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サクッとレビューその14「フランシス・ハ」


『“But I try I try”』

 
【サクッとレビュー(ネタバレなし)】





どーもどーもラーチャえだまめです。早速ですが本日はコチラの映画を拝見させて頂きました



【フランシス・ハ】!!!アマプラに入ってたのかー!!先日通販で間違ってプライムに加入した自分を許したい……そうそう間違えたと言えば実はネズミープラスの「キャシアン・アンドー」で強烈なインパクトを残した悪役デドラ・ミーロ中尉役のデニース・ゴフの出演作かと思ったらグレタ・ガーウィグだったというオチ。しかもグレタと言えば今や「レディ・バード」「ストーリー・オブ・マイライフ」そして実写版「バービー」……“監督”としてその名を銀河系まで轟かしている名監督。そんな彼女が2012年に現夫ノア・バームバックと脚本を作り出演したのが本作、全米で4館ほどの上映数が口コミで話題となり233館まで広がったという。NYブルックリンで親友のソフィーとルームシェアをして暮らすフランシス。ソフィーの前ではいつも笑顔を絶やさず時にくだらない話やおちゃらけたことをして笑わせるのが得意な、元気いっぱいポジティブシンキングな一面を見せる一方、いつまでもソフィーと暮らしたいと同棲を断り恋人とは破局、そして27歳の現在でもプロのダンサーを目指すもいまだ“実習生”から抜け出せずにいた___。



この映画モノクロなんですよねー。モノクロと言うと人によっては“古臭い”という印象を持つかもしれません。私はその逆でカラーと違ってモノクロは、令和だろうが平成だろうが昭和だろうが“一色たん”だから良い意味で映像から“時代を感じさせない”と言うか、だから嗚呼この時代はまだスマホがないんだとか、余計なことを考えずに画面に集中出来るから好きなんですよねぇ。…話が逸れました主人公のフランシス、見ているこっちまでポジティブになるような“こんな友人欲しい”タイプの人間。とってもキュートで魅力的な女性をグレタ・ガーウィグが見事に憑依的に演じております。つらい時とか相談に乗ってくれたり笑わせてくれたり……しかし当の本人は“いつもハッピーなのか”というと、決してそうではなくて。



ある時ソフィーが突然“恋人と婚約するから家を出る”と言ってきて半ば家を追い出されることになります。なんとか知り合いのツテで別のシェアハウスに移り住むことはできたものの、フランシスにとってそれ以上に辛かったのは何より親友のソフィーを恋人に奪われるということでした。さらに不幸は続き、ダンスの年末の稼ぎ時でもあるクリスマスイベントから降ろされ一文なしに。苦渋の選択として実家に帰ったりまた別の知り合いを通じて寝床を転々とする日々。せっかくパリの友人の家を借りてもお金がないからレストランにさえ入れないなんてオヨヨ……(泣)彼女の人生はどんどん下り坂に……



それでもみんなの前では「全然ヨユーよ!」とカッコつけて弱さを見せず、惨めな人間だと思われたくないからめちゃくちゃ話は盛るし強がった姿勢を見せる。心の中では「嗚呼このままズルズル落ちてくのか私…」なんて不安はあったかもしれません。けど今はとりあえずその場しのぎだとしても掴まれるものには掴まっておこう、という半分はポジティブ思考なのです。人によっては“夢なんて早く諦めて真っ当な仕事就けよ”とか“友人たちの飲み歩く金あるなら貯金しろ”とかルーズで自由人気質で直面する問題が半分自己責任な面もあるから、フランシスに感情移入出来ない人もいると思います。それも確かに正しい。ただ私は別に彼女に共感しようとか、その必要はないと思っています。



彼女の姿。そこに勇気を貰えるからです。今何かに悩んでいる人、これから大事な何かが待っていてそれに対して不安を感じている人にオヌヌメしたいし、一番の親友が結婚して今は疎遠になっちゃった人ハーイ!!大丈夫、きっと親友はアナタのことを忘れたりしません!!(…多分)「友情」の素晴らしさも描いているんですねー。



そして“将来”を不安視する人には「特にオヌヌメしたい」理由があります。プロダンサーの夢をずっと諦めるつもりはないフランシスですが、27歳で芽が出ない悔しさ。本作はシンデレラストーリーではありません。そして彼女の一つの“決断”。これが













人生における「夢」と「リアル」の「バランス」の大切さ





夢とリアル、どちらも大事です。夢だけ追い求めてリアルで生活出来なくではダメですし、かといって夢を完全に諦めて結婚して家庭を持って……リアルだけを充実させても、果たしてそれで納得出来るか?この塩梅、これが大事ですよね。映画的には決して劇的な何かが起きるわけではありません。そこは非常にリアル。リアルといえば実際セリフの言い回しもその全てがアドリブなしの用意されていたものですが、会話のやりとりもとってもリアルでした。あ、まだ売れる前のアダム・ドライバーがイカしたハット野郎の役で出演。ちなみに本作でバームバック監督が彼の演技を絶賛しその後「マリッジ・ストーリー」「ホワイト・ノイズ」で彼を主演に迎えているのは感慨深いものがありますね(「ホワイト・ノイズ」なんて彼がメイン以外…)劇中とエンディングで使われているデビッド・ボウイの「モダン・ラブ」がまたフランシスの躍動感にマッチしてるというか、ポスターにもなっている彼女が街を軽々しく駆け抜けていく疾走感あるシーンで、最高のタイミングで流れるんですよねー。歌詞にある「But I try I try」(それでもやるんだ やり続けるんだ)まさに本作にマッチしてんだよなー。本当に素晴らしい。タイトルにあるフランシス・“ハ”とは??下のネタバレありでご説明致します。





 
【サクッとレビュー(ネタバレ)】



タイトルの“ハ”がずっと気になっていて。それはエンディング直前のシーンで明らかになります。新しく引っ越したアパートのポストに名刺を入れるシーンでフルネームの“Frances Halladay”と書いて入れようとしたら……サイズが合わず仕方がないので名刺を折ってその結果、ポストに“Frances Ha”の文字が入った……なんてことないオチと言えばそれまでですが、ただ以前住んでいたアパートのポストには“そもそも名前が入っていなかった”のをご存知でしょうか?部屋の掃除すらしないようなズボラな性格から少し成長?それだけはありません、ここからフランシスの成長が垣間見れるというか、この部屋からまた心機一転、人生再スタートしたことをこのポストシーンで描いている、と私は考察しました。ちなみに当初予定していたタイトルは“Frances”だったそうですが、同名タイトルの映画が既にあることから変えたそうな。偶然とは言え結果“型にはまらない”フランシスを象徴するかのような、そんなタイトルだと思いました。

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