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シンクロニック(2019)


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【原題】Synchronic

【監督】ジャスティン・ベンソン アーロン・ムーアヘッド

【出演】ジェイミー・ドーナン アンソニー・マッキー アリー・ヨアニデスほか

【あらすじ】

ニューオーリンズ。親友同士でもある救急隊員のスティーブ(アンソニー・マッキー)とデニス(ジェイミー・ドーナン)が急行した事故現場で、シンクロニックと呼ばれる違法ドラッグが発見される。そのドラッグがもたらす幻覚作用が事故の原因になったと判断された後、デニスの長女が失踪する事件が起きる。彼女の失踪とシンクロニックが関係していることに気づいたスティーブは、手掛かりをつかむためにドラッグを服用。7分間だけ別の時代にタイムトラベルする効用があることを知る。(Yahoo!映画より)


【感想(ネタバレなし)】
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『男臭い「バタフライエフェクト」って何?』






どーもどーもエフェクトかけても写真写りが抜群に悪いラーチャえだまめです。いやー私神奈川県民なんですけどねー、もうホントにイヤになっちゃいますよねー。夏休み?お盆休み?これじゃあちょっと都内の劇場に足を運ぶのは断念せざるを得ないとしか……当分は自宅でストリーミング再生の籠城の構えか出かけたとしても地元のあんまり人気のない劇場で時間日にちズラして行くか……そんな中我らがゲオさんが先週100円デーを開催してしまったので早速何本か借りてきてしまいました。今日はその中の1本。いやーこれも今年の「未体験ゾーン」で大変見に行きたかったけどコロナで見に行くのやめたんですよね。今回ようやくこの目に焼き付けることが出来ました



【シンクロニック】___。これまた聞き慣れたような、いないようなタイトルが飛び込んで参りました監督はジャスティン・ベンソンとアーロン・ムーアヘッド……あれでしょ、なんかすんげぇー睡魔と戦わされた記憶しかない封印されし「アルカディア」のお二人ですよね?主役2人を雇う金もないから監督自ら主演をはった(出たがりなだけ?)低予算ながら“タイムループ”ものとしてはなかなかに脚本が良く練られていて(さっき睡魔と戦ってたって言うたやん)なんとも独特な空気感、いや世界観のある映画だったなー。なんだか新手の宗教から何かしらを勧誘受けたような衝撃作だった記憶があります。


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あとは「モンスター 変身する美女」……彼女が2000歳のタコさんウインナーのバケモンの成れの果てとか聞いて付き合う男なんているんですか?SFやホラーを独自の切り口で表現してきたお二人の最新作、となれば“物好き”には堪らないかもしれない??しかも今回は主演にハリウッドなスターの顔ぶれとなれば尚の事?



世界鳥人間コンテスト暫定チャンプのアンソニー・マッキー×「フィフティシェイズ〜」完結後は……最近どーなん?なジェイミー・ドーナンの2人が?過去ニコラスケイジも辛すぎてイカれちゃった救急隊員に扮して?近頃増え始めた変死体や怪事件の謎に巻き込まれていくという……これまたジャンルでいう「SF」のタグがついていながら、どこかキミョーな世界観が拝めるであろう「シンクロニック」



















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男臭い「バタフライエフェクト」って何?







お薬飲んで“ソーシャルディスタンス”式GOTOタイムトラベルが流行りそうな件





救急隊員のデニスとスティーヴはある日現場で奇妙な死体を発見する。血を流して床に倒れ込んだ男。すぐ隣で昏睡状態で倒れていた女による犯行なのか。その女から2人は“ドラッグ”をやっていたことが判明。ヤク中のすることなんざ理解出来ねえ。これにて事件は解決?男の倒れていた床の近くに転がっていた古そうなコイン。そして部屋の壁には男を殺害したこれまた骨董品並に古い凶器が刺さっていた。



その後もデニスとスティーヴは行く先々の現場でドラッグの入った破れないコンドームの袋みたいな黒い袋を発見する。その袋には“シンクロニック”と書かれていた。そしてまた次の現場にも同じものが。しかし今度はいつもと状況が違った。デニスの18歳の長女がその現場で“シンクロニック”を服用しその後姿をくらましていたのだ……。


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OPからもう奇妙×奇妙。摩訶不思議なるほどザワールドフルスロットル??前作「アルカディア」同様“不安を駆り立てる”バックBGMでもう世界観はバッチリなんですよ。なんだか見ていて無意識に不安な気分になってくるというか……んこれは一種の麻薬か?



と思ったら今回のキーアイテムはタイトルにもなっているそうドラッグなんであります。解熱剤みたいな小さな錠剤を一口飲み込んだ人間がたちまち不思議の国のアリスの世界にトリップですか?あーこれはぶっ飛びましたね



















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いやぶっ飛びすぎだろ








スピルバーグの冷蔵庫型タイムマシンすら凌駕する「ドラッグでタイムトラベル」そ、ソンゲバソナ!?これまたドアTOドアより動かない交通機関を使わないで旅時間旅行とはこのご時世にピッタリすぎるホントに過去の世界に身体ごとぶっ飛んじまうんですかー?どうやら人間の脳にあるメラトニンを分泌する“松果体”と呼ばれる器官がドラッグにより覚醒、時空を超越した時間旅行を可能にするという……!?ありえねー話にしか聞こえませんがあーそういえば「フロム・ビヨンド」でも異次元の扉開いてましたね。SF作品では松果体をしばしば「第六感」のコアだと言うものもあり……



ちなみにタイムトラベル1回につき1錠。行きと帰りで1錠ずつ飲んでくださいねーそして行けるのは過去だけでございます。場所と時間はタイムトラベルする瞬間の「立ち位置」で完全固定……つまり同じ過去に行きたければ毎回同じ場所でタイムトラベルすればいいとのことですが……


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原料はカリフォルニアだけに生えてる草とか草。製造元もなんか素人が作ったような「世界的大発見!」のハズなのになんでしょう……すごく胡散臭い。が、それこそが“日常に潜む都市伝説”的な胡散臭さと同時に“リアリティ”もまたあると言うか、日常の延長上にある“未知の世界”の存在をうまく表現しているというか……。ただ不気味なビジュアルとは反対にストーリー自体は、むしろ単純明快と言うかそこまで難解ではないので身構えて観る必要はございません。



タイムトラベルの表現もまた変わってましてですねー。音も立てずにフワッと……フワッとタイムトラベル!?乗り物や道具も使わず生身の体だけでタイムトラベルならこうなるのかも……せいぜい電磁波ですっぽんぽんのダダンダンダダンな状態で転送する必要はないと





友情は時空を超える??&タイムトラベルもので「過去に行って未来を変える」ではない





このドラックでタイムトラベルができるのは「若者」のみ。成人以上だと松果体が老化してタイムトラベル出来なくなるらしい。しかしアンソニー演じるスティーヴは違いました。彼は脳腫瘍を患い偶然にもその影響で10代のキッズ並みの若い脳を持っていたのです!!いいえ言い方を変えれば




















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アタマがお子ちゃまなんだと








そりゃ確かに鳥って脳みそ小さいっていうけ……これには流石のアベンジャーズメンバーでもカッチーン苛立ちを隠しきれません。しかし長年仕事で組んできたパートナーであり親友でもあるデニスの娘がそのドラックで行方不明……消えた場所が特定できれば彼女が飛ばされた過去に自分も行くことが可能…?そこでスティーヴは考えるわけですよ「ドラックを使って親友の娘を過去から救い出そう」と……スティーヴいやアンソニーさん、ここでもやはりヒーローとして困り人を放ってはおけない性格が露見してしまってます。このスティーヴっちゅう男がなかなかいいヤツ過ぎて自分は寂しい独り身なのに親友の娘を救うために自ら危険なドラックを使いタイムトラベルに身を投じる……この映画は究極の友情物語でもあるんですよねぇー。恋人を救うため何度もタイムトラベルする名作「バタフライエフェクト」の友情バージョンとも言うべきか?でもどうしてそこまでしようとするのか。彼をそこまで突き動かす動力とは?



救急隊員やってるくらいだから元々正義感が強い精進なのはわかるのですが、マイライフに関していえば今更結婚して子供作って温かい家庭を築こうとか、スティーヴはもう考えていないわけなのです。自分とは反対に温かい家庭を築いているデニスをちょっと羨みつつ、自分の代わりに家庭を築いた彼を見て、まるで自分のことのように微笑ましく思いそしてそれで満足している、そんな風に見えるのです。


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そして突然医者から告げられた“余命”の2文字。そこでスティーヴははじめて「時間は有限である」という意味を改めて痛感します。デニスとは違い自分はこれまで何を成し遂げた?ビューティフルなライフになるよう努めてきただろうか?人に自慢できる人生を送ってきただろうか……いざ時間の終わりが見えてくると途端にこれまでの人生を振り返り虚しくなる。そしてこのまま何もせずに一人野垂れ死ぬくらいなら?とドラックに手が伸びる。死を覚悟した人間にもう怖いものなどありません。デニスの長女を救うことで自分の人生で立派なことを成し遂げた、という成果が欲しかったんじゃないかな。己の人生に対しての罪滅ぼし的な意味もあったのかもしれません。



「人ははじめから死ぬ場所が決まっている」というセリフが出てきました。ちょっと一瞬江原さんの顔が浮かんだかもしれませんが、ただそんなスピリチュアル的な意味ではなくて、そう考えるとちょっとだけ諦め、というか返って気持ちが楽になるのは?もうどうにもならない死の運命に逆らうことの無意味さ、そんな意味もあるのではないでしょうか。タイムトラベルものでよくある「過去を変えて未来の運命を変える」的な要素が本作には全くもってないんですよね。これってちょっと珍しくないですか?だからこの映画ではひょっとしたら“未来を変える”というズルはご法度、あるいは無意味だと認識しているのかも。それよりも「死を回避する選択肢はないけど、死し場所を決める選択肢はある」というメッセージが込められているように思えました。そう考えると運命とは、変えられない部分と変えられる部分の双方を持つ、だから人生は自分が選べる範囲で勝負していこうよ、という?ちょっと深堀りし過ぎか。



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