ナイト・ハウス(2022)
- ラーチャえだまめ

- 2022年2月24日
- 読了時間: 6分

【原題】The Night House
【監督】デヴィッド・ブルックナー
【出演】レベッカ・ホール サラ・ゴールドバーグ エヴァン・ヨニグケイトほか
【あらすじ】
夫が謎の自殺を遂げ、静かな湖畔の一軒家にひとり寂しく暮らすベス。ある夜、彼女は家の中で何かの気配を感じる。それ以来、夜になると奇妙な出来事が起こるように。疑問に感じ夫の遺品を調べ始めたベスは、思いも寄らなかった夫の秘密を次々と発見していく。そして夫が自分のために設計した家にも隠された事実があることを知る。
【感想(ネタバレなし)】

『鍼灸院で刺された箇所』
どーもどーもIKEAの袋を裏返して使うラーチャえだまめです!早速ですが本日はコチラの作品を拝見させて頂きました
【ナイト・ハウス】…!!!いやーコチラも前回ご紹介した「アントラーズ」同様今の所配信のみで公開されている日本劇場未公開作品……今後はサーチライト・ピクチャーズの映画は全てディズニープラスに流れる運命なのか?アメリカでは去年劇場公開されたらしいコチラの映画、特にコレと言って話題に挙がっていないような……「ゴジラVSコング」でホームシックなコングを奮い立たせるセコンド飼育員を演じたレベッカ・ホールが主演の豚骨ベースの赤い看板ばりの“ありふれた”「家系ホラー映画」……と言ったところでしょうかー?とスルーしようとしたのですが森の中で魔女に遭遇したばりに「おっさんたちがワーキャーする・プロジェクト」ことク◯カッコいい“シシガミサマ”が自分の中でクリーンヒットしてしまったモンスターMOVIE「ザ・リチュアル」のデヴィッド・ブルックナー監督……ということで?ちょっと気になって拝見させてもらったのですが

いや復職早すぎても誰も救われないんだよな〜
だぁ〜い好きなのわぁ〜!ひぃ〜まわりのたねぇ〜!!よりも大好きだった14年連れ添った愛する夫が?ある日突然自宅の畔にある湖に浮かんだボートの中で拳銃自殺を図った。それから数日後、教師として仕事復帰することになった妻のベスは心にポッカリ穴が空き生きた心地すら感じることが出来ずにいた……そんなベスの空虚な姿をレベッカ・ホールが見事に演じております。そりゃそうなるよね、愛する人がいきなりこの世からいなくなってしまった悲しみと言ったら計り知れないでしょう。今は亡き夫の痕跡だけが残る家で二人が映ったホームビデオを食い入るように見つめるベス。彼女には同情しますよ。ただ心の傷が何一つ癒えることなく職場復帰する自分に無茶ぶりし過ぎた結果か受け持つクラスの生徒の成績をテキトーに採点し「お前らの成績なんぞ今の私には関係ない」と保護者にはっきりと目を見て断言する暴挙……こんな先生いたらアナタならどうしますか?

何度でも言う「辛いのはわかる。」だがしかし周りに当たり散らすようなベスの強気な態度に、それでも感情移入できるかそれとも冷ややかな目で見てしまうか……まぁそれほどまで夫を愛していた、の裏返しなのですが……。そんなベスにある日の晩に吉報?誰もいない家でポルターガイストらしき現象が起こります。恐怖を感じるベスですが同時に「これは死んだ夫が逢いに来たのではないか?」ともすぐ思うようになり……嗚呼、ろくろの準備しときゃよかったぁー!!!と直ぐにウーピー・ゴールドバーグにでも電話する前に死んだ夫からスマホに電話が…??「窓を見ろ…。」夫の声で確かにそう聞こえたのだ!!ベスはヒデキ感激しながら言われた通りに窓から外を覗く

いや転送されたばかりのシュワちゃんかよ
おどろおどろしいBGMは良かった。「音」でビビらすシーンが多くてネックスピーカーだとビクッとしてしまうことがしばしば……うるせーよ!!ただ「溜めて溜めて」いつ来るかわからん恐怖演出に思わず目を反らしながら見てしまいましたね〜、てことはホラー映画としては成功してるのかしら?あと“アハ体験”も出来るよ!!ベスの感情を言及すると「怖いけど逢いたくてしょうがない。」ここなんですよね〜。ただただ恐怖を植え付けようとするのではなくそこに「愛」があるというか……そこがより本作に「死の残酷さ」を強調しているというか、我々視聴者の感情に何か訴えてくるものがあるというか……

これはブルックナー監督が前作「ザ・リチュアル」で見せたやり口と似ています。自分が恐怖から逃げてマイベストフレンドの一人を見捨てた結果、友人を死なせてしまった後悔の念・罪悪感に苦しみ続ける主人公に、どうしてあの時助けてやらなかったんだよ!と画面越しにはいくらでも言えても、いざ自分だったらどうしよう、主人公を必ずしも否定出来るだろうか?そんなことを考えさせられる。今作もベスは友人には突然「狂った夫」が自殺したと主張していますが、内心では「夫が自殺した原因は自分なんじゃないか」と思っているんですよね。だから自分をめちゃくちゃ責めて精神的にボロボロ。愛していた人が自分のせいで死んだ。これほど辛く悲しいことはありません。
しかしそうして「夫の死の原因」を探っている内に、次第に明らかになるベスの知らない「夫のもう一つの顔」。生前夫を苦しめていたものとは?建築家の夫が作り上げた「家のヒミツ」などが徐々に判明していく。ただそのへんはあまり活かされていなかったというか、全体的に若干の視聴者の思考に委ねるようなオチではありましたな。ただただ恐怖を全面に押し出す映画というよりは“スピリチュアルホラー”といった所でしょうか…??
【感想(ネタバレ)】

い〜や「元カレ」のしつこさぁ〜!!!
しかもそれが人間ではなく悪魔的なダークマターな存在に好かれてしまうとは……「実は夫じゃない。」なにそのほん怖みたいなオチ!?ベスが昔交通事故で一瞬だけ三途の川を渡りかけたとサラッと上手く入れてましたねー。そう「死」に取り憑かれていたのは実は夫ではなくベスの方だった……なかなか面白い。本作は愛する人に先立たれ現世に「取り残された」人の話。オカルト要素を抜きにすれば、これは実に「誰にでも降りかかる」話なんだとわかる。そして後を追うように自分もアッチの世界に身を投げようとするベスを踏みとどめたのは、紛れもないベスの周りにいた友人知人の存在でした。思えばベスの周りにいる友人はベスをいつも気にかけていた。ベスは自分が友人たちから支えられていた事に最後の最後に気づくのです。人はみんな支え合って生きている、そんなことを感じました。いやー尊い。

そして目に「見えなかった」のは夫の姿ではなく、夫が生前残した「ベラへの愛」だということ。夫が建てた家は特殊な構造?邪悪な存在を家の中で撹乱させベスを守ろうとしたいわば“鋼の要塞”だった___。そのことをずっと夫はベスには黙っていたんですよね。いやー顔だけじゃなくて中身もイケメンかよ!!よっぽど出来た夫だったんでしょうね。ただその夫を“死”に追いやった邪悪な存在。ラスト、ボートに映る黒い影。あの影が物理法則ガン無視で襲ってくるとかじゃなくただボートの上に座っている「だけ」っていうのがまた怖い。ベスを苦しめた超常現象もベスの精神世界の中だけで起こったことだし、あくまで力ずくで引っ張り出すんじゃなくて、ベス自身の意志でアッチの世界に逝きたい、と思わせるやり口が実に悪魔的と言うか……(あくま、だけにねッ!)邪悪な存在は常にどこにでもいて我々の様子をウィッチャーしている??そんな「怖さ」も本作には確かに存在している、と感じましたねー。




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