テスラ エジソンが恐れた天才(2020)
- ラーチャえだまめ

- 2021年4月4日
- 読了時間: 8分

【原題】Tesla
【監督】マイケル・アルメレイダ
【出演】イーサン・ホーク カイル・マクラクラン イヴ・ヒューソンほか
【あらすじ】
1884年にアメリカに渡り、憧れていた発明家トーマス・エジソン(カイル・マクラクラン)のもとで働くニコラ・テスラ(イーサン・ホーク)。しかし、交流電流を支持していた彼は、直流電流の方が優れているとするエジソンと対立して決別する。独立した彼は実業家ウェスティングハウスと手を結び、シカゴ万国博覧会で交流電流の優位性を証明して電流をめぐるエジソンとの戦いに勝利。やがて大財閥J・P・モルガンの娘と接するようになり、モルガンの資金を得て無線の実現にチャレンジする。(Yahoo!映画より)
【感想】

『滝川クリステルでーす。(嘘です)』
どーもどーもケインコスギと中山きんにくんは不老不死だと思いますラーチャえだまめです。早速ですが本日はこんな映画を拝見させて頂きました
【テスラ エジソンが恐れた天才】!!!……ステラおばさんじゃねえよ!!テスラおじさんだよ!!テスラですよテ・ス・ラ!!!!え、あ、知らない…?いやいやあのテスラですよ!?嫌だなぁ〜もう〜!私?知ってますよ知ってますよー、アレでしょ、昔クラスでにこるんって呼ばれてt

ニコラ・テスラ。あの世界的発明家エジソンの最強のライバルとして?そしてエジソンに“完全勝利”したとも言われる“孤高の天才”。いやーファッションモデルの方じゃなかったんですねー、1856年にオーストリア(現クロアチア共和国)で産声上げたこの天才は移民としてアメリカ・ニューヨークに渡りそこで後の好敵手となるトーマス・エジソンの下っ端として働くも“創造上の相違”によりわずか半年で離職。その後は実業家ウェスティングハウスと手を組み“交流電力”開発にチカラを注いだ____
でんじろう先生の凶器としても有名な「テスラ・コイル」の“テスラ”とはまさに彼のこと。ほかにもモーター、ラジコン、発電機に変圧器……ありとあらゆる今では当たり前のように存在する数々の“発明”のウラにはいつだってこの男の存在がチラリズム……だとぉ!?彼がこの世に存在していなければこの世界は大いに変わっていたかもしれない!?あの世界のスマホおじさんことジョブスほか多くの天才からも崇拝されていたという……去年電気技師の資格とった吾輩としてはよくも二相交流モーターとかいうめんどくせぇー問題作ってくれたn……何百年先のパイセンなんだよってくらい雲の上の存在なのですが

知ってました?
ちなみには私は“今”調べました。ええ今はじめてペディアで調べてやろうと思いましたよ!(さっきパイセンって言ってたじゃん)名前だけは知ってるんだけどね……そんなエジソンより何故か知名度が低い?本作は何故だか歴史のウラで不遇なキャラ扱いされているかもしれないテスラを映画の主演としてお迎えし彼の知られざる生態系を紐解いていこうじゃないか!!……という企画、あいや映画なんでありますが、“変人”としても有名だった?テスラのその変人っぷりに作品そのものがまるで侵食されてしまったかのように偉人映画だってのにこれまた変なおじさんならぬ“変な映画”になっているんですね……。
■THE歴史ミステリー〜ニコラ・テスラの場合??
冒頭からもうN◯Kスペシャルが始まってしまいました、まだ電気もない真っ暗な部屋でテスラがエジソンと会密談するいかにも19世紀っぽい世界で物語がスタートしたかと思ったら当時テスラに協力していた財閥J・P・モルガンの娘アンが滝川クリステルデェ〜す。ばりの首の角度で“語り手”として突如“スタジオ”に降臨?ノートパソコンを開き「テスラはエジソンに比べてネット検索してもあんまり情報出てこないんですよね」って皮肉交じりに我々に語りかけてくるではないか…?なんとも摩訶不思議なバカルーバンザイもバンザイしたくなる時空の歪みどころの騒ぎではないしかもこのあとエジソンと“アイスクリームの乱”が待っているとか一体誰得、あいや当時アイスクリームあったんコーンの部分とかあったん??てかこんな逸話聞いたことn………当然そんな事実は微塵もないわけです。本作はそんなじっくり腰を据えて観る“偉人伝”とは少しテイストの異なる、残された数々の文献から「テスラとは一体どんな人間だったのか」を想像を働かせながら「たぶんこうだっただろう」でもってその時彼の手にもしアイスクリームがあったなら(ちなみにエジソンが懐からスマホをサッと取り出したらそれはきっとAndroidじゃなくiPhoneであってほしい)といった具合にテスラという人間を時に現代に置き換えて描いている、なかなか独特な手法で作られた映画なんですねー。

でこの手法がただ斬新で面白いというだけでは終わらない、冒頭でもお伝えしたように某歴史番組のような“解説付き”なので本作を観るにあたっての、テスラという人物についての事前知識が全く必要ないんです。これは歴史初心者にはかなりポイント高いんじゃないですか〜?何も知らないけどちょっと観てみたいな、という軽いノリでテスラという人物に触れることが出来ちゃうというわけ。まぁフィクションが混ざっているので必ずにも“正しく学ぶ”という意味では本作は不向きかもしれませんが、あくまで気軽にそして面白く知れるという意味で言えば、本作はなかなか見やすい映画なのではないでしょうか。
テスラを演じるのはこれまで数々の映画にご出演しているご存知イーサン・ホーク。なんだかしかめっ面で黙っているシーンが多い。てか口数少なッ!アナタ主役でしょう!?“孤高の天才”と評される彼は人付き合いより研究に没頭していたようだ…。儲け話にも興味ナシ。研究さえ出来ればそれでいいとか言っちゃう堅物タイプ。ゆえにエジソンの元を離れたあとしばらく極貧生活だったらしい。それとは正反対に経営者としても成功実績のあるエジソンを演じるのは「ツイン・ピークス」のカイル・マクラクマクラクマクラクラン……発作が治まりましたカイル・マクラクラン。彼は実業家としての一面もあり世間で広く顔が知れ渡っていた。ゆえに確かにネットで画像を検索すればテスラよりたくさん写真が出てくる

まぁそんなエジソンですが鉱山経営に失敗して全財産を失ったとか24時間労働というパワーワードを19世紀に既に確立していたとかオカルトにドハマりしていたとか色々ネタを持っているので物語の主役に選ばれやすい、というのも知名度が高い理由かもしれませんね。今作では徹底して“嫌なヤツ”担当のエジソン……でもこのエジソンだって“映画”を初めて作った人ですからね?テスラの恋人……じゃないの?付き人アンを演じるベッピンサンどこかで見たことあると思ったら某“スタイリッシュ・ロビンフット”映画のU2のボノの娘イヴ・ヒューソンだったんですね。テスラに好意を抱いているけれど乙女心に鈍くさい?テスラには響かず……の割に舞台女優にはアタックするえ、意外と面食いかよッ!!
■作品の面白味のなさ=テスラという人間の面白味のなさ!?

テスラがカラ鉄行くまでマジで寝落ちするかと思った
中盤から終盤にかけての非常につまら……中だるみ感がもうなかなかスゴイんですよね。演劇みたいに会話劇が主体の映画なのにとにかく口数少ない喜怒哀楽もない……主役なのに彼の心情がイマイチ見えてこない。しかも映画のテンポはずっとスローなんで段々と口からアクビが……とそっからナニをトチ狂ったのか身なり的にピーパッパパラッポッ〜♫歌うのかと思ったらイギリスの人気バンドティアーズ・フォー・フィアーズの「Everybody Wants to Rule the World」を本人的には気持ちよく歌ってんだろうけどコチラ側にはそれすら伝わってこない超低音ボイスで突然歌い始めるフワちゃん並の暴挙にもうホントに意味分かんないねえよチキショー!!!“変人テスラ”をフィクションを交えて限界まで着色したかのような、この斬新かつ大胆不敵な演出を持ってしても?中盤以降待ち受ける退屈な展開を止めることが仮に“出来なかった”としたら…?いやそんな退屈な展開すらも“それすらも演出なのではないか”とウラのウラをかくことさえしてしまう、つまりどーゆーことかと言うとテスラという孤高の天才はそれだけ人としては大変魅力に欠ける

つまんない人だった
と拡大解釈することが出来ないだろうか!?私は独特な演出、そして「エジソンを負かした天才」というウリ文句とも言える部分に惹かれ本作を観た。しかしいざ観てみると、はじめは演出面の新鮮さである程度は作品に引き込まれたが、いつまでたってもこれといった盛り上がる展開はなし、偉人の壮大な失敗は、ときにはドラマ的に描く上でプラスに作用されることもあるけど彼の場合成功者とも失敗者ともとれる、なんともこれまたビミョーな立ち位置にいるといいますか、終始地味でドヨーンとした曇り空のような暗い顔でいるテスラを見て思わず「ああ、そりゃレキシも彼をフューチャーしないわな」と彼自身の情報が少ないことに妙に納得させられてしまったというか…(あくまでイメージですが)
テスラという人間の面白みの無さ、それがそっくりそのまま作品にも現れているかのような?そんな風に思えてしまいました。この映画を見てテスラを好きになったか?と聞かれたとしたら「いや別にそれほどでも……」あまり上手く答えられる自信がない。本作の制作陣は彼をなんとか映画の主役として引き立てるべく?そしてなんとか面白い映画にしようと試行錯誤してそしてたどり着いた結果が奇抜な演出とフィクションだったのではないか??映画終盤テスラの物語の幕引きもなんともあっさりしているというか、エジソンより長生きしても最後まで妻子はおらず一人孤独に生涯を全うしたというテスラ。彼が後世に残した数々の発明こそ世界に“光”をもらしたが、彼自身は最後まで光からは程遠い影の中にうずくまっていた天才、なのかもしれません…。




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