影に移れるようスタッフが“フィルムの入れ替えを秒速で終わらせる”術を身に着けt…職人芸じゃねーか!!そんな類稀なる努力の末に実現できたと言ってもいい驚異の映像。



本物の崖、その上にいる本物の役者たち、その背景に映る本物の古城……全てが“実写”。自然や構造物だけではない。何百と集められた軍勢=エキストラたち。巨大なトロイの木馬を実際にロープで引っ張り上げる。丘の上から一斉に追いかける。役者が実際に木製で作った船に乗り込み海の上で実際に船を漕ぐ。荒波の航海シーンは「ワン・バトル・アフター・アナザー」のチンサムロード級のグワングワン、“船酔い”感覚まで覚えてしまう!?劇中織物をするシーン一つにしても全て本物の役者が演じることで、我々視聴者がその場に存在しているかのような“体験”を可能にしているんですねー。



そして登場する数々の“空想上の生き物”。詳しくはネタバレになるので控えますが1つ目のサイクロプスは糸で吊った「巨大なピノキオ」でした……もうアホでしょ?w全員レブロン・ジェームズですか?何体もの巨人兵士が登場するシーンは身長200m超のスタントマンに鎧を着せて演じさせるだけでは飽き足らず、オデュッセイア側の兵士も身長130mのスタントマンを起用してより体格差を大きく見せる「指輪物語」のピーター・ジャクソンが使ったヤツですね。アナログオタクと言うか、いやーもうわざわざお金のかかる方法を使って絶対ワザとやってるよね?ここまで来るといよいよ“ド変態”かと。あとビックリしたのがノーランが今回とある“「セントチヒロ・チッチ」”シーンでB級ホラー並みの“特殊メイク”に挑んでいたことですね!あの変身シーンは「ハウリング」「狼男アメリカン」っぽさがあって。ノーラン映画でそんなものが拝めるとは夢にも思わず感動してしまいました!!



また「ダンケルク」では血一滴垂らさなかったのに今回は「オッペンハイマー」に次ぐR指定、ということで血吹雪をはじめ首もげあり片腕取れたりまあまあなゴア描写もこれまでのノーラン作品ではなかった演出。しかしどれも一瞬で済ませたりマジマジと見せるような性格の悪さはないのでそこはご安心を。それよりも残酷だったのは「悲鳴」。敵に囲まれ成す術もなく無残に殺されていく兵士たちの断末魔。罪のない人々の悲痛の叫び。今作はノーラン史上「過去一残酷」な映画にもなっております。




キャストについて




冒頭からおうおうチラッチラッ映る顔ぶれが「全員アカデミー級の顔面」だよぉー!!中には名前すら無さそうな雑魚に「プロメテウス」「コントロール」のローガン・マーシャル=グリーンとか使ってるし!!主人公オデュッセイア役は「世界一チケットの取れない映画監督」の下、「世界一帰れない男」のネットミーム化も待ったなしのマット・デイモン。そういや以前万里の長城でも驚異の弓さばきを披露してくれたマッドですが今作もすごいです。自身の武力もさることながらオデュッセイアの持つ知略と勇敢さと哀愁、この3つを見事に体現していました。なんせ“苦節20年間”ですからね?でその息子なんだけどオデュッセイアの顔も覚えてない息子テレマコス役に青汁も吹き出すハリウッドきっての“ネタバレ王子”トム・ホランドは今作の出演が決まった当初エージェントから「宇宙映画に出る」とウソの情報を聞いていたらしい……もはや身内からも信用されてないじゃない!?ちなみに彼は本作をもって「少年役」を引退すると宣言(本人曰く今回は16歳のつもりで演技したらしいがどう計算しても設定年齢が合わない。もしかしてトムホ算数が苦……)



そんな旅路のオデュッセイア×実家のテレマコス、2人の描写を交互に描くのですが、だから「ブランドニューデイ」でもあんなにベタベタなのも納得の前世でもツーショットかましまくりのトムホ×ジョン・バーンサルは偶然か?嫁さんゼンデイヤロバート・パティンソンとの現役蜘蛛男×蝙蝠男ツーショットも貴重だし、これはもしやトム・ホランド優遇映画












残念主役はずっとパパでぇしたぁ〜!!!パパ大活躍!!パパ活





そこは譲らない(汗)クライマックスの“息継ぎする暇さえ与えない”マット・デイモン無双は最高でした。無双と言えば今年ハリウッドで無双しまくりのオデュッセイアの妻ペネロペ役のアン・ハサウェイ。えこの世に彼女何人いるんです?いつまで経っても帰ってこない夫の代わりに玉座を守り続けるうちに内面がゴリゴリにたくましくなる強い女性(何回目だよ!)をまたしても演じております。「テネット」ではあんなに優男だったパティンソンが今回は徹底してゲスなそのペネロペの求婚相手Aを演じていてコチラも素晴らしかった。ちなみに彼曰くノーランは“思考回路が常人とは真逆”の変人ということで…(全会一致)同じく「テネット」ではジャンボ機ツッコミ役以外目立たなかったヒメーシュ・パテルが今回オデュッセイアの右腕としてかなり目立つ役に抜擢されていました。総出演時間わずか4分なのにデカデカとポスター中央を陣取る(おま、主役じゃねえのかよ!)今作の「ダークナイト」こと「オッペンハイマー」のベニー・サフディは「スマッジングマシーン」などを手がけてきた監督兼俳優。あ、だから「スマッジング〜」公開時にノーランが絶賛コメント寄せてたのか。あとはシャーリーズ・セロンとかルピタ・ニョンゴとかサラッと出てくるんでもうわけわかんねーっす……。



ノーランの専属主題歌担当トラヴィス・スコットが今回も主題歌を担当、だけにとどまらず出演までしてなんか語り部みたいなことしてるし!?そのトラヴィスと主題歌を共作したアカデミー作曲賞受賞歴のある次世代のハンス・ジマー??「マンダロリアン」テーマ曲等今年も絶好調のルドウィグ・ゴランソンが「テネット」「オッペンハイマー」に次いで3度目のサントラを担当。で今回もノーランからオーケストラは使用禁止、時代設定が青銅器時代だから青銅楽器など「古代楽器のみを使用して現代風の音楽を〜」と無茶振りにも臨機応変に対応する天才っぷりを発揮し、結果的に「これまでに聴いたことない」音色、かつ時代ものなのにとてもモダンさを感じる素晴らしいスコアが爆誕。




物語について




今回は「オッペンハイマー」に続き元となる叙事詩を「知ってる前提」で話が進むので原作を読み込んだ人以外は、特に冒頭から物語を掴むまで苦労すると思います。史実を元にした「ダンケルク」はあくまで歴史ものとしてではなく“タイムサスペンス”として描き、「インセプション」「テネット」は設定こそ複雑かつ難解だがちゃんと世界観の説明をしてくれていた。「オッペンハイマー」あたりから説明すらすっ飛ばすスタイルに変わりましたね。ただしSNS等にある「これだけはおさえておけ」的な事前知識は初見では「ほぼ必要ない」と断言したい。だってそれすらネタバレじゃないですか。楽しみにしていたんですよね?「知らないに越したことはないだろう」。わからん固有名詞はせいぜい地名と登場人物の名前くらい。地名は観ていればそのうちわかるし登場人物の名前は演じるキャストが全員主役張れる“全員濃ゆい”面々なので見た目で判別可能。だから問題ありません!!



本作は簡単に言うとトロイア戦争で勝利した英雄「なのに」……という!?トロイア戦争を勝利へと導いたオデュッセイア。結果誰もが「彼について行けばなんとかなるっしょ笑」という絶対的自信と信頼を彼に寄せる。しかし彼も結局は神ではなく「ただの人」。彼の選択その全てが「正しい」とは限らない……まるで「ミスト」のトーマス・ジェーンを見ているかのように、めっちゃ頼りにしてるぜアニキ感から徐々に「おいホントに大丈夫なんだよ…ね?」と部下の士気低下とオデュッセイアに対する信頼度が崩れていく様をまじまじと見せられる。マット・デイモンそんなに悪くないのにぃー!!(泣)しかもオデュッセイア自身はひとりでも多くの部下を救いたい一心だから余計に悲しくなるという!?本作のテーマとして登場するのが「ゼウスの掟」。これもぶっちゃけ鑑賞後に調べればOKなんですが、超要約すると古代ギリシア時代の“マナー”。この世のどんな生命体も神の使いや化身かもしれないから丁重にもてなしなさいという教えだが、この世で一番強欲な人間は当然それを守れるわけがない。故にその「罰」を受けよゴラああああー!!!と神々からお叱りを受けるオデュッセウス御一行、という「カルマ」を描いた映画なんですよね。



オデュッセイアの帰路の道中、様々な島に上陸する度に痛い目に合う感じが「インターステラー」で希望の星を探して様々な星を巡る感じに似ているのですが、オデュッセウスはその旅を経て自らが「犯した罪」を見つめ直し悔い改める。オデュッセイア帰還の旅は「ギリシア風お遍路めぐり」のようなものだったのです!!



あと本作とはあまり関係ないけど映画って「こうだからこう。」じゃないからね?ノーランレベルになると特にレビュアーたちが各々の「オレの正解はこれだ」を導いて、さもそれが作品の「最適解」のように語りたい、熱くなる気持ちもわかるけどさ。先述した“事前知識は必要ない”にも繋がるんだけど、映画に必ずな「正解なんてない」。私の感想だっていち視聴者のただの感想でしかないんだ。観る人の数だけ正解がある。それが映画です。だからあまり堅苦しくならずに各々が各々の楽しみ方を本作でして頂ければいいなーと思います。



ちなみに劇場で買える公式パンフレットも評論家の余計な考察や記載は一切排除された全てキャストコメントとプロダクションノートでびっしりと埋め尽くされ「制作秘話」を知りたい勢(というかパンフレット買う人の殆どがそうだろう)に向けた本気度がうかがえてとっても読み応えのあるお買い得ですよ!!







【感想(ネタバレ)】




「無事帰還したんで妻の求婚相手全員ブチ〇します」きゅ、急に脳筋プレイ!?そしてドンドコドンドコドンドコ……しつこい!長い!!しつこ過ぎるうううう!!!長回しではないのにあのクライマックスにかけての「しつこさ」はこれまで温存しまくっっていたオデュッセイアの体力と気力が大爆発するシーンでカッコよかったですね〜!!でもそもそもオデュッセイアの旅路の“信憑性”ですよ











オデュッセイア「PTSD」説




PTSD(心的外傷後ストレス症)反戦映画などでもよく耳にする命に関わる強いトラウマ体験等で日常生活に深刻な心的支障をきたす精神疾患で、幻覚や幻聴などを誘発するケースもある。本作のオデュッセイアはトロイア戦争から明らかに“おかしく”なって、彼がトロイア戦争で受けた精神的ショックが原因で、実はその後の帰還の話は我々も含め全てオデュッセイアの口“からでしか”語られないということ、要所要所でゼンデイア演じるアテナ=トロイア戦争で殺された娘が登場するのも、そしてラストに求婚者を皆殺しして自らも重傷を負いペネロペの前で倒れ込むオデュッセイアが見た「その後」の光景、水平線の夕日を見ながらペネロペと永遠の愛を誓いながら海を航海する、あまりに美しく綺麗にまとまり過ぎたあのラストも、私個人的にはそれらはすべて「オデュッセイアの幻想」だと思いました。トロイア戦争で自分たちが目線の勝利に固執し、敵兵だけでなく民間人も容赦なく惨殺する光景にオデュッセイアは自分たちの“犯した罪”に苦しめられる。旅路での数々の困難は彼の贖罪であり精神世界の話で、帰れなかったのではない「帰りたくなかった」のではないか??



でも“神話”って、そんな人生の「教訓」がそもそも根っこにあって、そこから“空想”を肉付けして誰の耳にも届きやすく、わかりやすいようにしたものじゃないですか?さらにそれを聴いた者が、さらに空想を肉付けしてその次代に沿うように(寄り添うように)カタチを変え、何世代にもわたり語り継がれていく。ノーランがしているのはまさにソレで、今度は「映画」というカタチで、我々の元に届けようとした。ただし“空想上のリアル”を掲げるノーランは、それをただの空想上の話に落とし込むことはしない。今作は「オッペンハイマー」に次ぐ「反戦映画」ですよね。なぜ今この時代に古代文学を蘇らせたのか。戦場に駆り出された者、戦場に生きる者、現在進行系の世界の紛争に対しても彼なりのメッセージのような、ノーランはその何千年と続く物語の「継承者」にして、そのような意味作品に込めたかったのではないか。


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