ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019)
- ラーチャえだまめ

- 2020年2月9日
- 読了時間: 5分
更新日:2020年3月11日

【原題】Knives Out
【監督】ライアン・ジョンソン
【出演】ダニエル・クレイグ クリス・エヴァンス アナ・デ・アルマスほか
【あらすじ】
85歳の誕生日を迎えた世界的ミステリー作家のハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)が、その翌日に遺体で見つかる。名探偵のブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)は、匿名の依頼を受けて刑事と一緒に屋敷に出向く。ブランは殺人ではないかと考え、騒然とする家族を尻目に捜査を始める。(Yahoo!映画より)
【感想(ネタバレなし)】

『三谷幸喜映画かと思ったら古畑任三郎だった件』
どーもどーもラーチャえだまめです。今日はコチラの映画を拝見させて頂いたのですが、「もしもアメリカを背負って立つ国民的ヒーローがボンボン生まれで働きもせず高級車をブイブイいわせるク◯生意気な孫だったら?」というIF展開さえ気になってしまう、ちなみに彼の答えは

はいありがとうございました
超豪華キャスト総出演でお贈りする“本格派”ミステリー【ナイブズ・アウト】。いやー私お久しぶりブリーフに“リメイク”でも“原作”でもない“オリジナル脚本「が」面白い”ミステリー映画に出会ってしまいました、推理映画で言えば近年のネタ切れ大国ハリウッドとしてはこれはかなり“貴重”な作品なのではないでしょうか??大富豪小説家ハーラン・スロンビーの突然の“死”____ナイフで首を切って絶命した当初は“自殺”だと思われていたのだが“彼の死で得をするのは誰か?”の一人の名探偵の推理によって徐々に浮かび上がる“残されたスロンビー一族の疑惑”と“身内による殺人事件”の臭い。鍵を握るのは“ウソをつくと嘔吐する”ハーラン専属の若い看護師だった……。

監督は遠い遠い遥か彼方の銀河系を賛否両論の渦に叩き落とすことに成功したライアン・ジョンソン監督。必ずしも監督一人の責任ではないとしてもSNSでファンの批判を半分認めたJJエイブラムスとは打って変わり食って掛かって対抗したジョンソン監督に対して器が小さいと感じた人もいるかもしれませんが実際は器が小さいどころかその器の中でとんでもクライシスなミステリーを爆誕させていた……と考えると、これは彼自ら執筆した卓越された“脚本の妙”、彼の映画制作の“構成の上手さ”の才能を認めざるをえない、まさに本作は彼の

THE汚名返上映画
として彼の評価が180度好転するかもしれない10年前から構想があったとはいえ「エピソード8」公開後めちゃくちゃ早いスパンで公開されたのを踏まえてもジョンソン監督が「ワイの実力はあんなもんやないで。」と我々視聴者に見せつけたかった、と捉えてもなんら不思議ではない、という“話題性”だけが目立つ作品でもない“21世紀版アガサクリスティー”をイメージして作られたとされる老若男女たくさんの登場人物たちが集いその“全員が怪しい”という、さらに事件の真相に近づくにつれ“一族の内輪もめ”の真相が明かされる金田一先生も骨が折れるまぁ“王道”といえば王道の良くも悪くも“古典的”なミステリー映画なんですねー。

ゲティ家ならぬスロンビー家という華麗なる一族を束ねるに相応しいクリストファー・プラマーを筆頭に、最近スクリーム女王から“ホラー界のサラコナー”へと進化したジェイミー・リー・カーチェスの長女とその夫のドン・ジョンソンの間の息子がキャップことクリス・エヴァンスだけでももう豪華過ぎるというのに、死んだ長男の未亡人にその年の忘年会ネタに流行ったかどうかは定かではない「ヘレディタリー」で強烈な顔芸を披露したトニ・コレット、その娘が「エンドゲーム」でスタークの娘を演じたけど全カットされてしまったキャサリン・ラングフォードで次男坊は「シェイプ・オブ・ウォーター」等の強面俳優マイケル・シャノン、その息子は「イット」でマカヴォイに進化する前のジェイデン・マーテル

でもって事件を捜査する今日はL座りは披露しないんですかキース・スタンフィールドに代わりスパイから“名探偵”に転職したダニエル・クレイグが勝手に“ワトソン”役に命名したのはゲロを吐きまくるアナ・デ・アルマス……さらに「ルーパー」繋がりでジョセフ・ゴードン=レヴィットもどこかにカメオ出演しているなんて言い出したらもうキリがない、料理の鉄人も料理しきれない豪華絢爛なキャスト陣による“喜劇ミステリー”。特に「エンドゲーム」を最後にヒーロー業を引退したクリス・エヴァンスや同じくもうすぐスパイ業を引退するダニエル・クレイグの長年に渡り愛され続けたキャラクターについて回る“固定イメージへの脱却”に一役買っているかは定かではありませんがアベンジャーズも失望するとりあえず口と態度が悪すぎるクリス・エヴァンス(笑)はいいとしてクール&ダンディズムは損なわずボンドのようなイメージを払拭させるわけではなく、かと言って似すぎることもないこの非常に際どいラインを見事完走している“名探偵ブノア・ブラン”役のクレイグはだいぶ演じるのが大変だったのではないでしょうか??
ぶっちゃけこの顔合わせだけでも充分見る価値がある、、まさに日本なら三谷幸喜の映画か何かと勘違いしてしまいそうな作品だと思って観てみたらものの見事に

古畑任三郎だった
といういやどっちも三谷作品だよ!!わりと中盤で「タネ明かし」がなされ、でも絶対そのままってことはないだろう〜、とブノアと一緒に推理する面白さ、ラストはまさに“ドーナツの穴は穴である、ということに気付かない”物語の穴をついたオチで楽しませて頂きました。しかも良かったのが「実は宇宙人でした」みたいな反則ギリギリの無理やりなオチではなくちゃんと物語を紐解いていけば答えにたどり着けるような、無理のないオチだった所ですかね。それ故先に言った“王道”という物語が良く言えば“古典的”、悪く言えば“古臭い”しかし近年の“衝撃的な〜”謳い文句の奇抜さばかりが目立つオチよりこの方が遥かに“ミステリー小説読んでるみたい”な面白さが味わる1本だと思いました。
本国アメリカでもヒットを飛ばし早くも“パート2”の構想が進んでいるもしかすればケネス・ブラナーに対抗しうる「名探偵ブノア」シリーズとして花開く日が訪れるかも??




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