ビースト(2022)
- ラーチャえだまめ

- 2022年9月15日
- 読了時間: 6分

【原題】Beast
【監督】バルタザール・コルマウクル
【出演】 イドリス・エルバ イヤナ・ハーレイ イヤナ・ハーレイほか
【あらすじ】
妻を亡くして間もない医師のネイト・ダニエルズは、ふたりの娘たちを連れ、妻と出会った思い出の地である南アフリカへ長期旅行へ出かける。現地で狩猟禁止保護区を管理する旧友の生物学者マーティンと再会し、広大なサバンナに出かけたネイトたちだったが、そこには密猟者の魔の手から生き延び、人間に憎悪を抱くようになった凶暴なライオンが潜んでいた。ライオンに遭遇したネイトは、愛する娘たちを守るために牙をむく野獣に立ち向かっていく。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『……ネーゼ。』
どーもどーも先日薬剤師の母に咳止めの薬を貰ったのですが「お酒飲んだら駄目?」と聞いたら「麻薬だから駄目」と言われました、麻薬とは……?そんな眠りの小五郎よろしく麻酔で眠らせたいほど「獰猛」な生命体とすでに名の知れた売れっ子スターを無謀にも戦わせる……ハリウッドで遊びでも流行ってるんですか?過去ジェイソン・ステイサム兄が「元水泳選手」という理由だけで巨大サメと闘わされた(ちなみに映画は大ヒットし現在続編製作中)そんな巨大サメ映画はワーナーですが“元祖サメ映画”と言えばアサイラ……「ジョーズ」を産んだユニバーサルが今度は“陸のジョーズ”映画を爆誕させてしまった
【ビースト】!!!パァーニャカウダァー!!!タマヒィー!!!チワワ〜!!エンヤァ〜らこらぁ……サバンナの大地に君臨する「百獣の王」ヌコ科最強の野獣ライオンキング……に挑むはBeautyならぬ“オッサン”and the Beast……?命知らずの某スーサイドなヴィラン集団のリーダー

ライオンvsイドリス・エルバ
武井壮が喉から手が出るレベルのデスマッチじゃないですか?これを見れば対ライオン戦はバッチリ予習できてしまうかもしれな……しかし先日次期ボンド候補を改めて否定したイドリス・エルバも「スーパーコンボ」で人並外れた怪力を披露し対戦相手としては既に強さはばっちり証明済み……だからって別に彼じゃなくても、どうせVFXで作ったライオン相手にほかに動ける若手俳優いくらでもいるんじゃ……否!?ただワーキャー叫ぶだけのアトラクションMOVIEだけではない??愛する娘達を陸の「ディアブロ(悪魔)」から守るため気合いだぁぁぁー!!!してしまうアニマル父ちゃんの涙チョチョギレ必須の人間ドラマも描かれているのでは……?なんて思っていたらですよ

泣きたいのはオラの方だわ…
可哀想なライオンちゃんだこと!?全く人間ってヤツはよおおおおおおおおー!!!と映画開始5秒でホラあなたももう「ニンゲン、キライ。」なること必須!?密猟者達が牙や毛皮で荒稼ぎするためにライオンの群れを虐殺、生き残った一頭のライオンがブチギレて人間達に復讐するジョンウィックも納得のそもそも「アニマルリベンジもの」なのです。

ところ変わって2人の年ごろの娘たちとお久しぶりブリーフなバカンスを楽しむイドリス・エルバ演じるドクター・ネイト。亡き妻の故郷、南アフリカのサバンナへ3人はやって来ます。そこへエビ……既にパ◯映画のタイトル「第10地区」が待ち遠しいシャールト・コプリーの友人がガイドマンとなり……なんで彼がって?そりゃ南アフリカ出身だからに決まってるじゃないですか!!サバンナなんて彼にとっちゃ庭ですよ庭…!!とご一行は今何かと話題のTOYOTA車に乗って野生生物のオアシス自然保護区の奥地へと入って行くのですが……そこから事態は急展開し楽しいはずのサファリツアーが地獄のデスツアーへと変貌してしまう…!?
■アニマルパニック×「長回し」=大正解

いや長回し?デ・パルマカットと言うよりキュアロンカット(「擬似」長回しって意味で)これが迫り来るライオンとの死闘に一役、いや二役買ってるわけなんですよー。画面外から響くライオンの鳴き声……姿が見えない草むらへキャメラパン、からのそこからジリジリ出るか出ないかの?これはもはや我々vs観客との攻防戦とも言える……ここまでをずっと長回しで見せるんだもの。そりゃ臨場感、いや緊迫感はシャレにならんQ……。ほかにもネイトの正面を映しながら彼が前方から迫り来るライオンを目視し恐怖の顔に切り替わったと同時に体をUターンさせて「早く逃げろー!!」と叫びながら一目散に車へと逃げる。逃げる彼の背中をずっとキャメラは追う。ここまで正面から追いかけてくるライオンの姿はなし。そして車に逃げ込み彼の後ろから、そこでようやく想像していたよりも「ずっと早く」迫って来ていたことがわかる……これは映画館で観るとまた迫力が全然違いますよきっと。
■実写版「ライオンキング」並によく出来たCGライオンVS一般人に徹するイドリス・エルバ
ライオンは全てCG。ええーそれじゃ全ッ然リアルじゃないじゃーん!私もはじめはそう思っていたのですが、CGの出来が良い。下手なCGっぽい動きもないというか、リアルにいる生き物をCGで生み出すと当然実物と比べてしまい結局どこか浮いて見えてしまう、なんてこともありますが今作は意外とCG慣れた層でもあまり違和感ないかもしれません(断言はしませんが)それだけキャストとの絡みも自然で、逆に目の前に何もいない中、白熱の演技をするキャスト陣がまた優秀ということなのですが。

立派な上腕二頭筋から娘たちに「チキンナゲット」と呼ばれるイドリス・エルバ。今作では戦闘能力ゼロの医者役ゆえ銃の扱いにも不慣れで下手にヒーローにならない、それが逆に良かったですね。もともと渋い刑事役とかアクション畑の俳優ではないイドリスだからこその自然な演技が今作も光っております。
あとは画面から思わず額からツゥーっとこっちまで汗が垂れてきてしまいそうな「暑さ」?イドリスの顔が汗びっしょりになる「リアルな環境」を作り出している点ですかね。監督はアイルランド出身のバルタサール・コルマウクル。過去のフィルモグラフィーを見て「エベレスト」の監督と知ってちょっと納得。どちらもスーパーパワーを持たない人間が「過酷な環境」に置かれる話だし、環境へのこだわりが強い監督だからこそ、とも言えるかもしれません。
■余計なストーリーは入れない。ただ…
余計なことは考えず、とにかく画面に全集中できるように?ストーリーは実に単調。ですがそれがまた良い。パニック映画ですよ?気持ちのズレた父と娘たちの家族愛もすぐに構築されますし……ただこの手のパニックもので足手まとい役に選ばれがちな

娘(子ども)がめちゃくちゃ優秀
ファインプレイ連発で(ひとつ余計なこともしたけど)イライラがない。だいたい一人くらい余計なことするトラブルメイカーって出てくるじゃないですか?ただ「ご都合主義」感は当然ございます。だって普通銃の扱いすら慣れてない戦闘経験ゼロの一般人相手なら5秒くらいバシィ!!!って殴られて一発KOでしょう?…そこは主人公補正かかりまくりではある。
「真の化物はライオンではなく密猟者」これがわかっただけでも……ここもただのアニマルパニックとは違う要素かなーと。
【感想(ネタバレ)】
でもラストに助けに来るのがまさかの別の群れのライオンだとは……そのライオンはいわば半分人間に飼い慣らされてるっぽいし。人間を恨むライオンが、人間に慣れたライオンに奇襲されるなんてなんだか皮肉だなー。最後娘の口からサラッと射殺されたって話だけで終わるのも、あまりにあのライオンが可哀想。まぁ、人間と言っても善悪一括りにできませんよ〜ってこと?確かに動物保護を訴え仲間想いのシャールト・コプリーだって、反密猟者集団の一味で彼らを殺害していた?過激派と変わらぬ裏の顔を持っていたわけですし……

結局のところ「どの立場になって観るか」で感想が変わるような、そんな映画かもしれません。ちなみに私はライオンの視点で見ましたですハイ。




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