シェフ! 〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜(2012)
- ラーチャえだまめ

- 2020年6月2日
- 読了時間: 5分

【原題】Comme un chef
【監督】ダニエル・コーエン
【出演】ジャン・レノ ミカエル・ユーン ラファエル・アゴゲほか
【あらすじ】
レシピを舌で記憶する特殊な才能を持つシェフのジャッキー(ミカエル・ユーン)は、レストランをクビになりペンキ塗りの仕事をしていた。一方、三ツ星レストランの有名シェフ、アレクサンドル(ジャン・レノ)は三ツ星存続の危機に陥っていた。そんなある日、老人ホームへ友人に会いに行ったアレクサンドルは、そこで飲んだスープが自分のレシピを再現したものだったことに驚がくする。(Yahoo!映画より)
【感想(ネタバレなし)】

『好きなもん食わせろや』
どーもどーも庶民派のラーチャえだまめです。早速ではございますが本日はコチラの作品をイーティングさせて頂きましたよ
【シェフ! ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~】……フードトラックのふくよかなおじさんではございませんコチラはドブネズミも舌を拗らせる国ラ、ラタットゥゥゥゥ〜ユウゥゥ〜発祥のフランス映画でございます、、、、ということはもうおわかりテイスティングして頂けるでしょうかルー大柴ではございません男が出会い系で知り合った女性に「今晩何が食べたい?」と聞いて一番答えられたくない、そう「フレンチ」料理人を描いたコメディ映画でございます。私の行きつけのとあるお店の店内でサイレント上映されていた作品でして(ちなみにそのお店のオムライスが絶品)いつか見たいなーなんて思っていたけどもタイトルがわからず、かと言ってお店の人に「これなんて映画ですか?」なんて聞けないコミュ症人間最後の希望

ドラえも〜ん
間違えました我らがジャン・レノさんが映っていたからタイトルを探す事が出来ました、というわけで早速見てみたんでありますが、いやーこれまた非常に「美味でございますぅ〜」な映画、だったんですねー。

「神の舌」を持つ料理人ジャッキー・ボノはその類稀なる天性の才能を持っていた。しかし自らを「神童」と豪語するジャッキーの「全てはお客様に最高の料理を振る舞う」座右の銘が災いし客に食べ方のレクチャーやらウンチク話やらとにかく「味にめちゃくちゃうるさい」客から言わせれば「んなことどーでもいいからはよ食いたいもん食わせろや」と箸を投げるビショーに面倒くさいシェフでもあった。それが仇になり次から次へと店をクビになる日々。婚約を控える愛するフィアンセのお腹の中に宿るベイビーのためにもここは早く職に就かなければ、とジャッキーは泣く泣く料理人の道を諦めひとまず老人ホームのペンキ塗りで生計を立てる事に……
一方その頃フランスで15年連続「三つ星」をキープし続けている一流レストランのシェフでフレンチ界のドン、アレクサンドル・ラガルドもまた前オーナーの息子から伝統料理に固執する姿勢を「古臭い」とバッサリ。「次の春の新メニューで審査員から星が落とされれば即刻クビ」宣告を受ける事態に……
そんなある日前オーナーのいる老人ホームに会いに行ったラガルドは、そこで老人たちが口を揃えて「美味い」と絶賛する食堂の料理を口にして………

味にうるさいジャッキー、それはラガルドの前でも同様で「奥さんと離婚してから味が変わった」まで言い当ててしまうジャッキーとラガルドの軽妙な掛け合いがサイコーなんでございまして、それでもジャッキーの“絶対味覚”を認めざるを得ないラガルドをも騙されるジャッキーの作るあまりに“神がかった”料理にお忍び審査員も思わず

例え下手かよ
しかし春の新メニューで審査員をぎゃふんと言わせなければラガルドのクビが飛んでしまいます、しかも相手はラガルドの得意とする「伝統料理」が嫌いな審査員と来た。さあどうする?カギを握るのは今流行の(?)「分子料理」なる新次元の料理だった……??起死回生をかけライバル店のお店を覗こうと思ってたらぁ〜♬身バレするので変装しましたぁ〜♬

チックショオオオオオオオオオオオオ!!!!
そんな仏国のコウメ太夫より「アリガト。」の発音が上手なちょんまげ頭のジャンレノは全日本人歓喜案件だと思うのですが?
「天才」×「天才」が一発逆転をかけた新メニューで奇跡を起こせるか?……という一見ありがちなプロットと思いきや、実は料理自体は“そこまで出てこない。”アレ?と今一瞬思った方もいるやもしれません、私個人的には本作は実は「料理映画ではない」のではないか、私が二人の主人公ジャッキーとラガルドを見て思ったのは、“「仕事」と「家庭」の双方の付き合い方を描いているヒューマンドラマ”なんじゃないか”そう思えたんですねー。

ジャッキーにとってまさにラガルドの店への「転職」が「天職」だったわけで、例え注文の多い激務なお店だろうと、憧れの三ツ星の名店で客に料理を振る舞うことに「生き甲斐」を感じるジャッキー。しかし同時に夫婦との私生活が「犠牲」になっていく。そんなジャッキーの数十年後の姿がまさにラガルドで、これまで仕事が忙しく家族サービスも出来ずにいたラガルドが、自分の「後継者」を見つけ、それまで「仕事一筋」だった己の人生を再び見つめ直していく、、、、本作で描かれるのは、そんな料理人だけの話ではない、「働く人」全てに共通している物語だと思うのです。
そしてもう一つ本作が描いているのは、そんな「天職」に追われるジャッキー、「天職」よりプライベートを優先するラガルド、その「どちらも素晴らしい選択」なのだ、ということなんですよね。ちょっとそれじゃあ答えになってないじゃないかとも見れますが、何故なら二人とも「輝いて」見えるから……それは最後まで見ればおわかりいただけるかと思います。「お前はクビだー!!」と言われた“10秒後に職場復帰”する等、かなり展開がスピーディーな所は好みが分かれそうですが、これと言った毒々しいものもなく、最後まで温かいコメディ映画として楽しめる“一品”、よろしければぜひご賞味してみてはいかがでしょう?
あのお店やってるかなー、コロナがもう少し収まったらまた食べに行かないとなぁー。「食」は人を幸せにする最たるものの一つ、今こそ、その“幸せ”のお返しに行かなければ…。




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