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ロッジ 白い惨劇(2020)


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【原題】The Lodge

【監督】ヴェロニカ・フランツ セヴリン・フィアラ

【出演】ライリー・キーオ ジェイデン・マーテル リア・マクヒューほか

【あらすじ】

シングルファザーのリチャードは休暇を楽しむため、子ども2人と恋人グレイスを連れて雪山のロッジにやって来る。しかしリチャードに急な仕事が入り、グレイスに子守を任せて帰ることに。グレイスと子どもたちの間に気まずい空気が流れる中、ロッジ内で奇妙な出来事が次々と起こり始める。







【感想(ネタバレなし)】
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『結論:“顔合わせ”は大事』







どーもどーもラーチャえだまめでございます。いやぁーなんだか最近いっそう肌寒い季節になって参りました、そんな時はせめて心だけでもポカポカにしたい所ではございますが私はそんな甘っちょろいことは一切致しません今日はむしろ心だけでもキンキンに凍りつかせる映画を拝見させて頂きましたその名も



【ロッジ -白い惨劇-】……!!!いやーこれは知りませんでした去年7月に、、、、これはデジタル配信のみですか?アメリカでは劇場公開されたコチラのホラー映画























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なぜもっと早く観なかったのか








イヤイヤイヤ……ちょっとこれ配信だけじゃあ見逃しちゃうよぉ〜!!【ロッジ -白い惨劇-】!!!タイトルだけでも覚えて帰ってほしい全然ノーマークな作品だったのですがもう一部の層からは(どの層?)“「へレディタリー」に次ぐ「大問題作」”として話題になっているという!?え、ええええええ最初から最後まで救われないあのこの世の憎悪を全てブチ込んだ闇鍋みたいな「へレディタリー」に匹敵する??さてさて一体どんな映画なのでしょう……!?まぁ既に鑑賞済みなので一言言わせてゴンザレス本作は“一寸先はネタバレ”に繋がる要素がヒジョーに多く、正直言って私もあまり口に出せたもんじゃないという……それを踏まえた上で今日は一人でも多くの方にご興味を持って頂けるよう、お恥ずかしながら口を滑らせて頂きますと本作は
























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「後味最悪」という名の最高の褒め言葉










が見事に成立してしまっているという!?確かにアリ・アスター監督作品ならびに「ミスト」のような“救われない系”がおスキな方なら?まず刺さると言っても過言ではない、映画だったんですよぉ……。











あら〜OPから「へレディタリー」を彷彿とさせるミニチュアハウスが出て参りました。やっぱり意識しているのでしょうか〜?後にシルバニアファミリーも絶句する“恐怖アイテム”になりそうな予感アリストテレスでしかないそのミニチュアハウスの中を覗く一人の女。どうやら兄妹2人のキッズたちと生活しているご様子で……夫とは別居中ですか?その夫の住む家に子どもたちを連れてやってきた女はそこで夫と何やら会話をしています



「……今度再婚するんだ。」夫の口から飛び出した衝撃の一言。女はパニックになりその場を出ていきました。そして自宅に戻ると一人おもむろにリビングでワインなんて開けちゃって……そうそうお酒のチカラでとりあえずここは精神を落ち着かs


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バキューン!!拳銃を咥え引き金を引いた女はなななんと帰らぬ人となってしまったのです……。いやーいきなりですからねービックリしました、開始数分でコレかよ…。その6ヶ月後、“再婚相手”とホリデーシーズンに雪山にそびえる“ロッジ”でみんなで仲良く“NEWファミリー”爆誕を祝ってひとつ屋根の下で過ごそうじゃねえかとヴィン・ディーゼルばりの提案をする父親ですが……。母親が自殺した原因はその再婚相手の女だ!!と猛反対する子どもたち。しかし父親はもう再婚する気まんまんなのでナニ言っても聞く耳なんて持ちません。そこで子どもたちは目をウルルンしながら記者の父親がとある取材がきっかけでぇ〜………出会ったぁぁぁ〜再婚相手の“素性”を暴こうと書斎に忍び込みます。父親のディスクPCをあさると出るわ出るわ数年前「カルト教団で起こった集団自殺の唯一の生存者」として再婚相手の名があるじゃねえかう、ウソだろおおおおお!?……なんちゅう相手と結婚しようとしてんだと絶句する2人。しかしもうその日が来てしまう























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“何も起きなくても”恐ろしい









終始ずっといやぁーな空気感が漂うんですよね。SF?オカルト??ネタバレは控えますが前半は殆ど“何も起きない”。なのに「怖い。」___何が?再婚相手という顔合わせすらしたことがない“赤の他人”と雪山で数日間共に暮らす恐怖?しかもとんでもクライシスな過去を持った女性となれば尚の事ですよ?そんな謎の女“グレイス”を演じるのは最近映画やドラマに引っ張りだこ祖父はエルヴィス・プレスリーという芸能DNAを受け継いだ女優ライリー・キーオ。でもなんだか初登場時は普通のガールって感じの、特にヤバそうなオーラなんてないんですよねー。まーた前妻より一回り若い子捕まえやがってオト〜ン!!と白い目でグレイスに対しては“塩対応”をし続ける長男を「イット」で原宿でマカヴォイになる前の主人公を演じた子役のジェイデン・マーテルが演じているのですが、母の死後悲しむ妹の横に寄り添い一晩添い寝してくれる妹想いの良きお兄ちゃん的存在とは正反対にグレイスに対しては敵意むき出しでまぁー可愛くない!!そりゃそこまで嫌うのも無理ないけどさぁ……


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父親が「彼女にもチャンスを与えてほしい」と言っても、ほんの小さな“優しさ”すら彼にはありません。でもってグレイスもそんな子どもたちと仲良くやっていきたい、という想いはあるものの大泉洋なら白塗りで笑わせにくるところを車のバックミラーでチラッと顔を合わせてもシカトされるし亡き母のものとは知らずに被った帽子は返せと要求されるし当の本人たちがあまりに口を聞いてくれないもんだから「へぇ〜あなたたちがそういう態度ならもういいですよ」ってアンタもかーい!!グレイスはグレイスでまたちょっと生意気な娘感出ちゃってんだよね……。



双方そんなもんだからまぁ見ていて「空気が悪い」わけです。見てるこっちが気まずくてしょうがない!そんな中唯一双方を繋ぎ止める存在の父親が仕事の都合で数日間外出する事態に!?グレイスたちは一応気遣って数日くらい大丈夫大丈夫〜♫なんて言いますが……そして邪険な空気でグレイスと子どもたちが見る映画がよりによって





























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「人間からの不信度X」だなんて









よりによって擬人暗記の恐怖を描いた某物体X映画をこのタイミングで見ちゃう!?これには物体Xもたまったもんじゃありませんよ……



ふと目が覚めると自宅の中はスッカラカン……?さらにグレイスの飼っていた飼い犬の失踪、クリスマス前の12月22日から1月9日まで進んだカレンダー……?ここから事態は大きな展開を迎えることに……!?


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監督は夫婦っぽいけど違う「グッドナイト・マミー」のヴェロニカ・フランツとセヴリン・フィアラのコンビと聞いてああ〜、となんか納得。前作と何か“通じるものがある”といいますか……うーんこれ以上はお口チャックノリスでご了承下さいマァ−シー……









【感想(ネタバレ)】







まさに“再婚のご利用は計画的に”以上の何ものでもない!?一家心中という最悪すぎる結末を迎える本作。いやーかなり衝撃的なラストでした。予備知識ゼロで観た私はてっきり序盤で自殺した元妻(あのシーンも結構衝撃的でしたが)の怨念がロッジに宿って新妻グレイスに襲いかかってくるんじゃねえかとか、でも最後は子どもたちとグレイスに絆が生まれてハハ〜んそれならしょうがないと怨念が消えて一件落着ああ〜良かったなぁ〜で終わるかと思ってました。あとは中盤の“実はみんな死んでましたとさチャンチャン♫”展開だとしても、せめて現世では仲悪かったけどあの世で仲直りくらいはしてほしかったですよ!?そんな希望的観測を少なからず持っていたのですが……結果“何一つハッピー要素のない”最悪すぎるENDを迎えてしまうという


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子どもたちも悪いですよ!!「大人をからかい過ぎなんだよ!!!」そりゃあ、あんなモニタリングでもしないチカラの入りすぎた渾身のドッキリじゃあ「はい大成功〜!」とは問屋がおろさねえ!!まぁそんな子どものイタズラで完全にイカれちゃうグレイスもまたグレイスなんですけどね。



一度こぼりついたものはそう簡単に落とせるものじゃない。しかもそれが“教え”ともなれば尚更……。結果的にカルト教団の恐怖が印象に残るようなカタチで幕を閉じますが実はこれ別にカルト教団じゃなくても成立する話ですよね?グレイスの過去が、たとえば過去に両親から暴力を受けただとか、それで子どもたちにも暴力を働くサイコパスになってしまう……とか。だからこの映画はカルト的恐ろしさを秘めた宗教そのものを否定するような話じゃないと思うんです。本作の諸悪の根源、テーマはずばり
























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夫の無責任さ








夫はなぜ「グレイスと子どもたちの面倒を見なかったのか?」これが悲劇の始まりとは思えませんか?グレイスが過去にカルト教団の信者だった、それ自体は問題ではないのです。自分の恋した女性はちゃんと家庭を持てそうか?仲良く子どもたちとやっていけそうか?彼女がもし過去のトラウマを抱えているなら、それも全て背負う覚悟があるか?勿論子どもたちの面倒を見る責任だってあります。そんな「新しい家族を作ろうとする夫として、背負わなければならない責任」を本作の夫は「完全放棄」してしまっているのです。



仕事があるからといって子どもたちにとって“はじめましての赤の他人”といきなり雪山のロッジのひとつ屋根の下で閉じ込めますか?夫の無責任さは本作の随所で垣間見ることが出来ます。グレイスが精神安定剤を飲もうとした時夫がやってきてそれを隠そうとするシーンがありますよね。“なぜ隠す必要が?”それはグレイスが夫に内緒にしていることだからです。夫はグレイスが精神安定剤を飲んでいることを知らなかった、精神がまだ完全には安定しなかったのを夫は知らなかったわけです。クライマックスで子どもたちが実家で作っていたミニチュアの家を“初めて覗く”シーン、もう後半ですよ?なぜ今まで子どもたちそのミニチュアで“計画を練っていた”その事に気づかなったのでしょう?思えば子どもたちの意見を一切聞かず再婚計画を進め、その新しい妻となるグレイスの過去も知ってはいたもののおそらく“それほど重要視していなかった”のは明白


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前妻の自殺の原因はなんだったのでしょう?グレイスと再婚したから?確かにそれも正解です。ですが夫の“伝えるタイミング”が悪かった、とは推測出来ませんか?おそらく夫は前妻に再婚のことを直前まで伝えていなかったのではないでしょうか?そして自分の知らない内にそこまで進んでいたのかとショックを受けたから拳銃自殺してしまったのでは?普通夫と離婚するというだけで自殺なんてしますかね?いや肯定も否定も出来ませんが、ですがあまりに唐突過ぎるんですよね。あれはきっと衝動的にやったんですよ。事前に知らされていたらあのように衝動的な行動を取るとは思えないのですが……。つまり前妻は夫が再婚したとしても対応次第では死んでいなかったかもしれない__。



すべての悲劇は夫が引き起こしたものだったのです。ですから夫が一番初めに殺されたのです。我々視聴者の問題意識はつい訳ありなグレイスや子どもの方に行きがちですが意外と夫はノーマーク……だったでしょう!?いやー見事な誘導。素晴らしい。



あとはやっぱり前作「グッドナイト・マミー」から引き継いだ「母親とは?」というテーマですか……。「グッドナイト〜」ではある日美容整形から帰ってきた顔面包帯グルグル巻きの母親が次第に本当の母親ではない別人なのでは…?と疑いはじめる「母親ってなんだっけ?」“母性”そのものの根底を揺るがすような、非常に怖い映画でした。そこから本作はもはや「母親になるかもしれない他人」ですからね?その母親の誕生を描くのかと思ったら誕生どころか“そもそも母親にならない”という……監督は母親に恨みでもあんのか……?







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