ハロウィン THE END(2022)
- ラーチャえだまめ

- 2023年4月23日
- 読了時間: 6分

【原題】Halloween Ends
【監督】デヴィッド・ゴードン・グリーン
【出演】ジェイミー・リー・カーティスアンディ・マティチャック ウィル・パットンほか
【あらすじ】
殺人鬼ブギーマンことマイケル・マイヤーズが再びハドンフィールドを恐怖に陥れた事件から4年、街は少しずつ平穏な日常を取り戻しつつあった。マイケルの凶刃から生き延びたローリー・ストロードは孫娘のアリソンと暮らしながら回顧録を執筆し、40年以上にわたりマイケルに囚われ続けた人生を解放しようとしていた。しかし、暗い過去を抱えた青年コーリーが、こつ然と姿を消していたマイケルと遭遇したことから、新たな恐怖の連鎖が始まる。ローリーは長年の因縁に決着をつけるため、マイケルとの最後の対峙を決意する。(映画.COMより)
【感想(ネタバレなし)】

『ナンデモ・アリヤーズ』
同じ大盛り店なのに関谷スパゲティとバルボアで客層が違うのが解せぬラーチャえだまめです。そんなイライラを内に秘めるサイコパス予備軍の皆さまの大先輩が、本日ついに(いい加減)引退宣言!?

【ハロウィン THE END】!!!…「END」と書いて「まだ終わりません」の詐欺タイトルかどうかは定かではない40年以上に渡り「マスク姿の殺人鬼」のアイコンとして映画界の第一線で人殺……ご活躍された「ブギーマン」ことマイケル・マイヤーズ!!とその第一被害者であり何度も何度もキルされそうになりながらも40年ぶりにライザップで「サラ・コナー化」してブギーマンの復讐に燃えるアカデミー女優ジェイミー・リー・カーティスの「因縁の腐れ縁対決」についに終止符が打たれたっぽいコチラの映画、「ハロウィン」はもう私……現地飛んでますから!?パサデナのマイケルマイヤーズ邸にも訪問してますから!?(あいにく閉園日でポストカードだけ貰って帰りましたが)もうそれずっと言ってんじゃん!!……昨日友人にも言われましたが、そんな「ハロウィン」シリーズも続編リメイク“リヴ−ト”も含めて今作で13作目…!?流石にもう休ませなさいよぉぉ!!高齢者イジメだよぉおお!!!……とそろそろ“ご隠居”も視野に入れ始めたブギーマンが前作「ハロウィン KILLS」を最後に“下水道で隠居生活”はじめましたとかそんなの聞いてない恐れていたものがついに現実に

ブギーマン、ついに「老いる」。
まずはじめに“一応”序盤で説明してくれますが、続編(しかも最終章)に当たる“今作から観ます”というのは、私はあまりオヌヌメ致しません。当然ですが今作はシリーズの集大成的映画であり、長らく続いた殺人鬼とヒロインの闘いに“どう落とし前をつけるか”シリーズファンに向けた映画、となっております。……とは言っても2018年から始まった“シン・劇場版”だけ見れば大丈夫!!特に2018年のリヴ−ト版は監督こそ違えど製作総指揮にシリーズの生みの親ジョン・カーペンター大先生がブギーマンやヒロインと共にカムバック!したこともあり、78年の“オリジナル版”の“正統続編”として、ある意味これまでのシリーズを度外視して非常に見やすく、またオリジナルから続く“作曲家カーペンター”による令和でも不安にさせる“有名すぎるあのテーマソング”にカボチャのOP等オリジナルを踏襲、リスペクトしたスタイルで新規ファンにも“「ハロウィン」とはなんぞや”を理解することが出来る、素晴らしい出来だと私個人としての感想でありますが、いやしかしそのリヴ−ト版が好評だからってその後3本も作るなんて……元々“シン”シリーズは“3部作構成”でやる!という予定だったらしいのですが?とは言っても前作「キルズ」から“集団リンチ”やら“邪悪なのはブギーマンじゃなく民衆だ”みたいな社会的な裏テーマで「お、おう…?」肝心のブギーマンが少々“蚊帳の外”状態の路線変更に明らかな「ネタ切れ」を感じてしまっていたのですが……

完結編となる本作ではそこからさらに「“怪物”を作り出すのは個人か、それともイリノイ州の架空の町ハドンフィールドという“街”そのものか?」やら「“怪物”を“欲している”のは誰か」的な、これまた人々に根底に内在する「邪悪とは何か」を追求する、まるで大学の講義でも聞いてるようなこりゃもう立派な教材映像だよおお!!!!
前作で最愛の娘をブギーマンにキルされてしまったジェイミー・リー・カーティス演じるローリー・ストロードは、残された家族の孫娘アリソンと2人暮らしで新居を購入し、前作から姿を消したブギーマンを“忘れよう”と必死であった。「エブエブ」で観たばかりのジェイミー・リー・カーティス、アカデミーでは見事助演女優賞を獲得。そんなアカデミー女優もやはり「ハロウィン」と言えば彼女の存在は欠かせない。そして昨今の「強い女性」像、ヒロインは“守られる”時代から自ら声をあげ手をあげそして武器をもって立ち向かう……というNEWスタイルが前作でちょうどビタッとハマり役となった。今作でもご高齢ながら孫娘を守る強い女性は変わらず、さらに自らの経験を元にブギーマンについて“客観的”な目で物語の“語り手”としての地位も確立して登場……。
そして前作に引き続き登場の孫娘のアリソンを演じるアンディ・マティチャック、彼女もまた去年観た「呪われた息子の母 ローラ」の若いシングルマザー役がめちゃくちゃ良い演技してて。この2人に加え今作で新たに加わるのがコーリー・カニンガムという青年。この青年がまさかの“シンの主人公”?彼は過去にある事故を起こしハドンフィールドではブギーマンに次ぐ“悪評”に悩まされる日々を送る青年として登場するのですが?ローリーから“やり返しの精神”を学んでしまったばっかりに“「エルム街の悪夢2」みたいな展開”になってしまうという!?もう今作のブギーマンのテーマは「世代交代」。いい加減腰がちょっと……そうだこの機会にマスクを“誰かに譲っちゃおう”(※本人はそんなこと一切思ってないが)的な物語、だったんですねー。

故に既にレビュアーの間で「肝心のブギーマンがあまり活躍しない」「惨殺数も少ない」と別の意味で沸騰中という?確かに中盤くらいまで「一体何を見せられているんだ」と思った節もありましたよ??ただ私は常に現状維持で満足しない路線拡張への挑戦、“「ハロウィン」という作品で「どこまでやれるか」”という造り手の強いこだわり、のようなものを感じることが出来ましたね。だからそこまでダメダメな映画、とはまたちょっと違うかなーと、個人的には思いました。

「外野」がうるせぇ。
今作のテーマはズバリ「“外野”がつべこべ言うな」です。それは事件の被害者・加害者の周りを囲む“その他諸々の無関係の人々”自身は安全地帯から彼らを時に馬鹿にしたり心にもない言葉を浴びせる。本作ではそんな愚民どもがよぉー出てくるんですわ。そんな何の価値もない言葉にずっと苦しめられてきた“当事者”達の苦悩が描かれる。そしてその“外野”にはローリーの姿も??
今作はある意味“ものすごく救われない”話かもしれません。先述した「“怪物”を生み出すのは誰だ」この世界は非常に残酷かつ、結局は“自分自身で自分を怪物から守るしかない”という?だから怪物に負けない強い心を持て!という強いメッセージも感じ取れました。フカヨミしすぎ?これでシリーズの完全終了??ブギーマンマスクもカーペンターのあのスコアももうこれで見納めk……いやたぶんまた数年後やるでしょ?




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