THE BATMAN ザ・バットマン(2022)②
- ラーチャえだまめ

- 2022年3月21日
- 読了時間: 9分
更新日:2022年3月23日

【原題】The Batman
【監督】マッド・リーヴス
【出演】 ロバート・パティンソン ゾーイ・クラヴィッツ ポール・ダノほか
【あらすじ】
両親を殺された過去を持つ青年ブルースは復讐を誓い、夜になると黒いマスクで素顔を隠し、犯罪者を見つけては力でねじ伏せる「バットマン」となった。ブルースがバットマンとして悪と対峙するようになって2年目になったある日、権力者を標的とした連続殺人事件が発生。史上最狂の知能犯リドラーが犯人として名乗りを上げる。リドラーは犯行の際、必ず「なぞなぞ」を残し、警察やブルースを挑発する。やがて権力者たちの陰謀やブルースにまつわる過去、ブルースの亡き父が犯した罪が暴かれていく。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】
いやー本題に入る前に燃え尽きてしまいましたでジョー……もう皆さんティザー映像を見てもう薄々感じているやもしれません「クオリティの高さ。」そりゃあ、あの「ダークナイト」を明らかに意識した、否その生みの親ノーラン監督に「アぁータの作品超えちゃってもいいかしら?」by黒柳徹子とマジでケンカを売ったらしい(これホンマの話)制作陣の美意識高すぎ高杉くん過ぎるOPから「完璧なまでのカット割」「完璧な演出」に早くも度肝を抜かれてしまいました。はっきり言いましょう「期待値かなり上げても問題なし。」___いやこれ地味にありませんからね?言い換えるなら「ノーラン版バットマンを確実に“対抗意識”しつつ“これまでになかった新たなバットマンの姿”を描いている」……6、6代目にしてまだ描いていない姿カタチがあったというのか…!?という引き出しの多さにも圧巻でありますが

開始5分で観客のマインドをごっそり掴んでしまうチカラ?特に私は「映像美」とティザーでも何度も流れる素っ裸でプールを泳ぐ赤んの裁判はどうなったのか90年代を代表するアメリカのロックバンド“ニルヴァーナ”の楽曲「サムシング・イン・ザ・ウェイ」を今作のバットマンの「テーマ曲」に起用してる所?いやートムホ版「スパイダーマン」のテーマ曲も担当するマイケル・ジアッチーノ(MUC、DC2大スーパーヒーローのテーマ曲を担当するのはハンス・ジマー以来)の映画オリジナルスコアでバットマンのテーマも勿論あるんですよ?ただこの曲を明らかに原曲にして作曲されているからオリジナルスコア流れるでしょ?「サムシング・イン・ザ・ウェイ」流れるでしょ?またオリジナルスコア……いやどんだけテーマ曲流れんだよ!!もう映画を見終わったあとは「デェーデデェーデェー♪」の歌がアタマからこびりついて離れない、いや全く違和感がない。バットマン史で初めてじゃないですかね、既製の曲をテーマソングに使うというのは。ただやっぱり原曲がそうなんだもの。オリジナルスコアと合わせて抜群にカッコよく、そしてこの“バットマン”でも“ダークナイト”でも“ジャスティスリーグ”とも違う「THE BATMAN」としての“世界観”に絶妙にマッチしているんですよねー。まぁそれは本作の脚本が「サムシング・イン・ザ・ウェイ」を聴きながら執筆した時に出来たものなんだから当然
“はじめて”というともう一つ、本作でついに?目の前で殺される両親、井戸に落ちてコウモリと戯れる、深い悲しみと闇を抱える“少年ブルース・ウェイン”を“描いていない”トムホ版「スパイダーマン」でクモに噛まれるシーンがないのと同じように、もうそんなの見てるコッチは数百、数千回拝んでんだい!!今更「地球は丸い」と同じくらい周知の事実「バットマン誕生の瞬間」を、実写映画ではおそらくはじめて“省いた”最初のバットマン映画なのではないでしょうか??そんなほかにも“はじめて”なものが実は多いんですよねー。
本作はノワール(暴力・犯罪などを扱った)調の金田一少年もスーツの股下が気になって推理できない

“名探偵”バットマン
の活躍が描かれる…!!これまで何度かヴィランの用意した“お題”に答えるシーンこそあれど、ここまで本格的に手からビームを出すキムタクも関心する“探偵としての顔”が垣間見れるのも?これまた珍しい!!否、これはコミックス版がそうであるから、なんだそうです??これまで実写化されたバットマンはスーパーヒーローとして描いたものが多かった。ノーラン版も“ダークナイト”とあえてヒーローと呼称こそ避けたものの、実際ゴッサム市民のために命かけて闘う街のヒーローとしての顔、がありましたものねぇ。スナイダー版なんて筋肉モリモリでスーパーマンと互角に戦えるモロヒーローって感じで、それと引き換え少々アタマのおつむが……

今作のバットマン=ブルース・ウェインは時系列で言うとたった一人“自警団”として立ち上がってから約“2年後”の話……この時はまだ世間で“バットマン”と名乗ることも、そして“正義のヒーロー”として認知されてもいなかった。“コウモリのコスプレをした敵に回すと超絶厄介な陰キャ野郎”という位置づけ、だったわけなのです。もう序盤の登場シーンでね、空からバットマンを呼ぶサインが出るじゃないですか?それを見た現在絶賛犯罪起こしまくり中の犯罪者たちがふと街中の遠くの方にある“暗くて先が見えない”場所、建物の“死角にある暗がり”、“半開きした扉の先に広がる漆黒の闇”の方を向いて「もしかしたら自分をボコリにアイツがそこからひょっこりはんするんじゃないか」って妄想に取り憑かれ逃げて行くんですよ。いやどんだけ恐れてんだよ!!そんなたった数秒間のわずかなシーンでバットマンが犯罪者たちから「恐怖の対象」として十二分に根付いていることが伺えることがわかる、いやぁ〜しびれるシーン。そんな「恐怖の対象」であるバットマンは劇中なんと呼ばれているか

今作のバットマンは実写映画歴代イチに“若い”かもしれない??演じるのは「トワイライト」で一躍売れっ子スターとなりながら近年は色男のイメージを払拭するかのような過激な役から汚らしい役まで演技派として活躍するロバート・パティンソン。「テネット」の撮影中に本作のオーディソンを受けたのは有名な話で、その時ノーランにバットマンの新作映画のオーディションとは伝えずこっそり受けていたのに「なんや新しいバットマンやるんやろ?」とあっさりバレてしまったという……地獄耳かよ!!先程言った本作がニルヴィーナの曲から多大なる影響を受けていると言いましたが、それはキャラ設定にまで派生してパティンソン演じるブルースはメンバーのカート・コバーンをモデルにしている……私はそこまで詳しくはありませんが、ヘロイン中毒や鬱病を患いデビューしてすぐ自殺してしまった、コバーンがもしバットマンだったら?の如くもう今度のバットマン=ブルースはもう

とりあえず陽の光を浴びなさい
色白すぎて美しいけどちょっとこれじゃいくらなんでも不健康だよ!!と全国のママさんなら皆口を揃えて叫ぶであろうウェイン産業には目もくれず会社に顔を出すどころか昼間外に出ることすらない?そして夜になるとスーツに着替えて敵さんとボコボコ殺り合うんだもの……スーツには細かなキズや縫い目なんてのもよぉーく見るとわかるんですよね。いくら強いって言っても中身は人の子、私夜勤やってるんでわかるんですが大事なことなのでもう一度

まずは陽の光を浴びなさいッ!!!
口数も少ないし、ていうかスーツ着てた方がまだ喋るんじゃない?今回歴代最長?ブルースウェインよりもバットマンとしての姿の登場が圧倒的に多い。スターはマスクより素顔を晒したがると言うが(・・・・byスタローン)そのへんのオレオレ詐欺ならぬ「オレオレスター」感を出さないパティンソンの懐の広さ?マスクの下から見せる演技もそれはそれは素晴らしいもので……

リーヴス監督の“マイケル・ケイン枠”として特別待遇のアンディ・サーキス演じる右京さんというよりは左京さん寄りのアルフレッド……こちらももう何代目でしょうか、過去様々な俳優が演じてきたこのアルフレッドのキャラクターにも今回新たな人物像が浮き彫りに?原作にもある“元スパイ”という設定が今作から導入され、ブルースの身の回りの世話はモチのロンのこと格闘戦術など闘いのイロハも伝授していた…!!というなかなかの強者キャラに格上げ、なんでありますね〜。しかし反対にブルースの根暗な性格が災いしてか「ハハハ私はモノポリが大好きでしてね…」な具合に“謎解き”に協力したりブルースに寄り添う姿勢こそ見せるも、当のブルースはとにかく無口なので互いの意思疎通が……ちょっと心配なレベル。この2人の関係性も見ていてまだまだ、これから築き上げて行くんだなーという、その準備期間と言った具合でしょうか??
今作のヴィランはジム・キャリーがやったらあんなに破天荒なアウトデラックスに出てそうなヤツなのに「ゾンビポッターと無人島1万円生活」題して「スイス・アーミー・マン」「ワイルドライフ」で監督デビューもしているポール・ダノが演じてしまうとこうもナヨナヨ童◯シリアルキラーになってしまうのか!?「何故コンタクトにしないのか」がある意味究極のなぞなぞかもしれない??マスクの上からメガネ姿のこれまでにいなかった見た目のヴィランで、原作以上に手段の為なら殺人も厭わないとても残忍な性格で殺害現場では髪の毛一本すら落とさぬよう、そのマスクの上からさらにホラン千秋もビックリのサランラップをグルグル巻きにして撮影に望み顔を真っ赤っ赤にしながら撮影していたという??役者根性が過ぎるポール・ダノ

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督「プリズナーズ」で精神障害を患った危険人物の役がハマっていてどこか“狂気”な役どころに非常に定評のある俳優でありますが、いやー良かった。ブラボぉ。それこそヒース・レジャーのジョーカーのような狂気×トム・ハーディのベインのような“民衆を味方につける戦術家”としての才能、両者のいいとこ取りをしたようなバットマンにとって非常に厄介な敵。ネタバレの方で後述しますが殺人やSNS等を駆使しゴッサムシティの“嘘”を暴くことに執念を燃やしているんですねぇ。そしてそのゴッサムの謎が「ブルース=バットマンの謎」にも繋がっていく…??
ほかにもレニー・クラヴィッツの娘「マッドマックス」以降徐々に主演作が増えている女優ゾーイ・クラヴィッツが「レゴバットマン」に続きキャットウーマンを演じ「聖なる鹿殺し」のビールっ腹以降体格を崩すことをやめたらしい特殊メイクでずんぐりむっくりな“ペンギン”になりきったコリン・ファレル、テドロス事務局…ジェフリー・ライトのゴードン“警部補”だけが街で唯一の“協力者”としてバットマンに味方する。どれも皆「個性強すぎ」なのよ。とても175分をもってしても「175分全員のストーリーがある」と言っても過言ではない??今作ではその魅力の全てを受け取ることは不可能!?故にペンギンだけとは言わずに映画なりドラマなり何かしらの「全員分のスピンオフ作品」で彼らの魅力をここは是非とも補完したいですねー!!

リアルの延長線上に存在する「バットマン」の世界を描いたノーラン版では「黒く塗った戦車」としてバットモービルが登場。今作ではスポーツカーを大胆リメイクして?戦闘(と言っても頭突き)向きと言うより「速さ」をパワーアップしたバットモービルが登場!!登場機会はそんなに多くはないけどバットマン=モービルはお前の頭はハッピーセットよりセット感ある大事なガジェットですよね!!ほかにも胸元にあるトレードマークは“ブレード”のように武器として取り外し可能な代物だったり空を飛ぶ時は……これまた今までとは違ったデザインで面白いんですよね〜!!そして何よりもこれまでになかった?最新のバットマンスーツはココが凄い!!

リュックサックに入っちゃう
(後半に続く……)




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